8月に初めて発表された南海トラフ地震臨時情報に対する自治体の対応について、南海トラフ地震評価検討会の平田直会長は、「個人的な見解」としたうえで、市町村のレベルでは、必ずしも臨時情報の制度の趣旨どおりには対応できていなかったとの認識を示しました。
8月に初めて発表された南海トラフ地震臨時情報について、内閣府は防災対策推進地域に指定された自治体を対象にどのような防災対応をとったかについてアンケートを行い、その調査結果を先月下旬に公表しました。
それによりますと、臨時情報の発表を受けて、推進地域に指定された29のすべての都府県が災害対策本部を設置するなど災害対応を実施するための体制をとったのに対し、市町村はおよそ7割に留まりました。また、すべての都府県が臨時情報の発表を住民に伝えたのに対し、市町村は81パーセントでした。
南海トラフ地震評価検討会 平田直 会長
「(臨時情報の)制度ができて5年目で初めて出されたときに、必ずしも自治体が、特に市町村が、制度の趣旨通りに対応していただけたとは思っていません」
南海トラフ地震評価検討会の平田直会長は「個人的な見解」としたうえでこのように述べ、都府県と比較して、市町村レベルの対応は十分ではなかったとの認識を示しました。
市町村のこうした対応について、平田会長は「国は一応、具体的にどうすればいいかということを言ったが、それが必ずしも周知されていなかった。理解してもらえていなかったのが一番の問題」として、臨時情報への対応について、国が一定のガイドラインを作ることの必要性を指摘しました。
一方で、「同じ市内でも津波が高くなる場所、早く来る場所、高台なので来ない場所などさまざまで、避難や対応の仕方は場所によって異なる」として、「基本的には、ぜひ自治体に自分で考えていただきたいと思う」と述べ、どう対応するかを国任せにせず、自治体も当事者意識を持って考えるよう求めました。