トランプ新政権と日本はどう向き合えばいいのか?第1次トランプ政権で大統領補佐官を務めたジョン・ボルトン氏に私たちは話を聞きました。
【写真を見る】トランプ大統領の元側近、ボルトン氏が激白「日本は日米同盟の利益を理解させなければ」【風をよむ・サンデーモーニング】
巨大IT企業のトップが勢ぞろい
トランプ氏に取り入ろうと躍起になる巨大企業を描いた風刺画で、トランプ大統領の足下に大金を手にひざまずくのは「メタ」のザッカーバーグ氏や「アマゾン」の創業者ベゾス氏。
ベゾス氏がオーナーを務める「ワシントン・ポスト」は 掲載を拒否しました。ところが…トランプ大統領就任式では風刺画さながらの光景が繰り広げられたのです。
ザッカーバーグ氏、ベゾス氏に加え、グーグルのCEOなど、IT企業トップが勢揃いし、目立つ位置に陣取りました。 新政権と結びつきを強める巨大企業。注目されるのが…
実業家イーロン・ マスク氏
「死ぬ気で働くよ!」
就任式後の集会でも興奮気味のスピーチを行った、Xやテスラのオーナー、イーロン・マスク氏。
新政権では行政の歳出カットを図る「政府効率化省」のトップに就きました。
「求めるのは『イエスマン』や『イエスウーマン』」 “人事” から見えるトランプ政権
今回の第2次トランプ政権を支える側近や閣僚はトランプ氏と個人的に親しく、自身に忠誠を尽くす人物を選んだとされています。
こうした人事をどう見るのか。第1次トランプ政権で大統領補佐官を務めたジョン・ボルトン氏に聞きました。
元大統領補佐官 ジョン・ボルトン氏
「彼が求めるのは『イエスマン』や『イエスウーマン』。それは残念ながら国にとっても、トランプ氏にとっても良い結果をもたらさない。それでも自分がやりたいことをやりたがり、慎重な助言や他の選択肢の提示を好まない」
トランプ大統領(2017年)
「まさにこの瞬間から、アメリカ・ファーストとなる」
政治経験の無い史上初の大統領として登場した1期目のトランプ氏。
共和党穏健派のペンス氏を副大統領に、 元中央軍司令官・マティス氏を国防長官、 元国連大使のボルトン氏を国家安全保障担当補佐官に据えます。
結果的にこうした閣僚や側近がトランプ氏の暴走を食い止める役割を果たしたとされます。ところが…
トランプ大統領(2018年)
「結局考え方が違う。意見の相違だ」
意見が違うとみるや国務長官や国防長官でさえすぐさま解任するなど、政権を去る閣僚や側近が相次ぎました。
第1次トランプ政権の4年間で65の要職のうち、9割以上で離職があり、 辞任した閣僚は14人と歴代の政権で最多となったのです。
そうした中、今回早くも政権内から不協和音が。そのきっかけは…
トランプ政権 早くも不協和音?孫正義氏らの巨額な投資計画にマスク氏が疑問を呈す
トランプ大統領(21日)
「マイフレンド、マサ。孫正義さん」
21日、トランプ氏はアメリカでのAI開発にソフトバンクグループの 孫社長らが78兆円を投じる計画を公表しました。
ソフトバンクグループ 孫正義 会長兼社長(21日)
「あなた(トランプ氏)は言いましたね。『マサ、2000億ドルにしてくれ』って。ですから今日は5000億ドルを用意して戻ってきました」
これに対しこの人が異論を唱えたのです…
第2次トランプ政権発足後、掲げられた巨額のAI開発計画。
ところが会見直後、イーロン・マスク氏が「彼らにお金はない」と疑問を呈したのです。
マスク氏を巡っては、移民受け入れや対中関係について、 トランプ氏と立場を異にすると言われています。
自らもトランプ氏と対立して政権を去ったボルトン氏は…
元大統領補佐官 ジョン・ボルトン氏
「マスク氏が求めているのはビジネスの利益。その利益は トランプ支持者や他の側近たちと違うもので衝突は避けられない。 1期目のように、2期目でも多くの離職者が出ると思う」
「金正恩との再会談は時間の問題」
今回も人事が注目される中、その影響を大きく受けるとみられるのが「外交・安全保障」の分野です。
2018年、史上初めて行われた米朝首脳会談。3回に及んだ会談に ボルトン氏はすべて立ち会いました。
第2次政権で同じ立場となるのがウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)。新政権の北朝鮮政策はどうなるのでしょうか?
元大統領補佐官 ジョン・ボルトン氏
「北朝鮮に関して言えば、金正恩との再会談は時間の問題。 トランプ氏は平壌に行きたがるだろうし、 この1年以内に起こる可能性がある」
また安全保障分野の鍵を握る国防長官の要職を任されたのは「FOXニュース」の司会者だったヘグセス氏。
こうしたトランプ流人事のもと、今後の日米関係については…
「日本はトランプ氏に日米同盟の利益を理解させなければならない」
元大統領補佐官 ジョン・ボルトン氏
「トランプ氏は本能と個人的関係に基づいて行動し、国家安全保障政策に関係ない人々からの話を頼りにする。1期目とは違い今の世界は はるかに危険で中国が持つ覇権的野望を見ると、日本はトランプ氏に日米同盟の利益を理解させなければならない」
今回インタビューに答えてくれたボルトン氏。
実は大統領就任式直後、トランプ氏によって これまで行われてきた政府による警護が打ち切られました。
度々トランプ氏を批判してきた報復措置とみられています。
始動した第2次トランプ政権。 日本はどう向き合っていけばいいのでしょうか。
(サンデーモーニング 2025年1月26日 放送)