犬はどのような方法で飼い主の顔を認識しているのか、離れた場所からも飼い主の顔を認識することができるのか、いくつかの実験結果をご紹介しながら解説します。
犬は飼い主の顔を認識しているの?
犬の視力は0.1~0.3程度であるとされており、2m先にあるものは、ほとんど見えていないようです。飼い主の顔をはっきりと見るためには、30cm~50cmくらい近づかなければなりません。
たまに愛犬が顔をグッと近づけてくることがあるのですが、ニオイを嗅いでいるようにも感じられますし、顔をはっきりと見ようとしているようにも感じられます。
犬の視力に関する研究結果はまだまだ少なく、飼い主の顔を認識することができているのかどうかは、不明な部分が多いようです。
犬にも近視と遠視がある
近視である場合、近くにあるものははっきりと見え、遠くにあるものはぼやけています。近視である犬は、近くにいる場合のみ、飼い主の顔をはっきりと認識できる可能性があります。
遠視である場合、近くにあるものも、遠くにあるものも、どちらも見えづらいため、飼い主の顔を認識することは難しいかもしれません。
犬はどうやって飼い主を認識しているの?
犬と人間の感覚器官を比較したとき、犬は聴覚と嗅覚に優れており、視覚は劣っているということが分かっています。
飼い主を認識する方法は、飼い主の顔を見ることではなく、飼い主のニオイを嗅いだり、飼い主の声を聞いたりすることがほとんどであろうとされています。
また、飼い主から発せられる音もよく聞いて判断しているようです。その音とは、足音や呼吸音なのではないでしょうか。飼い主が乗っている車の音も認識していますよね。
犬は写真から飼い主を認識することができる?
フィンランドにあるヘルシンキ大学では、犬は人の顔を認識する能力を持っているのか、という実験が行われたそうです。
スクリーンに映し出された飼い主の顔と見知らぬ人の顔に対し、どのような反応をするのかというものです。
飼い主の顔に対してはまっすぐに視線を向ける傾向が強く見られ、見知らぬ人の顔に対しては視線があちこちに向けられたそうです。
スクリーンに映し出された顔を見て、「あ、飼い主さんだ!」と分かり、見つめていたのでしょうね。
マスクで顔を隠した飼い主を認識することはできる?
イタリアのパドヴァ大学で行われた実験もご紹介します。
1パターン目の実験では、マスクをしていない飼い主と、マスクをしていない見知らぬ人が部屋に入ってきます。このとき、犬は飼い主の動きを見ている時間が長く、飼い主が部屋を出た後はドアに近づいたそうです。
2パターン目の実験では、マスクで顔を隠した飼い主と、マスクで顔を隠した見知らぬ人が部屋に入ってきます。このとき、犬が飼い主の動きを見ている時間が短くなったそうです。
同じ部屋に飼い主と見知らぬ人がおり、飼い主のニオイを感じ取ってはいるものの、マスクで顔を隠したことにより、どちらが飼い主なのかを認識することが難しくなったのでしょう。
この実験から分かることは、犬が飼い主を認識するためには、顔も重要な要素のひとつであるということなのではないでしょうか。
まとめ
犬の視覚が劣っていることを考えると、飼い主の顔を認識することは難しいように思いますが、全く顔を見ていない、全く顔を覚えていないということではないようです。
しかし、視覚よりも、優れた嗅覚と聴覚を持っているため、その能力を使った方が飼い主を認識しやすいのではないでしょうか。
飼い主が女性であると実感されているかもしれませんが、メイク(化粧)をしていても、していなくても、愛犬は飼い主だと認識してくれます。
たまにですが、いつもより濃いメイクをしたとき、顔に白いパックをしたときなど、警戒して近づこうとしなかったり、威嚇して吠えたりする犬もいるようですね。
飼い主の顔をしっかり認識することができている犬もいるということなのではないでしょうか。
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