猫の命を脅かす『伝染性腹膜炎(FIP)』とは 原因や症状、知っておくべき最新情報まで

2025-11-05 11:00

伝染性腹膜炎(FIP)は、猫の命にかかわる深刻な病気です。この病気の原因となるウイルスの基礎知識から、感染した際の具体的な症状、そして治療法の開発など、飼い主が知っておくべき最新の情報をわかりやすく解説していきます。

猫の命を脅かす「伝染性腹膜炎(FIP)」とは

ぐったりする猫

伝染性腹膜炎(FIP)は、猫の命に関わる重篤な全身性の感染症です。この病気は、ほとんどの猫が感染しても無症状で済む比較的ありふれたウイルスである「猫コロナウイルス(FCoV)」が、猫の体内で突如強毒性に変異することで発症します。

ひとたび変異が起こると、ウイルスは猫の免疫細胞であるマクロファージ内で増殖し、全身の血管や臓器に深刻な炎症を引き起こします。

炎症の起こる場所やタイプによって「ウェット型」と「ドライ型」に分類されますが、以前は致死率が非常に高く「不治の病」として恐れられていました。

近年、画期的な治療薬が登場し、生存率が大きく改善されつつありますが、早期発見と迅速な治療が必要となる深刻な病気であることに変わりはありません。

「伝染性腹膜炎(FIP)」の原因と感染経路

トイレ中の猫

FIPの直接的な原因は、猫コロナウイルス(FCoV)が猫の体内で遺伝子変異を起こし、FIPウイルス(FIPV)という病原性の高いウイルスに変わることです。

FCoV自体は、主に糞便を介した経口感染によって、特に多頭飼育の環境や子猫の間で蔓延しています。トイレの共有やグルーミング、食器の共有などが感染経路となるので注意が必要ですが、非常に多くの猫が無症状でこのウイルスを保有しているため、多頭飼育では完璧な感染予防は難しいと言えます。

しかし、FCoVに感染したすべての猫がFIPを発症するわけではなく、実際にFIPを引き起こすウイルスに変異するのはごく一部の猫です。

変異の引き金としては、ストレス、免疫力の低下、他の病気の併発などが関与していると考えられています。FIP自体は、諸説ありますが感染猫から他の猫へ直接伝染することはないとされているようです。

「伝染性腹膜炎(FIP)」の主な症状と治療法

治療を受ける猫

FIPの症状は、病型によって大きく異なります。「ウェット型(滲出型)」は、腹腔や胸腔に黄色い液体(腹水・胸水)が溜まるのが特徴で、お腹の膨らみや呼吸困難を引き起こします。

一方「ドライ型(非滲出型)」は、特定の臓器に炎症性のしこり(肉芽腫)を作るのが特徴で、発熱、食欲不振、体重減少といった症状に加え、目の炎症、腎機能障害、あるいはふらつきなどの神経症状が現れることがあるようです。

以前の治療は、主に症状を緩和する対症療法に限られていましたが、近年では特定の抗ウイルス薬(GS-441524など)が開発され、高い有効性が示されています。

これらの新薬により、FIPは「治る可能性のある病気」へと変化しつつあります。

「伝染性腹膜炎(FIP)」の予防と対策

多頭飼いされる猫

現在のところ、FIPを直接予防する効果的なワクチンはありませんが、原因となる猫コロナウイルス(FCoV)の感染リスクを下げることが最も重要な対策となります。

特に多頭飼育環境では、トイレを猫の頭数+1個用意し、頻繁に清掃して清潔に保つこと、食器や寝床を共有させないよう衛生管理を徹底することが重要です。

また、猫の免疫力を維持することも対策のひとつです。日頃から猫に過度なストレスを与えないよう、静かで安心できる環境を整え、バランスの取れた食事と定期的な健康診断を心がけましょう。

隠れ場所や生活動線を十分に設けるだけでなく、神経質な猫や仲が悪い猫同士が一緒にならないよう、部屋を分けることも検討しましょう。

もし発熱や食欲不振などFIPを疑う症状が見られた場合は、早期に動物病院を受診し、速やかに診断と治療を開始することが、愛猫の命を救う最善の策です。

まとめ

窓辺で眠る猫

伝染性腹膜炎(FIP)は、猫コロナウイルスの体内の変異によって発症する恐ろしい病気ですが、その致死性は過去のものになりつつあります。

早期の発見と診断、そして革新的な抗ウイルス薬による治療の進歩により、多くの猫が命を取り留める希望が見えてきました。

飼い主には、日々の衛生管理による予防と、愛猫のわずかな体調変化を見逃さない観察力、そして万一の際の迅速な対応が求められます。

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