トランプ政権 ベネズエラのギャングを国外追放…エルサルバドルの“世界最恐”刑務所へ移送 「敵性外国人法」の適用に非難の声【news23】
武装した警察官に囲まれる、アメリカから国外追放されたベネズエラのギャング組織のメンバー。移送されたのは、中米のエルサルバドルの「テロリスト監禁センター」です。強制送還には、戦時中に日系人の強制収容にも使われた法律が適用され、非難の声が上がっています。
追放ギャング 中米の刑務所に
アメリカ ルビオ国務長官
「トレン・デ・アラグアのギャングのメンバーをエルサルバドルへ移送した」
アメリカのルビオ国務長官は16日、南米・ベネズエラのギャングのメンバー数百人を追放し、「エルサルバドル」が受け入れるとSNSで明らかにしました。
その後、エルサルバドル政府が公開した映像です。
空港に着陸した1機の航空機。武装した警察官に囲まれ、男たちが1人ずつタラップから下ろされます。そして厳重な警戒態勢の中、移送。頑丈な壁に覆われた建物の中へ…
男たちは、その場で髪を刈られ囚人服を着せられると、1か所に集められました。
エルサルバドル ブケレ大統領
「トレン・デ・アラグアの最初のメンバーが我が国に到着した。『テロリスト監禁センター』に1年間収容する」
私たちは去年、この場所を取材していました。
記者
「見えてきました、巨大な建物。入り口には銃を持った兵士たちがたくさん立っています」
記者
「いきなりありました。いま声をかけられました。一斉にこちらを見ています」
「こちらをにらみつけてくるような受刑者もいます。すごい迫力」
“敵性外国人法”発動に非難
トランプ大統領は15日、アメリカがベネズエラのギャングによる侵略などの脅威にさらされているとして、「敵性外国人法」を活用。ベネズエラから不法に入国したギャングのメンバーを強制送還すると発表していました。
「敵性外国人法」は、戦時下で敵対する国の市民を拘束したり、送還したりできる権限を大統領に与えていて、第2次世界大戦中には、日系アメリカ人を強制収容するために使われました。
ただ、今回の措置に対し裁判所が暫定的な差し止めを命じましたが、政権側は応じなかった形です。
記者
「『敵性外国人法』は、これまで3回しか発動されたことがない、それはいずれも戦時中でした。現状での使用は適切と考えますか?」
アメリカ トランプ大統領
「今は戦時中だよ。バイデンが何百万の人を入国させ、その中には多くの凶悪犯が含まれているからだ」
エルサルバドルのブケレ大統領はアメリカの裁判所の命令に対し、SNSで「あら、手遅れだ」と投稿しました。
一方、日系アメリカ人の強制収容所の歴史を伝えるロサンゼルスの全米日系人博物館は15日、「敵性外国人法はその文言通り、差別的なものである」と非難する声明を発表しました。
その上で、「博物館はこのようなことが決して繰り返されてはならないとの誓いのもと設立されたが、この誓いが脅かされている」と警鐘を鳴らしています。