猫の「ヒゲ」は、口元だけでなく顔の横や目元にも生えています。なかにはとても立派なヒゲを持つ猫もいるので、お手入れをしてあげたくなる方もいるかもしれません。しかし、猫のヒゲには重要な役割があるため「切る」のはNGです。今回は、猫の「ヒゲ」を切ってはいけない理由について解説します。
猫の「ヒゲ」を切ってはいけない4つの理由
1.平衡感覚が乱れてしまう
猫の「ヒゲ」の主な役割は、平衡感覚を保つことで体のバランスを取ることです。
猫は聴力や嗅覚に比べると、視力があまりよくありません。そのため、歩くときに周囲の情報を得るため、ヒゲをセンサーのように活用しているのです。
猫のヒゲを切ってしまうと、フラフラしてしまったり、壁にぶつかったりと怪我のリスクも高まります。
また、人間で言うと視覚を奪われたような状態になるため、猫が不安な気持ちになってしまうようです。
猫のヒゲの根元には神経が通っており、無理に抜くと痛みを伴います。わざと抜いたり切ったりする必要はありませんので、猫のヒゲはそのままにしておきましょう。
2.幅や広さの認識ができなくなる
猫のヒゲはセンサーの役割を担っているため、かすかな空気の動きも察知することができます。
狭い場所を通るときはヒゲを広げ、建物の幅や広さを認識します。そのため、ヒゲを切ってしまうと空間の認知がうまくできなくなってしまうのです。
3.目にゴミが入ってしまう
猫のヒゲは非常に敏感です。まぶたの上に付いている眉毛のようなヒゲは「反射弓(はんしゃきゅう)」と言い、まぶたの神経とつながっています。
ヒゲに小さなゴミやほこりなどの異物が付着したとき、素早く反応しまぶたを閉じることで目にゴミが入ることを防ぎます。
このように、目の上のヒゲは目を保護するために機能しているので、故意に切ってしまうとセンサーの反応が鈍くなり、目に異物が入ったり傷が付いたりしてしまいます。
4.感情が読み取りにくくなる
猫は体のさまざまな部分から感情を読み取ることができ、ヒゲもそのひとつです。
猫のヒゲは主に口元にある「ウィスカーパッド(ヒゲ袋)」という場所に生えています。ウィスカーパッドに生えている毛は筋肉によって自在に動かすことができます。
飼い猫の顔をよく見てみると、ヒゲが上下したり膨らんだりと状況によって色々な動きをしていることがわかります。
喜怒哀楽によってヒゲの状態が変わるため、ヒゲを切ってしまうと猫の感情が読み取りにくくなってしまうのです。
猫の「ヒゲ」が短くなってしまったらどうなる?
私たちが故意に切らなくても、ヒゲの短い猫やなくなってしまった猫もいます。
猫のヒゲが短くなる理由は、
- 母猫に嚙み切られる
- 同居猫のグルーミングでなくなる
- ケンカをして切れる
- 生え替わりで抜ける
といったものがあります。
室内飼いをしている猫であれば、多少ヒゲが短くなっても怪我の心配は少ないです。もしふらつきが見られるようであれば、ぶつかりそうなものを片づけて怪我をしないように配慮してあげましょう。
また、同居猫とのケンカや執拗なグルーミングで抜けてしまっている場合は注意が必要です。
ヒゲが切れたり抜けたりするほどの刺激を受けている状態では、抜けるときに痛みを感じる可能性がありますし、思わぬ怪我を負う可能性もあります。
他にも、生え替わりでヒゲが抜け、短くなったように見えることもあるようです。猫のヒゲは半年程度で生え替わるため、数本抜けた程度であれば問題ありません。
しかし、全てのヒゲが抜け落ちたり切れたりしてしまった場合は、獣医師に相談するようにしましょう。
まとめ
猫のヒゲにはセンサーの役割が備わっているため、絶対に切ってはいけません。
また、毛根には神経が通っているため、引っ張るのもNGです。可愛らしい口元に触れたくなる気持ちはわかりますが、猫のヒゲは非常に敏感なため、触りすぎるとストレスを感じてしまうかもしれません。
猫はヒゲの動きからさまざまな気持ちを読み取ることができます。触るよりもよく観察して、どのような場面でヒゲが動くのかを見るようにすると、より猫と仲良くなれるかもしれませんよ。
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