「捕まらなければ、エンドレスで事件を…」座間9人殺害事件で死刑執行の白石隆浩・元死刑囚が記者との面会で語った犯行動機の変遷

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-07-27 06:30
「捕まらなければ、エンドレスで事件を…」座間9人殺害事件で死刑執行の白石隆浩・元死刑囚が記者との面会で語った犯行動機の変遷

「捕まらなければ、エンドレスで事件を起こしていた」。2025年6月に死刑が執行された白石隆浩・元死刑囚(34)が生前、記者に語った言葉だ。SNSで自殺をほのめかす人たちを狙い、相次いで9人を殺害した白石・元死刑囚は、死刑判決の日まで記者の面会に応じていた。犯行の動機やSNSを使った理由を、詳細に明かしていた。(本文中敬称略)

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※前編・後編のうち前編

SNSで自殺志願者に「一緒に死のう」とウソ

2020年8月。立川拘置所(東京・立川市)の接見室に現れた白石は、両手を太ももにつけて深く頭を下げた。肩まで伸びた長髪が印象的だった。顔を上げると、緊張している記者の顔を一瞥し、「あなたは真面目そうだから、ちゃんと取材に答えますよ」と笑った。

「筋トレや写経をして過ごしている」と世間話に応じた白石は、当時29歳。どこにでもいるような若者で、凶悪な事件を起こした人物とは、とても思えなかった。

事件が発覚したのは、2017年10月。行方不明となっていた東京・八王子市の女性(当時23)の捜索で、神奈川県座間市にある白石の自宅アパートに警視庁の捜査員が踏み込んだ。部屋にあった複数のクーラーボックスから、9人分の頭部が見つかった。

犯行を認めた白石は、女子高校生を含む15歳から26歳の男女9人を殺害したなどとして、強盗強制性交殺人などの疑いで逮捕、起訴された。9人の殺害現場はすべて、白石の部屋。8月から10月までの、わずか2か月間の犯行だった。

事件が注目を集めたのは、被害者の多さだけでなく、その手口だ。

白石は、SNSで自殺をほのめかす書き込みをした女性たちに、「一緒に死のう」などとウソのメッセージを送って自宅に誘い込んでいた。女性には性的な暴行を加えて、殺害。金品を奪い、遺体は部屋の浴室で解体し、ごみとして捨てていた。

精神的に弱った人たちを食い物にした犯行は、社会に衝撃を与えた。

「白石はなぜ、9人を殺害したのか」。その答えを聞くため、白石との面会を続けた。

「金から性欲へ」変遷する動機

「目的はお金。手っ取り早くお金を得るために、女性からもらおうと考えて。ずっと、専業主夫になりたかったんです」

白石はこの事件を起こす前、女性を風俗店に違法に紹介したとして逮捕、起訴され、執行猶予中の身だった。実家で過ごす日々のなかで、同居する父親と折り合いが悪く、「自立した生活を送りたい」と考えていたという。

白石の言う「自立した生活」とは、「女性のひも」になることだった。

「一人目の被害者を口説いているうちに、お金を持っていることが分かったんです。ちょうど、部屋を借りたいと思っていたので、2人で不動産屋に行ったんです。でも、自分は無職だし、貯金も無いので、断られてしまって」

一人目の被害者から50万円を借り、それを元手にアパートでの生活を始めた。しかし、生活はすぐに行き詰まる。

「その子には彼氏がいたので、自分に興味が無くなってしまうかも知れない、そうなるとお金を返さないといけない。執行猶予中でしたから、恐喝とかで捕まったら困ると考えたんです。それで、殺害まで一気に飛んでしまった」

「金を返したくない」という理由から、女性を殺害したと明かした白石。執行猶予中に再び罪を犯せば、刑務所に収監されてしまう。ならば、事件が発覚しないよう証拠を隠滅すれば良い。そう考えたというのだ。

「人を殺すことに抵抗がなかったかというと、ウソになると思います。でも、犯罪を犯すという方針は『生きる糧』でしたから。生きる上で、お金をもらうために女性を口説いて、お金をせしめて、お金をもらえなければ性欲の対象とするって方針を立てたんです。『生きる糧』だと決めてからは、抵抗はなくなりましたね」

その言葉通り、白石は次々と事件を繰り返していく。当初の「金を得る」という目的は、次第に性欲を満たすことに変わっていった。

犯行を容易にしたのは、SNSの存在がある。白石にSNSを使った理由を尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「Twitterはかかりが良くて、めっちゃ便利でした。『死にたい』とか『寂しい』とか、つぶやいている人に手当たり次第にメッセージを送りました。ばれなければいいやと、ブレーキを掛けられずにいました。逮捕された時に、警察にも言われたんですよ。麻薬と同じだって。ダメだって分かっているのに、やってしまう。快楽を覚えてしまって、やめられなくなった」

一方で、自宅に招き入れたものの、殺害せずに帰した人もいた。

「極悪非道だと思うでしょうけど、お金をもらえた人は、帰していたんですよ。帰した人は、3人。一人はフラれてしまって、一人とは性行為ができましたが、もう一人はキャバクラで働いている人。みんなお金をもらえていたから、帰したんです」

名前を知らない被害者が求めたこと「『殺してくれ』と言う人はいなかった」

9月30日の初公判で、白石は起訴内容の全てを認めた。裁判では事件の経過が明らかとなり、被害者のなかには、白石と出会って数時間も経たずに殺害された人もいた。

ある日の面会で、白石はこんなことを明かしていた。

「被害者の名前ですか?一人目の女性は、部屋を借りるときに免許証を見せてもらったけど、ほかの人は殺害前は知りませんでした。殺して、荷物を漁っているときに、免許証とか生徒手帳とかで、初めて知りました」

殺害された9人は、何を求めていたのか。

「9人は『何か』を求めていたのだと思います。『何か』って、言葉で説明ができないんですけど、『死にたい』とか言っているけど、そうではなくて。記者さんが言う通り、誰かに話を聞いて欲しかったんだと思う。『死にたい』と言っている人になぜ?って聞くでしょ。答えは『寂しいから』が多かった。『なんで寂しいの?』と聞くと、『友達がいないから』とか『人と会うのが苦手だから』だと。じゃあ『僕が友達になるよ』って、話を聞いてあげていた。だから、『殺してくれ』と言う人は、一人もいませんでしたよ」

裁判では、白石の主張と弁護側の主張が食い違っていた。起訴内容の全てを認めた白石の主張とは違い、弁護側は、被害者は白石に殺害を依頼したという「承諾殺人」が成立すると主張した。白石は、この食い違いを気にしていた。

「争っている感じに見せたくない。遺族からすると『死にたくない(死刑になりたくない)のか』『罪を認めないのか』と思われるじゃないですか。そんなのは嫌なんですよ」

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