「中絶できず…苦しんだ」アメリカを二分する人工妊娠中絶問題 大統領選の有権者50%以上が関心【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-11-02 14:23

最終盤まで大接戦となっているアメリカ大統領選。その勝敗を左右するかもしれない争点が、「人工妊娠中絶」をめぐる問題です。中絶をめぐり、真っ二つに割れるアメリカ。その判断に揺れる州で、人生を翻弄された女性を取材しました。

【写真を見る】「中絶できず…苦しんだ」アメリカを二分する人工妊娠中絶問題 大統領選の有権者50%以上が関心【news23】

50%以上が関心 “妊娠中絶” 勝敗左右?

11月5日に投開票を迎えるアメリカ大統領選挙。

共和党 トランプ前大統領(31日)
「あと5日で勝ちたい。偉大な勝利のひとつとして語り継がれるだろう」

早々と『勝利宣言』をしたトランプ氏に対しハリス氏は25日、人気歌手のビヨンセさんと共に登壇。この日の集会のテーマは「人工妊娠中絶の権利」でした。

民主党 ハリス副大統領
「テキサス州とアメリカ国内で起こっているのは医療危機です。それを引き起こしたのはドナルド・トランプです」

9月に行った有権者への調査で51%が「人工妊娠中絶の問題に関心がある」と答えていて、この政策を強く打ち出すことで、多くの有権者を取り込みたい考えです。

「中絶できず…苦しんだ」病院に脅迫も

大統領選の大きな争点の一つとなっている「人工妊娠中絶の問題」。激戦州の一つ、アリゾナ州に中絶をめぐる国の方針に弄された女性がいます。

クロエ・パートリッジさん(24)
「ライラの物(遺品)を入れた箱です。たくさんの思い出が詰まっています」

2022年、第2子を妊娠したクロエさん。しかし、お腹の中の赤ちゃんに脳が発達しない疾患があると判明。医師からは「生まれても数時間も生きられない」と告げられ、中絶の選択肢を示されました。

クロエさん
「赤ちゃんがお腹の中で発作を起こして苦しんでいると知り、中絶することに決めました」

しかし、中絶手術の数日前、予期せぬ事態が...

バイデン大統領(2022年6月)
「最高裁はアメリカ国民から憲法上の権利を奪った」

連邦最高裁が女性の中絶の権利を覆す判断を下したのです。トランプ前大統領が任期中に、保守派の判事を相次いで指名したためで、この判断を受け、保守派が優勢な州では次々と中絶が事実上禁止となりました。クロエさんが住むアリゾナ州でも州法が適応され、医師から「手術はできない」と告げらました。

クロエさん
「心が折れました。主治医の先生もとても悲しんでいました。誰もそんなことを患者に告げたくないですよね」

“中絶が合法な州”を探し、車で13時間ほどのコロラド州の病院で手術を受けることを決意。足りない手術の費用を集めるためSNSで寄付を募りましたが「赤ちゃんを殺すくらいなら自殺しろ」「おまえに母親になる資格なんてない」など、中絶に反対する保守派の人々が、クロエさんや病院を脅迫手術を断念せざるを得なくなりました。

クロエさん
「娘を助けられず何もできなかったのが本当に本当につらかった」

クロエさんは約3か月後、赤ちゃんを出産。しかし、自力で呼吸をすることもできず44時間後、ホスピスで息を引き取りました。

クロエさん
「何もできないまま苦しんだ二日間は正気でいられなくて私も赤ちゃんも傷つきました。赤ちゃんが経験しなくていい、多くの痛みを味わわせてしまった」

“妊娠中絶” 争点に 支持拡大は?両陣営の狙いは?

この問題をめぐる両候補の立場は対照的です。

ハリス氏は「女性が中絶を選択できるよう『全米統一の法律』を設けると宣言、“中絶の権利”について積極的に訴えることで最後の支持拡大へつなげる狙いがあります。

一方、トランプ前大統領は「中絶はもはや争点ではなくなった。移民・経済こそが本当の争点だ」と述べました。

共和党を支持する保守派の一部は、宗教上の理由などから中絶の全面禁止を求める人も多いため、トランプ氏は「州ごとの判断に委ねるべき」と述べるにとどまり、争点として取り上げることを避けています。

現在、妊娠15週以降は“中絶禁止”のアリゾナ州では大統領選と同日に『妊娠24週ごろまでの“中絶の権利”』を問う住民投票を実施する予定です。

世論調査(※)では52%が「賛成に投じる」と回答していますが、その一方で支持率は拮抗しています。(※CBSニュース調査・10月18日発表)

クロエさんは「すべての女性が自由に選択できる世の中になって欲しい」と願っています。

クロエさん
「同じ疾患の子どもを妊娠した人がいても、私はその人の決めた選択を支持します。それは私が決めることじゃないから。女性たちが医師と家族と話して最適だと思う選択ができるようになって欲しい」

人工妊娠中絶が厳格に規制されているのは全米で21州

上村彩子キャスター:
5日に大統領選の投開票を控え、人工妊娠中絶が厳格に規制されているのは全米で21州に上り、激戦になっているところも出ています。

【11月1日時点の調査では接戦に】
・アリゾナ州:ハリス氏46.9% / トランプ氏49.3%
・ジョージア州:ハリス氏46.7% / トランプ氏49.3%
・ノースカロライナ州:ハリス氏47.3% / トランプ氏48.7%

2020年の大統領選ではバイデン氏が僅差で勝利をしていて、今回もアリゾナ州接戦が予想されています。
人工妊娠中絶については立場が鮮明になっているので、有権者がどちらの政党を支持するのか、大きな影響を与えそうです。

喜入友浩キャスター:
そうですね。そしてアメリカのトップが決まるのとほぼ同じタイミングで日本のトップを決める総理指名選挙に向けた動きも活発になっています。政権の枠組みが大きな焦点になりますが、激動の1週間となりそうです。

  1. 「もしかしたら死ぬんじゃないかなと」 日常的に暴行をした疑いで産廃業者の元専務ら3人を逮捕
  2. 【工藤夕貴】 サンタ姿で「クリスマス寒中水泳」 水温8度も…全開スマイル
  3. ローソンで販売の氷にガラス片混入のおそれ 1320個を回収 「ローソン アイス 1.1kg」
  4. 旅客機が墜落し乗客乗員67人中38人死亡 旅客機は霧のため行先を変更 カザフスタン西部
  5. 「誰もやっていないことをやりたい」キッチンカーで握る本格すし、25歳の若き「すし職人」【ゲキ推しさん】
  6. 平均2.7キロ増 「正月太り」を防ぎたい、原因は「食生活」に…「太りにくい」お餅・そばの食べ方とは【Nスタ解説】
  7. 【速報】沈没の海自掃海艇「うくしま」周辺で人骨発見
  8. 危険 10年で事故91件、誤った使い方で爆発も…“カセットコンロ事故”に注意、製造10年で“買い替え検討”【Nスタ解説】
  9. 新年にかけ次々と寒波襲来、積雪急増 交通の乱れなどに注意、初日の出「よく見える」のは?【Nスタ解説】
  10. 【希空】「初めてのクリスマスマーケット」もふもふコートにミニスカートでご満悦
  11. 【遠野なぎこ】 愛猫・愁くんと「クリスマスコスプレ♪」「Happy &Love♡」
  12. 【大石エリ】再婚を報告「苗字3つ持ててハッピーでした!」今年最後の “吉日” に婚姻届
×