競輪でG1史上最多となる16勝(競輪祭新人王を除く)の神山雄一郎(56、栃木県・61期・S級2班)が24日、都内で引退会見を行った。神山は「引退させていただく決意をしました。本当に36年間素晴らしい競輪選手生活でした」と振り返った。
競輪界のレジェンドが36年の競技人生に終止符を打った。神山は93年にG1初優勝を果たすと、99年には日本選手権を制し、当時3人目となるグランドスラム(4日制以上の全てのG1を制覇)を達成。その後は生涯獲得賞金額歴代トップの29億円超、現役最多の909勝、最年長記念競輪優勝記録を更新(47歳10ヶ月)するなど数々の記録を打ち立てた。
しかし近年は結果が振るわず、競争得点が低下。さらに今年6月・7月のレースでの失格が影響し、1989年以来35年ぶりにA級(1班)への降級が決まっていた。
引退を考えたきっかけは「函館競輪(6月)での失格」だという。引退は決めたが、「できることなら、一生やり続けたい。それも上位で戦い続けてっていう気持ちでいたい」と正直な思いを吐露した。
競輪は「人生そのもの」と神山。「こんな素晴らしい競技は本当に世界中探してもないんじゃないかな」と話す。「負けたとしても、やりきった感が出せるレースがやっぱりあって、勝ったら勝ったでそれはいいんですけど、勝ってもどことなく釈然としないレースもあったりして。そこが競輪の魅力」と競輪愛を語った。
終始笑顔だった神山も共に戦った仲間の話になると涙が溢れた。「いい選手がいっぱいいて、そんな仲間がみんなライバルである僕を応援してくれたり、引退するにあたって言葉をかけてくれたり、それが本当に競輪っていいなと。自分の財産だと思ってます」と感謝を述べた。
今後は「何も決めていないんですけど、まずは家族との時間を過ごしたい」と話し、「自分のキャリアを積んできたことは、何か後輩とかのためになることができれば、そういうこともしたい」と指導者の道を目指すことも示唆した。