ガザの病院に“ダブルタップ攻撃” 駆けつけた記者ら狙ったか「我々を黙らせ事実も封じようとしている」【サンデーモーニング】

最初の攻撃の後、救助隊やメディアが集まったところに、時間差で2回目の攻撃を加え、被害を拡大させる『ダブルタップ』戦術。イスラエル軍にはどんな意図があったのでしょうか。
女性記者殺害 国連で涙の訴え
8月27日、ガザ情勢を協議する国連安保理会合。
アルジェリア・ベンジャマ国連大使
「彼女が“武器”を持っていたとすれば...それはカメラです」
イスラエルの攻撃を非難するアルジェリアの大使がおもむろに取り出した写真。ガザのがれきの中に立つ女性は、イスラエル軍に殺害された記者です。
この女性記者が、一人息子(13)に宛てたメッセージが読み上げられました。
マリアム・ダッカ記者が息子に宛てたメッセージ
「(私が死んでも)どうか泣かないで。あなたが大きくなり、結婚して、娘が生まれたら、私にちなんで『マリアム』と名付けてください」
女性記者 マリアム・ダッカさん(33)が死亡した8月25日の攻撃は、異様なものでした。
駆けつけた記者ら狙ったか 病院に『ダブルタップ攻撃』
生中継の音声
「ハンユニスではイスラエルの攻撃や犯罪行為が続いています」
現場は、ガザ南部でかろうじて機能しているナセル病院。
イスラエル軍による最初の攻撃があり、救急隊や記者らが集まります。
そして、最初の攻撃から9分後...
生中継の音声
「なんてこと...救急隊員が殺された!」
最初の攻撃で人が集まったところを時間差で叩く『ダブルタップ攻撃』が行われたのです。
2回の攻撃で少なくとも22人が死亡。救急隊員や医療従事者のほか、ロイター通信やアルジャジーラなどの海外メディアと契約している5人の報道関係者が含まれていました。
そのうちの一人が、国連で遺書が読み上げられたマリアムさん。
愛用していたカメラも血に染まっていました。
マリアム・ダッカさんの記者仲間
「記者を直接狙った爆撃が続いている。毎日亡くなった記者仲間を見送っている。しかし我々はこの仕事を続ける」
マリアムさんも、記者だから狙われたのでしょうか。
イスラエル軍の攻撃対象に 相次いで殺害される記者たち
マリアム・ダッカさん(7月2日 インスタグラムの投稿)
「食料が不足しているので、ガザの子供たちはほとんど栄養失調です。子どもたちの最も基本的な権利は食べることなのに」
イスラエルによる攻撃だけでなく、物資搬入の制限によって飢餓に苦しむ子どもたちを取材していたマリアムさん。
こうした報道が世界に発信されることによって、イスラエルへの国際的な非難が高まっていました。
そんななか、ガザの惨状を伝え続けるパレスチナ人の記者たちが相次いでイスラエル軍の攻撃対象となっているのです。
アルジャジーラによる報道(8月10日)
「アルジャジーラのジャーナリスト4人がイスラエルの攻撃で殺害されました」
8月10日には、インスタグラムで183万人のフォロワーを持つアルジャジーラの看板記者 アナス・シャリフさん(28)ら4人を殺害。
モハマッド・マンスール記者(2024年7月放送の映像)
「いま一番何が欲しい?」
男の子
「戦争が終わってほしい」
3月には、サンデーモーニングでも発信していたモハマッド・マンスールさんを殺害。
その弟のヌール・マンスールさん(22)は、兄の遺志を継いで記者活動を始めました。
ヌール・マンスール記者
「私たち記者はイスラエル軍の虐殺などを暴露しているため、標的にされていると感じる。我々を黙らせ、事実も封じようとしている」
市民が怖がって逃げるように... 取材活動にも影響が
2023年10月のガザでの戦闘開始以降、死亡した報道関係者は247人。
イスラエルが記者を標的にするので、最近では自分たちが記者だと分かる格好で取材をすることが難しくなっているといいます。
ヌール・マンスール記者
「記者だとわかる格好で取材すると市民が怖がって逃げるようになりました。記者がいるところをイスラエルが攻撃すると思われているのです」
今回の病院への攻撃について、イスラエル軍は「ハマスが設置した監視カメラを攻撃した」と主張。記者らの被害拡大を狙った「ダブルタップ」攻撃だったかどうかについては言及していません。
最初の攻撃を聞き、駆けつけた人たちの中には取材をするマリアムさんの姿も―
ガザでは今日も、記者たちが命がけの取材を続けています。