退職代行サービスを利用して退社した人のその後とは?年収アップ?それとも…

2025-04-14 08:00
退職代行サービスを利用して退社した人のその後とは?年収アップ?それとも…

会社に不満があったり、社内の人間関係がうまくいっていないからといって、そのまま何も言わずにフェードアウトして退社することはできない。だが、だからといって自分の口から退職の意思を伝えることは、多くの人にとって簡単なことではない。そんな悩みに応えるように登場したのが退職代行サービスだ。では、そんな退職代行サービスを利用して退社した場合、その後の転職活動や新しい職場での適応、年収や労働環境の変化などは実際のところどうなのだろう。そこで今回、20代・30代に特化したハイクラス型転職サイト「タレントスクエア」(https://talentsquare.co.jp/)を運営するタレントスクエア株式会社では、退職代行サービスを利用したことがある人を対象に、「退職代行サービスの利用実態」に関する調査を実施した。

退職代行サービス利用後の現在は?

はじめに、利用したことのある退職代行サービスを聞いたところ、次のような名前が上がった。

利用したことのある退職代行サービスは?
・アディーレ法律事務所(20代/男性/埼玉県)
・退職代行ガーディアン(20代/男性/東京都)
・退職代行モームリ(30代/女性/福岡県)
・退職代行EXIT(30代/男性/愛知県)
・退職代行TORIKESHI(40代/女性/京都府)
・リーガルジャパン(40代/男性/兵庫県)

では、これらの退職代行サービスを利用した人はその後、どのようなキャリアを歩んでいるのだろうか。

「退職代行を利用した後の現在の状況を教えてください」と質問したところ、『正社員として転職した(73.8%)』と回答した人が最も多く、次いで『派遣社員として転職した(8.7%)』『契約社員として転職した(5.1%)』となった。正社員として転職できた人が7割以上となっており、退職代行サービスを利用しても無事に正社員として転職できているケースが多いことが分かった。

退職代行サービスの利用と転職活動のタイミングは?

では彼らは、どのようなタイミングで退職代行サービスを利用したのだろうか。そこで、前の質問で『正社員として転職した』『派遣社員として転職した』『契約社員として転職した』『アルバイト・パートとして働いている』と回答した人に聞いた。

「退職代行サービスの利用と転職活動のタイミングについて、当てはまるものを選んでください」と質問したところ、以下のような回答結果になった。

『転職先を決めてから退職代行を利用した(46.7%)』
『転職活動と並行して退職代行を利用した(42.7%)』

『退職代行を利用して退職した後に転職活動を始めた(10.6%)』

退職代行サービスを利用する人の多くは、退職後の不安を最小限に抑えるために事前に転職先を確保しているか、転職活動を既に始めていることが分かる。だが一方で、まず退職してから転職活動に臨む人も一定数存在しており、その背景には精神的な余裕や職場環境の差が影響している可能性が考えられそうだ。では、退職代行サービスを利用した後、どのくらいの期間で次の仕事に就いたのだろうか。「退職代行サービスを利用した後、どのくらいの期間で次の仕事に就きましたか?」と質問したところ、転職活動のタイミング別で以下のような回答結果になった。

・転職先を決めてから退職代行を利用した人
『1週間以内(42.1%)』
『1週間~1ヶ月以内(57.9%)』

『1~3ヶ月以内(0.0%)』
『3~6ヶ月以内(0.0%)』
『6ヶ月~1年以内(0.0%)』
『1年以上(0.0%)』

・転職活動と並行して退職代行を利用した人
『1週間以内(4.3%)』
『1週間~1ヶ月以内(34.9%)』

『1~3ヶ月以内(43.3%)』
『3~6ヶ月以内(10.7%)』
『6ヶ月~1年以内(3.8%)』
『1年以上(3.0%)』

・退職代行を利用して退職した後に転職活動を始めた人
『1週間以内(4.5%)』
『1週間~1ヶ月以内(16.4%)』

『1~3ヶ月以内(39.1%)』
『3~6ヶ月以内(20.0%)』
『6ヶ月~1年以内(8.2%)』
『1年以上(11.8%)』

転職先を決めてから退職代行サービスを利用した人の全員が『1週間以内』あるいは『1週間~1ヶ月以内』と回答したことから、比較的早期に次の仕事に就いていることが示された。また転職活動と並行して退職代行サービスを利用した人、退職代行サービスを利用して退職した後に転職活動を始めた人の多くは、3か月以内に転職先を決めており、退職代行サービスを利用後の転職活動はそれほど長期化しない傾向が見られた。一方で、退職後に転職活動を始めた人の中には、活動が長期化するケースも一定数存在していることがわかった。

退職代行サービス利用者の約4割が転職後に年収アップ

次に、退職代行サービスを利用して転職した後の年収について、引き続き『正社員として転職した』『派遣社員として転職した』『契約社員として転職した』『アルバイト・パートとして働いている』と回答した人に聞いた。

「退職代行サービスを利用して転職した後、年収に変化はありましたか?」と質問したところ、『上がった(40.3%)』『変わらない(51.8%)』『下がった(7.9%)』という回答結果になった。

厚生労働省が発表した「令和6年上半期雇用動向調査結果」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-1/dl/gaikyou.pdf)では、転職して賃金が上がった割合が約4割、変わらない割合が約3割、減少した割合が約3割だが、今回の調査では退職代行サービスを利用した人の約4割が年収アップを実現し、半数以上が現状維持、年収ダウンにおいては1割未満となり、相場より良い結果で転職していることがわかった。では、働き方において残業時間の変化はどうだろうか。

「退職代行サービスを利用して転職した後、残業時間に変化はありましたか?」と質問したところ、『長くなった(25.4%)』『変わらない(54.9%)』『短くなった(19.7%)』という回答結果になり、半数以上の人が残業時間に「変化がなかった」と回答している一方で、残りの約4割は何らかの変化を感じていることが分かった。特に「長くなった」と答えた人のほうが「短くなった」と答えた人を上回ったことから、転職によって必ずしも労働時間の改善に繋がるとは限らないことがうかがえる。では、そうした人たちは新たな職場にどのように適応しているのだろうか。

「退職代行サービスを利用して転職した職場には、スムーズに馴染むことができましたか?」と質問したところ、約9割が『すぐに馴染めた(33.5%)』『少し時間がかかったが、馴染めた(53.1%)』と回答し、多くの人が新しい職場に問題なく適応できていることがわかった。この結果から、退職代行サービスを利用した場合でも、その後の転職先にスムーズに馴染める可能性は十分にあると考えられそうだ。

退職代行サービス利用者の満足度は?

退職代行サービスを利用して転職した人の年収や残業時間の変化などがわかったが、退職代行サービスを利用して退職したことに対して満足している人はどのくらいいるのだろうか。ここからは、再び全員に聞いた。

「退職代行サービスを利用して退職したことの満足度を教えてください」と質問したところ、以下のような回答結果になった。

『とても満足した(31.6%)』
『やや満足した(54.4%)』

『あまり満足していない(11.7%)』
『全く満足していない(2.3%)』

『とても満足した』『やや満足した』と回答した人を合わせると、約9割が退職代行サービスを利用して退職したことに満足しているようだ。では、どのような理由で満足している、あるいは満足していないのだろうか。

前の質問で『とても満足した』『やや満足した』と回答した人に、「退職代行サービスを利用して『満足した』と回答した理由を教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『会社と直接やりとりせずにすんだ(46.0%)』と回答した人が最も多く、次いで『精神的な負担が軽減された(39.4%)』『予想以上にスムーズに退職できた(37.5%)』となり、退職時の会社との交渉やストレスを回避できたことや、スムーズに退職できたことが満足度の向上に寄与していることがわかった。

一方で、先程の質問で『あまり満足していない』『全く満足していない』と回答した人に、「退職代行サービスを利用して『満足していない』と回答した理由を教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『有給休暇を消化できなかった(30.3%)』と回答した人が最も多く、次いで『懲戒解雇処分を言い渡された(23.9%)』『家族や知人から否定的な意見を受けた(16.8%)』という結果に。通常の退職手続きでは得られるはずの権利が行使できなかったり、退職の仕方が周囲から否定的に捉えられたりしたことが満足度に影響を与えていることが明らかになった。

【調査概要】「退職代行サービスの利用実態」に関する調査
調査期間/2025年3月14日(金)~2025年3月17日(月)
調査方法/PRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
調査人数/1,110人
調査対象/調査回答時に退職代行サービスを利用したことがあると回答したモニター
調査元/タレントスクエア株式会社(https://talentsquare.co.jp/career/corp/)
モニター提供元/PRIZMAリサーチ

たしかコロナ禍の真っ只中だったと記憶しているが、記者の最寄駅近くの裏路地にあるビルに、すごく印象に残る名前の会社がテナントで入った。それからしばらくして、世間では上司と顔を合わせることなく退職できる退職代行サービスが流行っているとテレビで報じられ始めた。「へえ、時代は変わったなぁ」なんて呑気にテレビ画面を見ていたら、件の会社が紹介されていた。そう、それが一躍世に知られた退職代行サービス会社だ。賛否両論あるサービスかもしれないが、記者としては時代の流れに沿ったサービスではないかと思っている。記者の時代は何でもかんでも根性で押し切ることを強制され、自分でもそれになんの疑問も持たずに社会人として30年以上を過ごしてきたが、いざ自分の子どもが働き出したら、根性論なんかで我が子を潰されたくないと感じ始めたからだ。それに、昔なら「スランプでしょ」で済まされてきたことが今ではうつ病として認定されたり、当たり前だった上司からの叱責や飲み会の参加強制などがパワハラ、セクハラ認定される時代に。もはや昔とは違う世界なのだ。だからこそ、心に傷が残ることなく新たなステップが歩みだせるこんなサービスが、世間でも一般的になればいいなと思う。だが、そもそもの原因となる事象を改めさせることが、こんな時代を変える一番の近道なのだが……。

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