犬と生活をしていると、犬は飼い主の状態に合わせるように様々な表情を見せてくれます。人間が喜んでいる時は犬も嬉しそうにしてくれますし、反対に落ち込んでいたり苦しんでいたりするとき、愛犬が寄り添ってくれることもあります。このように、飼い主の感情に気付いているような様子を見せる犬に、飼い主のストレスも伝わっているのでしょうか。
飼い主のストレスは犬に伝わっている?
犬は元々群れで生活をするという習性があるため、周りをよく観察し、周囲とトラブルを起こさないようにする生き物です。その観察方法は、主に視覚情報を利用するようですが、それ以外にも優れた嗅覚を使って相手を観察することがあります。
犬同士の挨拶や人間への挨拶など、犬は良く匂いをかいでいますね。これは相手が誰かという確認のため以外にも、感情を読み取るために行う行動であるとも言われているのです。
実は人間やほかの動物も、ストレスを感じると汗などの分泌物の成分が変わり、いつもとは違う匂いを発することが分かっています。犬はこのような匂いをその優れた嗅覚によって嗅ぎ取り、相手がストレスを受けていることを感じ取っているというのです。
これは、イギリスのとある大学の研究で明らかにされたことで、その研究チームは、人間の実験参加者から「リラックス時の呼気と汗」と「計算問題を問いた後のストレスを受けたときの呼気と汗」を採取しました。
そして、あらかじめ犬にストレス時の呼気と汗の匂いを覚えてもらい、複数のサンプルのなかからストレス臭を選べるかどうか調べました。すると、犬は9割以上の正答率を示したということでした。
このことから、『犬は、人間がストレスを受けたときに発する匂いを区別できる』ということが分かりました。つまり、犬は人間がストレスを受けているかどうかが分かっているということです。
また、別の実験で、『人間のストレス臭を嗅いだ犬は、その後の出来事について悲観的に考えて行動するようになる』という結果が得られたそうです。つまり犬は、人間がストレスを受けていると、伝染するようにストレスを受けるようになると考えられます。
配慮するべき愛犬との付き合い方
では、前章の通り、犬が人間のストレス臭が認識できると、具体的にはどのようなことが起きるのでしょうか。
犬にとって初めはその匂いが「ストレス臭」だとは分からないですが、その匂いがするときの飼い主の様子は、きっと観察していると思われます。
その際に、飼い主がネガティブな様子であったりイライラしてあまり犬にとって好ましくない様子だったりしていると、犬は最初に嗅いだストレス臭と、飼い主のそのようなネガティブな様子を結び付けて学習してしまうでしょう。
これは、犬に向けられた様子であろうと、犬に対して向けている者ではない様子であろうと同じことです。
この匂いがするときに飼い主の様子がいつもと違う、飼い主が嫌な顔をしている、ということを覚えてしまうと、犬にとってその匂いが「あまり好ましくないもの」として認識される可能性もあります。
だからといって、実際はストレスを感じているのに感じていないふりをしたところで、その臭いのせいで愛犬にはストレス臭であると判断されてしまうことでしょう。
結果として、愛犬のためにも、飼い主はできる限りストレスをためないように生活することが大切なのです。
まとめ
研究の結果、犬は人間がストレスを感じているかどうかを匂いで判別することができ、そのストレス状態は犬に伝染していくようだ、ということが分かりました。
また、ストレスをためた人間の行動が、犬に「良くないもの」と学習される可能性も考えられます。
せっかく犬と一緒に生活をするのですから、お互いにストレスをため込むことなく幸せな気分で生活を送れるよう、人間側も気持ちを切り替えていきたいものですね。
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