休館前のラストチャンス!伊藤若冲・貴族文化・日本の美!至極の花アート展『百花ひらく』開催 皇居三の丸尚蔵館
こんにちは。本日の特集は、東京都千代田区の皇居東御苑内にある皇居三の丸尚蔵館で開催中の展覧会『百花ひらく-花々をめぐる美-』です。
この展覧会では、皇室に伝わる貴重な美術品の中から、花を題材にした絵画・工芸品・書跡45件が展示されており、江戸時代の天才絵師・伊藤若冲の国宝《動植綵絵》の一部も特別公開されています。
今回は加藤渚キャスターが、施設の解説員とともにその魅力をリポートしてきました。

加藤渚
私は今、皇居東御苑に来ています。ここにある皇居三の丸尚蔵館で、現在『百花ひらく』展が開催中です。
今日はまだ桜は咲いていませんが、もう少しするとお花見もできるそうです。
そんな春の訪れを感じる花々をテーマにした美術品の数々を、早速見にいきましょう。

加藤渚
本日は、皇居三の丸尚蔵館の戸田浩之(とだひろゆき)さんに解説していただきます。よろしくお願いします。
解説員
よろしくお願いします。本展では、四季折々の花々を題材とした作品を展示しており、日本美術の楽しさや表現等をお楽しみいただければと思います。

加藤渚
まずはこちら。江戸時代の天才絵師、伊藤若冲の国宝「動植綵絵」の一部ですね!

解説員
はい、そうなんです。「動植綵絵」は伊藤若冲が絵を本格的にはじめた40歳から約10年をかけて描いた30幅からなる大作。動物、鳥、植物等、色鮮やかに描いた作品。今回はその30幅の中から、春から初夏にかけての花々を描いた4幅をそれぞれ前期と後期で2幅ずつわけて展示しています。
加藤渚
こちらの作品「桃花小禽図」、とても鮮やかですね!桃の花の柔らかい質感が際立っています。
解説員
若冲は、色彩の美しさとを緻密な描き込みで、生命力や鮮やかさをうまく表現しています。また、動植綵絵全般にいえることですが、それぞれの画がとても生き生きと色鮮やかに、それでいて各作品の個性をうまく表現しています。 どこをとっても見どころのある作品となっています。

加藤渚
ここで皆さんにクイズです!
この「動植綵絵」は、もともとある場所に所蔵された作品なのですが、それはどこでしょう?
① 皇居
② 相国寺(しょうこくじ)
③ 金閣寺

加藤渚
正解は…②の相国寺です!
伊藤若冲は、自身とゆかりのあった京都の相国寺にこの「動植綵絵」を寄進しました。その後、明治時代に皇室に献上され、現在は貴重なコレクションの一部となっています。
解説員
皇室に収められてからは、賓客などをお迎えする際に宮殿の中に掛けられたりしています、。若冲の代表作として国宝にも指定されています。
加藤渚
続いてはこちら。平安時代の作品とのことですが、”花”とはどのような関わりがあるのですか?
解説員
はい。こちらは”花”を読んだ和歌がかかれています。この作品は、堤中納言とよばれた藤原兼輔の和歌を書写した一部です。平安貴族はとても和歌を重要視していて、歌をよむことは重要な教養のひとつだった。その和歌の題材として”花”が好まれていました。


加藤渚
続いては、こちらの工芸品。これはどのようなものなのでしょうか?

解説員
この作品は、裁縫箱と裁縫道具のセットです。昭和天皇が香淳皇后が御結婚されたことを記念して献上された作品のひとつです。

加藤渚
裁縫セットは思えないほど豪華で、すごく綺麗ですよね。
解説員
「源氏物語」の「初音」に登場する和歌をもとにデザインされています。箱本体には桐が使われており、玳瑁や貝などさまざまな素材をはめこんで、松や橘、紅白の梅、そして和歌の文字を表現しています。
加藤渚
和歌をモチーフにしてできたもの?
解説員
はい、とてもめでたい内容の和歌です。
加藤渚
こちらの裁縫道具にも、装飾が施されていますよね?
解説員
例えば、はさみにも梅とか花が象嵌されています。糸巻にも蒔絵が施されているなど贅をつくした作品となっています。

加藤渚
さて、ここでもう一つクイズです
この展覧会のタイトルにもある「百花ひらく」
この言葉には、もともとどんな意味があるでしょうか?
① 花が咲き誇る様子
② 貴族の衣装を表す言葉
③ 花を使った書道の技法
(数秒間…)
加藤渚
正解は…①の“花が咲き誇る様子”です。
「百花繚乱」という言葉がありますが、それと同じように、さまざまな花が咲き誇る様子を表現した言葉なんだそうです。

解説員
今回の展覧会はこのタイトルの通り「花」を題材にしたさまざまな時代の作品がならんでいます。ぜひ若い方にも見ていただき楽しんでいただきたいと思っています。
加藤渚
いかがでしたか?歴史ある美術品を通じて、日本の四季の美しさを感じることができましたね。

解説員
こちらの展覧会 ”百花ひらく”は5月6日まで開催しています。東御苑の散策を兼ねて、お花見をお楽しみいただければと思います。
加藤渚
春爛漫のこの季節、皆さんもぜひ訪れてみてください! 戸田さん、本日はありがとうございました。
解説員
ありがとうございました。
花をテーマにした作品の数々、そして伊藤若冲の名作が楽しめる貴重な展覧会ですね。
本展の会期終了後、皇居三の丸尚蔵館は新施設の建設工事に伴い、2026年秋の全面開館まで一時休館となります。
今回の展覧会が、休館前に皇室の貴重な名宝を鑑賞できる最後の機会となります。
この貴重な展覧会、ぜひお見逃しなく。
