トランプ大統領 自動車関税25%程度との見通し示す 矢継ぎ早の関税政策の狙いとは【Bizスクエア】

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2025-02-26 06:30
トランプ大統領 自動車関税25%程度との見通し示す 矢継ぎ早の関税政策の狙いとは【Bizスクエア】

トランプ大統領は輸入する自動車の関税について25%程度の税率となる見通しだと明らかにした。日本も対象となれば大きな打撃となる。

【写真を見る】トランプ大統領就任1か月 自動車関税25%の影響は

矢継ぎ早のトランプ関税 自動車・医薬品・半導体

トランプ大統領:
(自動車関税の税率は決めたか?)おそらく詳細は4月2日に言うことになるが、税率は25%程度になるだろう。

アメリカのトランプ大統領は2月18日、導入の意向を示していた輸入自動車の関税について、25%程度の税率になるとし、詳細は4月2日に説明する意向を示した。これを受け、経済界からは…

日本商工会議所 小林健会頭:
(“トランプ関税”を)100%捉えれば、これはもう非常に大きな問題。貿易抜きにしては日本経済は成り立っていかない。

また、トランプ大統領は医薬品と半導体についても高い関税を課す考えを明らかにした。

トランプ大統領:
(医薬品と半導体も)25%以上になるだろう。さらにこの1年のうちに大幅に税率が上がるだろう。

そして、アメリカに製品を輸出している、国外の企業に対しては…

トランプ大統領:
アメリカに工場を移転する時間は与えるつもりだ。アメリカに工場を移せば関税はかからない。チャンスを与えようと思う。

さらに、翌日…

トランプ大統領:
来月かそれより前に、自動車、半導体、医薬品、木材などの関税を発表する。

こうしたトランプ大統領の相次ぐ関税政策の発表で、2月20日の東京株式市場は自動車など、輸出関連株が売られ、日経平均株価は一時600円以上値下がりした。

トランプ大統領就任1か月 株式市場の受け止めは?

大統領就任から1か月。トランプ氏は公約を猛スピードで実現している。

トランプ大統領:
「国家エネルギーの非常事事態を宣言する。掘って掘って掘りまくれ」
「『関税は辞書の中で最も美しい言葉だ』といつも言っている」
「我々はプラスチックストローに戻るんだ。それはいいことだ」

不法移民の排除や政府職員の削減など就任してから署名した大統領令は少なくとも70本を超えた。こうした政策に、市場はどう反応しているのか。SMBC信託銀行の山口真弘氏は…

SMBC信託銀行 チーフマーケットアナリスト 山口真弘氏:
関税がここまで早く持ち出されるとは、正直思っていなかった。ゆっくりやっていくだろうと思っていたのが、意外と早く現実のものになりそうなので、投資家心理が悪化しやすい地合いになってしまっていることが、ある意味サプライズ。トランプ大統領の発表の仕方もセンセーショナルで、結構インパクトを持って、アメリカ株市場も反応していたが、だんだんそれに慣れてきたことと、実際どうなるかはまだわからないので、それを織り込むには少し早いということだ。

日本株への影響については…

SMBC信託銀行 チーフマーケットアナリスト 山口真弘氏:
どちらかというとリスクは下方向にあるのではと思っていて、関税政策によって景気が悪くなるという部分が警戒されやすくなる。日経平均株価は3万5000円ぐらいまでは引き続き、ダウンサイド(下振れ)はあるだろうと思う。ただ減税策などへの期待が逆に高まってくると思うので、関税策が先に出て、株が下押しされて、仮に3万5000円までいったとしても、減税策が出てきたら、それがきっかけに戻しを試す展開はあり得る。

トランプ大統領就任1か月 矢継ぎ早の関税政策の狙いは

ワシントン支局の涌井記者に話を聞いた。

――関税のターゲットに自動車・半導体・医薬品も加わった。これはなぜか。

ワシントン支局 涌井文晶記者:
トランプ大統領の自動車・半導体・医薬品の関税については、国内に工場を呼び込んで雇用を生み出すという目的で関税を課すんだという説明に重点を置いている。産業界に対しては繰り返し、アメリカで製造すれば関税はかからないとアピールしており、自動車工場などをアメリカに呼び込みたい考えだ。また、医薬品は中国、半導体は台湾からの輸入に依存しているため、中国に対する経済安全保障強化という観点からも国内に生産を戻したいという意向がうかがえる。ただ、この関税がこれまでの相互関税とどう関係するのかあるいは全く別の枠組みなのかといった詳細は現時点ではわかっていない。

トランプ大統領就任1か月 アメリカ国内での受け止めは?

――矢継ぎ早に打ち出されている幅広い関税の上乗せは米国経済に大きな影響を与えるが、国内の反応は?

ワシントン支局 涌井文晶記者:
エコノミストたちからは、国内の物価上昇に繋がるという警告が続けられている。また、世論調査でも、メキシコやカナダに関税を課せば物価上昇に繋がるとして反対の声が強くなっている。ただトランプ大統領自身は「物価上昇があったとしても、あくまで一時的な痛みだ」などと説明しており、今後も関税を自身の政策ツールとして使い続ける姿勢は崩していない。

トランプ大統領就任1か月 特徴的なことは?今後は?

――トランプ大統領のスタートダッシュの特徴と今後のポイントは?

ワシントン支局 涌井文晶記者:
最初の1か月間は、大統領選勝利に導いた岩盤支持層に報いるということに力を入れていた。不法移民の対策や多様性に配慮していた政府の方針の見直しなど、保守的な選挙公約をどんどん実行に移している。また政策を矢継ぎ早に打ち出すことで自身への反対派、あるいはメディアがじっくり検証や反論ができないという狙いがあるとも言われている。実際、民主党はこの間、存在感を失ってしまっている。ただこうした政権発足後の動きは、無党派層など幅広い国民へのアピールには繋がっていない。世論調査での支持率は政権発足直後からわずかながら低下している。2年後には中間選挙が控えるという状況。徐々にもう少しウイングを広げるために「チップや残業代は免税」といった幅広い層に恩恵が及ぶような政策に徐々にシフトしていくものとみられる。

矢継ぎ早のトランプ関税 自動車関税25%の影響は

矢継ぎ早に出している関税政策をまとめた。2月の初めにトランプ大統領が、カナダ・メキシコ・中国に関税を課す大統領令に署名をした。先週は鉄鋼とアルミニウムに25%の関税、さらに貿易相手国に対して同じ水準の関税を課すという相互関税の検討も指示をした。今週はアメリカに輸入される自動車に対する25%程度の関税措置を打ち出した。

――政権内でも整理はできていないのではないか。

早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏:
できてないと思う。アメリカは今はっきりと分裂している。トランプ支持層であり共和党の支持層はどちらかというとアメリカの中西部などで中国とかアジアからの輸入品で我々の雇用が奪われてきたという人たち。そちら側にはこういう政策は受けがいい。民主党支持者のことはもう気にしていない。普通に見ると過激な過激な政策が出てくる。

4月1日に国別の報告書が出る。ここで整理してくるのではないかとされる中で、一番気になるのが、自動車。現在アメリカは日本から輸入する乗用車には2.5%、トラックには25%の関税を課している。一方で日本側の関税率は0%。乗用車の2.5%を25%にすると言っているので、発動されると日本への影響は大きい。

対米輸出額を見てみると、自動車は部品も含めると34%を占めており、まさに基幹産業だ。自動車関連だけで対米輸出の3分の1を占めている。メキシコやカナダ経由でアメリカに入っているものもある。

――自動車25%関税をやられると、日本はやはり、つらい。

早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏:
4月1日の国別レポート次第。このレポートでアメリカがさらに強気なレポートを出してくる可能性はある。作成するのは商務省で、ハワード・ラトニックという商務長官は非常に関税主義者。80年代の日米構造協議の時も、日本はアメリカからの自動車の関税率は低く0%だが、それ以外の例えば流通システムなどいろんなところが非常に複雑。アメリカの自動車が売れない仕組みになっているという非関税障壁にいろいろ難癖をつけてきたという時代があった。おそらく関税は低いが、それ以外の商慣行で実質的に関税が高いことと同じではないかと。なので我々も関税を上げるんだというロジックが出てくる可能性は十二分にある。

日本の自動車メーカーのアメリカへの輸出台数を見てみると、トヨタ自動車は53万台超。マツダは28万台、スバルは30万台、三菱自動車が10万台などとなっている。

――マツダやスバルは、現地生産よりも直接輸出車が多く、今回の関税政策のダメージをもろに受ける。

早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏:
アメリカに10年住んでいたが、スバルやマツダは民主党支持者に人気がある。リベラル層に人気があり、逆にいえば、共和党支持の保守層は、GMやピックアップトラックに乗っている。民主党のことを考えなくていいとすると、こういったところに関税を課してダメージがあっても気にしないという可能性はある。

アメリカの消費者、国民の中の分断がいかにすごいかということが支持率にも表れている。トランプ大統領の支持率を見ると、1月の就任後に行われた調査より2ポイント下がって45%。「支持しない」と答えた人は3ポイント上がって51%だった。仕事ぶりの評価で見ると共和党支持者は93%が評価していて、民主党支持者は4%しか支持していない。

――トランプ政権に日本や他国はどう立ち向かえば良いのか。「適用除外」をお願いできるのか。

本来なら、日本も強気で「報復関税を出すぞ」ぐらいの姿勢で臨むのもあり得る。ただ今の石破政権は非常に政権基盤が脆弱。そうすると例えば自動車の業界団体などから「強気の報復関税はやめてください」みたいになると聞かざるを得ない状態。政権基盤が弱いことが今、裏目に出ているのかもしれない。

(BS-TBS『Bizスクエア』 2月22日放送より)

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