猛暑対策グッズのニセ広告に注意 “1秒で20℃下げる”「現実的にはありえない」購入前に確認する4つの点【Nスタ解説】

猛暑日が続く中、暑さ対策に欠かせない冷却グッズのニセモノが出回り、「ニセの広告に騙された」という声が相次いでいます。
【写真で見る】「一日あったり0.2円」と日本語表記もおかしいニセ広告
「1秒で室温を20℃に下げる」ニセ広告の驚くべき謳い文句 その実態は?
山形純菜キャスター:
多くの方が使っている「暑さ対策グッズ」、いま、その“ニセ広告”に注意が必要です。
“1秒で部屋の温度を下げる”と謳うスマートエアサーキュレーターの広告ですが、これもニセ広告です。
記載内容を見てみると、▼1秒で部屋の温度を下げる、▼室温が20℃ダウン、▼20m遠距離送風、▼音声では「アイリスと東京工業大学が共同開発」というナレーションが、ニセ広告動画に流れます。
これだけ見ると、商品は高性能だと思うのですが、実際はニセ広告の一種です。実際に購入した方に取材をしました。
ニセ広告の謳い文句である“室温20℃ダウン”を検証してもらうと…
ニセ広告で購入した女性
「風が…普段使っている扇風機よりも弱いというか。風がちょっと出ているかどうか、みたいな感じで」
“20m遠距離送風”という機能は、約1mまで近づいて、やっと風を感じられる程度だったそうです。
広告に記載された性能と比べて、実際の製品はほぼ「嘘」だったということです。
さらによく見てみると、「一日あったり0.2円」という記載になっています。1日「あたり」ではなく「あったり」と、日本語の表記が不自然な点もあるということです。
購入した女性は、ニセ広告を見たお父様が、2台のサーキュレーターを購入したということです。そのうち1台を女性が受け取ったのですが、その1台が1週間で壊れてしまったことを受け、サイトに問い合わせしようとすると、サイトは閉鎖されており、詐欺だということに気づいたそうです。
広告のナレーションに入っていたアイリスオーヤマ、東京科学大学(旧東京工業大学)はそれぞれHPで注意喚起しています。
アイリスオーヤマは「これらの広告は、当社とは一切関係がございません。共同開発等の事実もございません」、東京科学大学も共同開発を否定した上で「本学の名義を使用することについて、許可したものではありません」としています。
井上貴博キャスター:
許諾なく、名前を利用されるというのは相当悪質ですね。“20m遠距離送風”などは少し立ち止まって考えれば…とは感じますが。
令和ロマン 松井ケムリさん:
振り込め詐欺などと違って、現物が届くのはたちが悪いと感じます。広告の記載内容が詐欺に相当するものということですが、商品のレビューに目を向けても、今はいわゆるサクラのレビューが相当数存在しています。それを含め、真偽を調べることのできるサイトもある以上、購入者側のリテラシーが求められてきますね。
出水麻衣キャスター:
しかも商品の梱包を1回開封してしまうと、返品にもなかなか応じてもらえないパターンがありそうです。
謳い文句は実現可能?…必要なのは購入者側のリテラシー
山形キャスター:
では実際に、ニセ広告が謳う技術は実現可能なのか。エアコンなど家電の制御工学が専門の近畿大学の理工学部機械工学科・小坂学教授に聞きました。
まず“室温を1秒で20℃下げる”には、「計算上ではエアコン300台で、部屋を一気に冷やせば可能」だそうです。これは計算上の理論ということで「現実的にはありえない」というのが小坂教授の見解です。
それから“20m先まで風が届く”には、「高性能なものを使っても、超巨大扇風機でないと無理」という見解を述べています。もし家庭用サイズの扇風機で実現しようとするならば、「ノーベル賞並みの技術力」だということです。一方で「でも家で使うと吹っ飛びます」とも述べています。
ニセ広告が横行する中で、消費者庁も注意喚起をしています。▼公式通信販売サイトのURLか、▼連絡先が表示されているか、▼商品価格が極端に安くないか、▼日本語が不自然でないか。購入手続き前にしっかり確認するようにしてください。
井上キャスター:
インターネット通販では法律上のクーリングオフが適用されないので、そこも頭に入れるべきかなと思います。
松井さん:
そういう商品を出品してる大手通販サイト側も、少し責任を感じてほしい。変だと思う商品は出品しないようにしてほしいですよね。
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<プロフィール>
松井ケムリさん
お笑い芸人 令和ロマン
1993年生まれ 慶應義塾大学法学部卒業
M-1グランプリ2023・2024 史上初連覇達成