猫に『パン』はあげちゃダメ!危険と言われる4つの理由と、パンに含まれる猫には有害な成分を解説

2025-05-08 20:20

「猫にパンを与えてはいけない」という情報を目にしたことはありませんか?愛猫が美味しそうにパンを食べる姿を想像すると、ついおすそ分けしたくなるかもしれません。しかし、人間の食べ物であるパンは、猫にとって消化不良や体調不良を引き起こす可能性があり、場合によっては危険な食材です。本記事では、猫にパンを与えてはいけないと言われる理由を詳しく解説します。

猫に「パン」をあげてはいけない理由

パンと子猫

1.消化不良になる

肉食である猫は消化器官が短く、特に植物性タンパク質や炭水化物の消化を得意としません。

パンの主成分である小麦粉は、猫にとって消化しにくい「グルテン」を多く含んでいます。グルテンは、猫の繊細な消化器官内で完全に分解されにくく、未消化のまま腸に送られることがあります。

これにより腸内環境の悪化を引き起こし、下痢や嘔吐といった消化不良の症状を引き起こす可能性があるのです。

また、パンに含まれる食物繊維も、猫の消化能力を超える量になると消化器トラブルの原因となることがあります。

特に、全粒粉パンのように食物繊維が豊富なパンは、少量でも猫の体に負担をかける可能性があるため注意が必要です。

2.猫は肉食動物

猫は、進化の過程で主に動物性のタンパク質からエネルギーを得る肉食動物として適応してきました。

猫の消化器官は、肉類に含まれるタンパク質や脂肪を効率的に消化吸収するように特化しており、植物性の食品を大量に摂取することを前提としていません。パンの主成分である炭水化物は、猫にとって必須の栄養素ではないのです。

猫は、動物性タンパク質を分解する酵素は豊富に持っていますが、炭水化物を分解する酵素の分泌量は犬などの雑食動物と比較して少ない傾向にあります。

そのため、パンのような炭水化物中心の食品を摂取すると消化に時間がかかり、消化不良を引き起こしやすくなるので注意が必要です。

3.消化酵素の違い

猫と人間では、食べ物を消化するために分泌される消化酵素の種類や量が異なります。

特に、唾液中に含まれ、炭水化物の分解を担う「アミラーゼ」という酵素の活性が、猫は人間や犬に比べて非常に低いと言われています。

これは猫が主に肉食であり、炭水化物を大量に摂取する必要がないためです。そのため、パンに含まれるデンプン質の消化を効率的に行うことができず、未消化のまま腸に送られる可能性が高くなります。

腸内では未消化の炭水化物が異常発酵を引き起こし、ガスが溜まったり、下痢や腹痛の原因となることがあるので気を付けなくてはいけません。

4.炭水化物(糖質)の過剰摂取によるリスク

猫は、犬や人間と異なり、炭水化物から効率的にエネルギーを作り出す能力が低いと考えられています。猫のエネルギー源の主体は、動物性タンパク質と脂肪です。

パンは炭水化物(糖質)を多く含むため、猫が過剰に摂取すると、エネルギー過多となり、肥満のリスクが高まります。

肥満は、糖尿病、関節炎、心臓病など、さまざまな生活習慣病を引き起こす可能性があるので注意しなくてはいけません。また、炭水化物は体内で脂肪に変換されやすく、内臓脂肪の蓄積を招くこともあります。

猫の健康を維持するためには、炭水化物の摂取量を適切に管理し、パンのような炭水化物中心の食品はできる限り避けるようにしましょう。

「パン」に含まれる猫に害を与える可能性のある成分

パンを咥えて走る猫

イースト菌

生のパン生地に含まれるイースト菌は、猫の体内で発酵を続けることがあります。この発酵過程でエタノール(アルコール)や二酸化炭素が生成され、個体によってはアルコール中毒を引き起こす危険性があるので注意が必要です。

少量でも猫の小さな体には影響が出やすく、嘔吐、下痢、ふらつき、意識障害などの症状があらわれることがあります。重症化すると呼吸困難や昏睡状態に陥る可能性もあり、最悪の場合は命に関わることも。

また、発酵によって生地が膨張し、胃腸内でガスが溜まり、腹部膨満や激しい痛みを引き起こすこともあります。焼かれたパンであればイースト菌の活性は失われますが、生のパン生地は絶対に与えてはいけません。

塩分

パンには、製造過程で塩分が添加されていることが一般的です。塩分に含まれるナトリウムは心臓や腎臓などの器官に影響を与える危険性があります。

猫の腎臓は、一度機能が低下すると回復が難しいとされており、慢性腎臓病のリスクを高める可能性があるので注意しなければなりません。

初期には目立った症状が現れにくいものの、進行すると多飲多尿、食欲不振、体重減少などの症状が見られるようになります。持病や全身状態によって、摂取を調節すべき栄養素もあるので注意が必要です。

砂糖・甘味料

菓子パンなどに多く含まれる砂糖や人工甘味料は、猫にとって過剰なエネルギー源となり、肥満のリスクを高めます。

肥満は、関節炎や呼吸器系の疾患、さらには糖尿病といったさまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。特に、猫の糖尿病はインスリン依存性であることが多く、生涯にわたる治療が必要となる場合があるようです。

また、一部の人工甘味料は猫にとって有毒である可能性も指摘されています。甘い味に猫が興味を示すことがあるかもしれませんが、安易に与えることは避けるようにしましょう。

菓子パンなどに使われているチョコレートやレーズンなども、猫にとっては中毒症状が引き起こされる危険な食材です。摂取量が多いと命にかかわることもあるので、猫が口にしないよう注意して保管するようにしてください。

添加物

パンには、風味や食感を良くしたり、保存性を高めたりするために、さまざまな添加物が使用されています。

人工甘味料、保存料、着色料、香料など、これらの添加物の中には、猫の体質によっては消化不良、アレルギー反応、肝臓や腎臓への負担など、さまざまな体調不良を引き起こす可能性があるものが含まれています。

猫は人間と代謝の仕方が異なるため、人間には安全な添加物でも猫には有害となる場合が多いのです。

特に、安価なパンや加工されたパンには多くの添加物が含まれている可能性があります。猫の健康を守るためには、できるだけ添加物の少ない、猫用の安全な食品を選ぶようにしましょう。

油脂

パンに含まれる油脂分は、猫にとって消化しにくい場合があります。特に、バターやマーガリン、揚げ油などを多く含む総菜パンや菓子パンは、消化不良を引き起こし、下痢や嘔吐の原因となることがあるので注意しましょう。

また、高脂肪食は猫の膵臓に大きな負担をかけ、急性膵炎を引き起こすリスクを高めます。膵炎は激しい腹痛や嘔吐を伴い、重症化すると命に関わることもある危険な病気です。

パンの種類によっては、猫にとって過剰な油脂分を含んでいる場合があるため、与えることは避けるようにしてください。

猫が「パン」を誤食したときは

パンをかじる猫

猫がパンを誤食してしまった場合、まずは少量であれば、落ち着いて猫の様子を注意深く観察しましょう。消化不良による嘔吐や下痢、元気がないなどの症状が見られないかを確認します。

また、菓子パンや総菜パンなど、砂糖や油脂、添加物を多く含むパンを大量に食べた場合も、念のため動物病院に相談することをおすすめします。

自己判断せずに、少しでも気になる症状があれば、獣医師の指示を仰ぐことが大切です。誤食したパンの種類や量、猫の様子を正確に伝えられるようにしておきましょう。

まとめ

パンと横になる猫

猫にとって人間用のパンは、体に害を及ぼす危険な成分が多く含まれているため与えるのは避けるようにしてください。

特に「菓子パン」や「総菜パン」は、パンの成分だけでなく、猫が中毒症状を引き起こす原因となる食材が使用されていることが多いです。

本来、パンの主成分である炭水化物は猫にとって重要な成分ではありません。パンを食べさせるのであれば、必ず「猫用」のものを少量、おやつ程度に与えるくらいにしておきましょうね。

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