帰省先でも注意!「マダニ感染症」今年10人以上死亡“過去最悪”ペースに…対策は?【ひるおび】

マダニによる感染症が急増し、感染者数は“過去最悪”のペースとなっています。
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マダニ感染症 全国に拡大
マダニは「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」という感染症を媒介します。
SFTSは、ウイルスを保有しているマダニにかまれることにより発症し、致死率は最大30%。主な症状は発熱・嘔吐・腹痛・下痢などです。
SFTSの累計患者数を見ると、まだ8月にも関わらず去年の数字より多くなっています。
2025年は8月3日時点で既に124人確認されており、少なくとも10人以上が死亡しています。
これまでSFTSは西日本中心に広がっていましたが、北海道・秋田・茨城・神奈川・岐阜など全国に拡大しています。
【北海道での初感染・60代男性】
・7月30日に発熱・頭痛などの症状
・道外・海外への遠出なし
【神奈川県での初感染・60代女性】
・6月28日に発熱の症状
・自宅周辺での畑仕事・草むしりなどで感染か
感染拡大の要因は?
シカ・イノシシ・クマなどが人里近くにおりてくることで、動物に寄生するマダニも人の生活圏に近づきます。
また、アライグマ・キョンなどの特定外来生物も、市街地にマダニを運んでいるとみられています。
さらに、ペットを飼っている人も注意が必要です。
ネコ・イヌなどから人へ感染する可能性もあり、感染したペットの体液や血液に接触することで人にも感染するリスクがあります。
国立環境研究所 特命研究員 五箇公一氏:
基本的にマダニは野生動物の血を吸って生きています。
野生動物の体内にウイルスがあって、マダニがそのウイルスを人に媒介するということになります。
恵俊彰:
マダニにかまれるとすべてSFTSになるわけではないんですか?
国立環境研究所 特命研究員 五箇公一氏:
はい。地域によって差はありますが、全てのマダニがウイルスを持っているわけではありません(平均して数パーセントレベル)。
ただ、やはり九州や四国、中国地方に生息しているマダニに関してはかなりウイルスの保有率が高いと考えられるので、そういった地域においてはマダニに十分注意していただかなくてはなりません。
恵俊彰:
帰省などで西日本に移動する方もいらっしゃるでしょうし、ちょっと心配なのは北海道とか秋田とか茨城とか、今回新たに感染した例もあることですよね。これは今までもいたんですか?
国立環境研究所 特命研究員 五箇公一氏:
正直なところこういったエリアにおいては、これまでの調査でウイルスの保有率はそれほど高くないとされていました。
千葉県での調査事例によれば、シカやイノシシがウイルスを保有する割合が高まってきたのは2014年以降で、年々高くなっています。
明らかにウイルス自体が分布を広げているらしいということが示されています。
しっかりマダニ対策を
≪マダニ対策≫
◆腕・足・首など肌の露出を減らして身を守る
◆虫よけスプレーを使用する
国立環境研究所 特命研究員 五箇公一氏:
基本的にヤブや草むらなどにはあまり近づかないようにしていただく。
そういったところに行って遊ぶときは肌の露出を抑えていただいて、肌の露出部にはしっかり虫除けスプレーをする。ディートという有効成分が30%入ってるものが市販されていますので、そういったものでマダニにかまれることを防ぐことができます。
ペットを飼っている人は、家に帰ったらブラッシングやシャンプーをし、獣医による処方薬でマダニ対策を行なってください。
恵俊彰:
庭掃除などを日常的にしている方がいらっしゃると思いますが、マダニが家の中に入ってくることはあるんですか?
国立環境研究所 特命研究員 五箇公一氏:
家の中に生息することはないんですけど、イヌやネコがマダニを連れて帰ることもあります。ペットも感染した場合に発症するケースがあって、発症して弱ったイヌやネコに接触することで感染して死亡するという事例も発生しています。
ペットとの濃厚接触についても十分注意していただく必要があります。
恵俊彰:
心配な方は獣医に行って、処方薬をいただいた方がいいですね。
国立環境研究所 特命研究員 五箇公一氏:
あとは、日頃からのペットの体調管理ですね。少し調子が悪そうだと思ったらやはり獣医に見てもらうということが大事だと思います。
(ひるおび 2025年8月13日放送より)
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<プロフィール>
五箇公一氏
国立環境研究所 特命研究員
サングラス姿でハードな風貌がトレードマーク
愛称は「ダニ博士」
外来生物の対策を研究