犬の性格にもよりますが、飼い主さんに抱っこをせがむ子は少なくありません。どういった心理から、犬は抱っこをせがむのでしょうか。犬の心理を理解できれば、すぐに抱っこをしてあげるべきか否かの判断も間違わずにできるようになるでしょう。愛犬が飼い主さんに抱っこしてほしがる心理や、抱っこをする時に注意すべきポイントをご紹介します。
犬の抱っこ癖ってダメなの?
「抱き癖がつくので赤ん坊が泣いても抱いてはいけない」という説が主流だった時期があります。犬も「抱っこして!」という気持ちを飼い主さんに示すことがあります。「犬にも抱っこ癖がつくからダメなのかな?」と思っている飼い主さんもいるかもしれません。
今では「抱っこ癖を気にせず、赤ん坊が泣いたら抱いてあげましょう」という説が主流になっています。それは、赤ん坊は親とスキンシップを重ねることでオキシトシンという愛情ホルモンがたくさん分泌され、愛着形成や成長促進に役立つと分かってきたからです。
この「スキンシップによるオキシトシンの分泌促進とその効果」は、人と犬との間にもあることが分かっています。そのため、基本的には愛犬からの抱っこの要望に対して、飼い主さんは心配せずに応じてあげても大丈夫だと考えて良いでしょう。
ただし犬は赤ん坊ではなく、3〜4歳児程度の知能を持っています。請われるまま抱っこをしていると、わがままを助長することがあることも知っておきましょう。適切に対処するためには、抱っこしてほしい理由を見極め、抱っこの仕方に注意する必要もあるのです。
飼い主に抱っこしてほしがる犬の心理
怖い、助けて!
人と一緒に暮らすようになる前、犬たちは家族を中心とした群れで生活をし、不安や恐怖を和らげたり、寒さから身を守ったりするために、群れの仲間同士で身を寄せ合いながら暮らしていました。
人と一緒に暮らしている現代の犬たちも、家族である飼い主さんと身を寄せることで不安や緊張、恐怖心といったストレスを和らげたい、さらには身を守ってもらいたいという切実な気持ちから、抱っこを求めることがあります。
顕著なのは、診察台の上に乗せられた犬が、獣医師から逃れて飼い主さんの懐の中に潜り込み、離れまいとぎゅっと抱きつくシーンです。
まだ家に迎えて日が浅く、信頼関係を築いている最中だと思っている飼い主さんなら、ちょっと感動的な気持ちになるかもしれません。実は筆者も、同じような経験をしてジーンとしたことがあります。
甘えたい
飼い主さんが仕事や家事に手を離せずなかなかかまってあげられないとか、いつもより長い時間お留守番をさせてしまうということが、間々発生します。そんなときは、寂しさから「甘えたい」「かまってほしい」という気持ちで抱っこをせがむことがあります。
寒い
寒くなり、身近に寒さを凌げるものがない場合にも、暖を取ろうと飼い主さんに抱っこをせがむことがあります。多頭飼育の場合は、一緒に暮らしている他の犬たちとくっつくことで暖を取れますので、あまりみられないかもしれません。
疲れた
特に散歩の途中が多いと思いますが、疲れてしまって「これ以上歩きたくない!」といった場合に、抱っこをせがむことがあります。散歩中に歩き方が変わったり、息が荒くなったりした場合は、疲れたり足などに痛みを感じたりしている可能性があります。
よく観察し、必要に応じて切り上げてすぐに帰る、動物病院に行くといった対処をとってあげましょう。
抱っこする時の注意点
正しい抱き方をする
抱っこは犬の行動を束縛するため、飼い主さんの一方的な思いですぐに抱っこをするのはよくありません。タイミングだけでなく、正しい抱き方をすることも大切です。
人間の赤ん坊を抱くように、犬を垂直に立たせたような姿勢で抱くのは、よく見かけますが間違った抱き方の一例です。この抱き方は背骨に強い負荷をかけるため、椎間板ヘルニアなどの原因になることもあるためです。
犬を横向きにし、胸の下から差し込んだ手とお尻を包むようにした手で、背骨が地面と水平になる状態を維持するように抱きましょう。胸とお尻の2点で支えることを意識すると良いでしょう。
すぐに抱っこをしないという判断も大切
前述の通り、愛犬が「抱っこして!」とせがむ度に応じてしまうと、抱っこしてほしい理由によっては「わがまま」を助長してしまう可能性があります。
例えば散歩の途中で疲れてしまい、抱っこをせがんだらそのまま抱いて帰宅してもらったという経験のある犬は、大して疲れていなくても、楽をしたくてすぐに抱っこをせがむようになるかもしれません。健康管理のために必要な運動量を確保できるよう、様子を見極めて散歩を続ける判断も必要です。
抱っこをご褒美にするのがおすすめ
犬が「恐怖心」から抱っこをせがんできた場合を除き、抱っこをせがまれたら一旦落ち着かせて「オスワリ」の指示を出しましょう。きちんとオスワリができたら、そのご褒美に抱っこをしてあげることで、なんでもいうことを聞いてくれるという勘違いをさせずにすみます。
また「ズルして家に帰りたい」といった心理が透けて見えた場合は、ご褒美の抱っこが終わったらまた散歩を再開し、必要な運動量を確保しましょう。
まとめ
犬が飼い主さんに抱っこしてほしいと思う心理には、切実なものやかわいらしいものが多いことが分かりました。また過去の経験から学習し、楽をするための手段として抱っこを利用することがあることも分かりました。
飼い主さんの一方的な思いですぐに抱いてしまったり、間違った抱き方をしないことはもちろんですが、愛犬が抱っこしてほしいと思っている心理を正しく見極め、誤った学習をさせないような抱っこの習慣をつけることも大切です。
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