皇后さまが9日、61歳の誕生日を迎えられました。皇后さまは文書で感想を公表し、支えてくれた多くの方に感謝を伝えつつ、「できる限りの務めを果たしていくよう努力したい」と抱負を記されました。
▼被災地に心を寄せて
「心が締め付けられる思い」
皇后さまは文書の冒頭で、元日の能登半島地震に触れ、「深く心の痛む年のはじまりとなりました」と振り返られました。
学生時代に友人と訪れたという能登を「大切な思い出の詰まった地」と表現し、地震の被害を聞いて「心が締め付けられる思いが致しました」とつづられました。
天皇皇后両陛下は3月と4月に、被害の大きかった輪島市や穴水町などを巡り、皇后さまは「大変でしたね」「お体を大切に」などと避難所で被災者を励まされました。
また、2025年に阪神淡路大震災から30年を迎えることから、「今後の防災・減災について考え、備えていくことが大切なのではないかと思います」と記されました。
▼三笠宮妃百合子さま逝去
「心から哀悼の意を」
11月に天皇陛下の大叔母である三笠宮妃百合子さまが逝去されると、皇后さまは陛下とともに、弔問のため三笠宮邸に足を運ばれました。
1993年に皇后さまが陛下と婚約した際に三笠宮邸を訪問していたことを振り返り、「両殿下で温かくお迎えいただきましたことを懐かしく思い出します」と百合子さまに「心から哀悼の意」を表されました。
▼上皇后さま順調に回復
「少し安堵」
10月に右脚大腿骨を骨折し、手術を受けられた上皇后さまについて、皇后さまは「御案じ申し上げておりました」と気遣われました。
術後のリハビリが順調と伺っているとしたうえで、「少し安堵しております」と心境を明かされました。
▼国賓としてイギリス訪問
「深く心に残る滞在」
6月には陛下とともに国賓としてイギリスを訪問された皇后さま。
ホース・ガーズでの歓迎式典や馬車によるパレード、バッキンガム宮殿での昼食会や晩さん会などでチャールズ国王夫妻から歓迎され、「お心のこもった温かいおもてなしをしていただきました」「深く心に残る滞在になりました」と感想を記されました。
最終日には陛下ともに留学時代を過ごしたオックスフォードを34年ぶりに訪問し、大学総長から名誉博士号を授与されました。
皇后さまは「当時お世話になった方々などから温かく迎えていただいたこともとてもうれしいことでした」「特別な機会になり、感慨深いものでした」と振り返られました。
▼活躍する日本人アスリート
「明るい希望と勇気を与えてくれた」
10月の園遊会では夏のパリオリンピック・パラリンピックの金メダリストたちとにこやかに歓談されました。
「おめでとうございました。素晴らしかったですね」
陸上女子やり投の北口榛花選手をはじめ、柔道男子の阿部一二三選手や、女子車いすテニスの上地結衣選手らに声をかけられました。
皇后さまは「選手が培ってきた力を尽くして競技に臨む姿や、団体競技では、チームの団結力や選手たちの間の絆が印象に残る大会となったことに感銘を受けました」とつづられました。
また、大谷翔平選手が、メジャーリーグ史上初の1シーズン「50(本塁打)-50(盗塁)」を達成したことに触れ、「若い人たちが日々の努力の積み重ねにより新たな世界を切り開いていく姿は、多くの日本の人たちに明るい希望と勇気を与えてくれたものと思います」と記されました。
▼愛子さまの成長について
「時の経つ早さを感じます」
3月に学習院大学を卒業し、日本赤十字社に就職した長女の愛子さまについて、皇后さまは「早いもので、先日23歳になりましたことに、時の経つ早さを感じます」と話されました。
職場では「周囲の方々に温かく御指導いただき、仕事についてもやり甲斐を感じながら励んでいる様子」と近況を記されました。
愛子さまが成年皇族として単独の公務を行うなど活動の幅を広げていることについては「これからも健康に気を配りつつ、社会人として様々な経験を積みながら、皇族としての務めを果たすべく努めていってほしいと願っています」と思いを明かされました。
▼来年に向けた抱負
「できる限りの務めを果たしていくよう努力」
2004年に適応障害と診断された皇后さまの体調について、宮内庁は医師団の見解を発表し、「快復の途上にあり、依然として体調に波がある」としています。
一方、宮内庁は「大きい行事の後では疲れがでる場合もあるものの、少しずつ回復になっているというところも見て取れる」と明かしています。
皇后さまは「これからも国民の皆様の幸せを祈りながら、できる限りの務めを果たしていくよう努力したいと思っております」と抱負を記されました。
また、「今年も多くの方に支えていただきながら、こうして無事に誕生日を迎えることができましたことに感謝しつつ、日頃より皆様から寄せていただいている温かいお気持ちに対し、改めて心から御礼をお伝えしたいと思います」と心境を明かされました。
▼皇居ではきょう誕生日行事
皇居では9日午前中から誕生日の行事が続きます。
秋篠宮ご夫妻ら皇族方や、宮内庁長官ら幹部職員、衆参両院議長などから祝賀を受ける予定で、午後には両陛下で東京・元赤坂の仙洞御所を訪れ、上皇ご夫妻に挨拶をされる予定です。