立花孝志容疑者を逮捕 苦悩と葛藤を抱えた妻の闘い、死後の名誉毀損でも 刑事告訴の裏側【報道特集】

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2025-11-15 21:10
立花孝志容疑者を逮捕 苦悩と葛藤を抱えた妻の闘い、死後の名誉毀損でも 刑事告訴の裏側【報道特集】

竹内英明元兵庫県議に対する名誉毀損の疑いで、NHK党の立花孝志容疑者が逮捕されました。背景には、竹内さんを亡くしたばかりの妻が行った刑事告訴がありました。おびただしい誹謗中傷を受け、苦悩と葛藤を抱えながらの日々を追いました。

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「私しかいないと思った」残された妻の覚悟

記者
「立花容疑者を乗せた車が兵庫県警本部から出てきました」

11月9日、「NHK党」の党首・立花孝志容疑者が逮捕された。容疑は2025年1月に亡くなった竹内英明 元兵庫県議会議員への名誉毀損だ。

立花容疑者が竹内さんの生前、そして死後にも行った発言が、名誉を毀損したとされている。その発言は…

NHK党・立花孝志容疑者(2024年12月13日 竹内元県議の生前)
「竹内議員はめっちゃやばいね。警察の取り締まりを受けているのは、たぶん間違いない」

立花孝志容疑者(1月19日 竹内元県議の死後)
「竹内元県議会議員、どうも明日逮捕される予定だったそうです」

当初、立花容疑者側は「発言には根拠があり真実相当性がある」などと主張していたが、その後「真実相当性を争わない方針」に転じた。

逮捕は、2人の子どもとともに残された竹内さんの妻による刑事告訴を受けたものだ。

苦悩と葛藤を抱えながらの決断。2025年8月、会見に向かう道中では…

竹内英明 元県議の妻
「正直、今も帰りたい。人前に出て話をするなんていうことが怖い」

――どんな思いから、勇気を振り絞って(刑事告訴に)一歩踏み出したのか?

竹内英明 元県議の妻
「主人の代わりに声を上げられるのが、私しかいないと思ったから。今やらなかったら、このままずっと抱えて生きていかないといけない思ったら…」

夫の死から約10か月。その姿を追った。

誹謗中傷のはじまりは“兵庫県知事選挙”

立花容疑者の逮捕を受けて、今週、私たちは竹内英明元県議の自宅を訪ねた。

竹内英明 元県議の妻
「大きく動きがあって、何よりでした」

この日の朝刊には、逮捕のニュースが大きく掲載されていた。

竹内英明 元県議の妻
「(新聞を)朝買ってきて、とってないのは。やっぱり紙で見たいなと思って。仏前に報告をして、テレビもなるべくつけて」

――竹内さんどうおっしゃるでしょうね、この日を迎えて

竹内英明 元県議の妻
「私もいまだに、まだ信じられないような。まだその途中ですけど、何とか良い方向に向かうように。主人も喜んでいると思う」

竹内さんが政治家を志したきっかけは、30年前の阪神・淡路大震災。ボランティアとして、子どもたちを支援したことだった。

2007年に兵庫県議になると、「親しみやすさ」をモットーに、毎日のようにブログで活動を伝えた。

兵庫県 竹内英明県議(当時)百条委員会・2024年
「ご自身は、今でもパワハラをお認めにならないんですか」

2024年、百条委員会の委員として、兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを追及していた。

立花容疑者による誹謗中傷が始まったのは、その最中に行われた兵庫県知事選挙だ。

選挙戦の序盤では、斎藤知事は劣勢とみられていたが、SNS上では徐々に応援する動きが広がっていった。終盤には、斎藤知事の演説に人だかりができた。

結果、斎藤知事が再選を果たした。

実生活に及ぶ恐怖…エスカレートした匿名誹謗中傷

流れを変えたのが、立花容疑者の出馬だった。

斎藤知事を応援する2馬力選挙を展開し、知事の疑惑はありもしない嘘だと主張。告発した元県民局長に関するデマを言い広めた。

立花孝志容疑者(2024年11月2日・立花容疑者のYouTubeより)
「女性職員に対して、不同意性交していた可能性が極めて高い。自分の部下たち10人。10年で10人の部下の職員と、卑猥なことをしていた」

さらに斎藤知事を追及していた奥谷県議の自宅前まで…

立花孝志容疑者(2024年11月3日・@Reform_NHK)
「出て来い奥谷!一応チャイムだけ鳴らしておこ」
「竹内さんのところにも行きますよ」

立花容疑者は、竹内さんが元県民局長の告発文書の作成に関与していたと主張した。

立花孝志容疑者(2024年11月1日・@Reform_NHK)
「竹内議員というのは、当然嫌いなんです、斎藤前知事が。だからありもしないウソ、噂話を作った人ですよ」
「竹内県議、聞いてますか。あんたえらいことしてまんな」

竹内さんの地元でも…

立花孝志容疑者(2024年11月15日・@Reform_NHK)
「竹内県議がたくさんデマ流しとるわ」
「竹内、お前いい加減責任取れよ」

竹内さんの妻は、演説に集まった聴衆の多さに恐怖を覚えたという。

竹内英明 元県議の妻
「ものすごい人だかりができているのが見えて、集まっている人たちに責められてるというか。“変な人が来るかもしれない”と」

ほかにも立花容疑者は、竹内さんを「斎藤を貶めた主犯格」と決めつけた動画を引用し、SNSに投稿。拡散させた。

立花容疑者の誤った情報がいわゆる犬笛となり、匿名の誹謗中傷はエスカレート。

ついには、竹内さんに直接電話やメールが届くようになり、実生活に影響が及ぶようになっていった。

竹内英明 元県議の妻
「主人がこれをプリントアウトしていた」

竹内さんを「主犯格」とする動画を添付した嫌がらせのメール。さらに…

竹内さんに届いたメール
「はよ、去れ竹内。黒幕のパワハラ野郎はお前じゃねーか。市中引き回しで、射殺もんだろお前」
「転覆クーデター計画の犯人ですね」

事務所で電話対応にあたっていた竹内さんの妻も、直接暴言を浴びた。

竹内英明 元県議の妻
「いろんな電話がかかってきてて、暴言吐かれるみたいなのが多かった。『黒幕』である根拠も、『主犯格』である根拠もなく、でもその言葉だけがどんどん独り歩きしてって、あたかも真実かのように広まっていく。本当に表に出るのが恐ろしくなってしまって」

「家族を守らないといけない」竹内元県議の苦渋の決断

身の危険を感じた竹内さんと妻は、届いたメールを手に警察へ。竹内さんが警察署で書き留めたメモには…

竹内さんのメモ
「子ども退避」
「1回でもきたら避難」
「竹内ホテル」

――ホテル住まいをすることも?

竹内英明 元県議の妻

「そういうことも何か話には出たのかな」

斎藤知事の再選後も攻撃は収まる気配がなく、選挙の翌日、竹内さんは「家族を守らないといけない」と議員辞職した。

竹内英明 元県議の妻
「『違うんだったら反論すればいい』とか、『説明する責任がある』とか言われるが、声を上げたところでそれが理解されるどころか、また相手を刺激するというか、その方が恐ろしい。だから沈黙せざるを得ない。今まで主人がずっとやってきたことが、何でこんなことになっているのか。まっすぐに兵庫県のためを思って、仕事をしてきてたはずなのに」

辞職直後に竹内さんを見かけた県関係者は…

竹内元県議と親しい県関係者
「とても憔悴されていて、いつもの竹内先生の面影ではなかった。目がキョロキョロしていて、すごく何かに怯えてるという感じ。普段の竹内さんからすると、もう考えられない様子」

立花容疑者は、兵庫県知事選後も、別の選挙の街頭演説で竹内さんへの攻撃を強めていった。

立花孝志容疑者(2024年12月13日・大阪 泉大津市長選挙にて @Reform_NHK)
「竹内議員はめっちゃやばいね。警察の取り締まりを受けているのは、たぶん間違いない」
「亡くなった県民局長の奥さんの遺書を、捏造したんじゃないかって」

呼応するかのように、SNSでも…

SNS上の投稿
「竹内元県議に事情聴取」
「【最大の疑惑】竹内英明県議」
「竹内よ土下座しろ」

「耐えられない」「心配かけてごめん」同僚へ漏らした苦悩

竹内さんの同僚だった迎山志保県議。

兵庫県 迎山志保 県議
「竹内さんはすごい勉強家で、すべての資料を置いてて、これでもだいぶ処分したんですけど」

竹内さんの辞職後も、LINEで連絡を取り続けていた。やりとりからは、苦しむ竹内さんの様子がうかがえる。

竹内さんからのLINE
「またうちに攻撃とかあったら耐えられません」
「薬の助け借りてなんとか眠ってる。心配かけてごめん」

1月18日、竹内さんは自宅で亡くなった。自殺だった。

兵庫県 迎山志保 県議
「『子供たちにこんな社会残したらあかんから、本当は頑張らないといけないのに、そのステージから降りてしまってごめんなさい』『もう情けないです』って。ずっと『情けない』『申し訳ない』と繰り返していた」

亡くなった翌日のこの発言が、まさに逮捕容疑となった。

立花孝志容疑者(1月19日・立花容疑者のYouTubeより※現在は削除)
「竹内元県会議員、どうも明日逮捕される予定だったそうです」
「明らかに犯罪をしていた可能性が高くて、警察に捕まるのが嫌で、自ら命を絶ったと考えるのが間違いない」

しかし、その後、兵庫県警のトップが県議会に出席。立花容疑者の発言を否定する異例の対応に出た。

兵庫県警(当時)村井紀之 本部長(1月20日・兵庫県議会警察常任委のYouTubeより)
「(竹内元県議を)被疑者として任意の調べをしたこともありませんし、ましてや逮捕するという話は全くございません。全く事実無根でありまして、明白な虚偽がSNSで拡散されていることは、きわめて遺憾である」

立花容疑者は「逮捕は間違いでした」と発言を訂正したが、尚も、誹謗中傷を続けた。

立花孝志容疑者(千葉県知事選挙 3月・大阪 立花容疑者のYouTubeより)
「生前も竹内を中傷してましたよ。だってあいつ悪いことしてるじゃん」
「そもそも政治家が中傷されたくらいで死ぬなボケ」

立証のハードル高い「死者への名誉毀損」 告訴の裏側には⋯

6月、竹内さんの妻は夫への名誉毀損の疑いで立花容疑者を刑事告訴に踏み切った。背中を押したのが郷原信郎弁護士だった。

実は告訴期限は「その事実を知った日から6か月」とされている。
生前の名誉毀損発言は、昨年の12月13日、立花容疑者が立候補していた泉大津市長選挙の街頭演説だった。郷原弁護士から、6月13日には告訴期間が過ぎてしまうことを伝えられた竹内さんの妻は、悩みに悩んだ末、告訴を決断したのは期限直前だった。

6月末には、死者の名誉毀損についても追加の告訴状を兵庫県警に提出したが、郷原弁護士は闘病のため入院。活動ができない状況となったため、その後の対応は、立花容疑者と民事訴訟等で向き合ってきた石森雄一郎弁護士に委ねられた。

8月、記者会見の前日に打ち合わせが行われた。

竹内英明 元県議の妻
「いつまでも中傷され続けるって、こちらに何か非があるんだろうかって」

石森雄一郎 弁護士
「『非はない』って、はっきり言っていいと思いますよ」

相談に応じた石森雄一郎弁護士は…

石森雄一郎 弁護士
「何の法的責任も問えない形で終わらせてしまうと、これからの日本における選挙は、デマを言ったもん勝ちの選挙になるのは間違いない。警察や検察には、しっかりとした捜査・処分を望みます。それは10年後の日本の民主主義を、大きく左右すると思う」

今回、立花容疑者に対する告訴は、竹内さんの生前だけではなく、死後の名誉毀損にまで踏み込む異例のものだった。

竹内英明 元県議の妻
「反論することもできない死者を愚弄し蔑む。死してなお、辱めを与える。悲しみの底に沈み、もがき苦しむ私たち遺族にとって、このような耐えがたい地獄があるでしょうか。私は夫の尊厳を守りたい」

示された内容が真実か虚偽かを問わない「生前の名誉毀損」に対し、「死者への名誉毀損」は、よりハードルが高い。

ポイントは立花容疑者が、「逮捕」の情報を“虚偽と知りながら”発信していたのかどうかだ。

竹内さんの妻の代理人で、元検察官の郷原信郎 弁護士が注目したのは、立花容疑者が投稿した映像。報道特集の取材を受ける場面を自ら撮影したものだ。

立花孝志容疑者(立花容疑者のYouTubeより)
「お亡くなりになったと聞いた時点では、僕は法律詳しいですから、『明日逮捕される予定だった』っていうことに関しては、この情報が嘘だったとしても問題がないと思ってそれを出した」

郷原信郎 弁護士
「『嘘だったとしても問題がないと思ってそれを出した』、これ決定的な言葉。嘘でも大丈夫だと思ったって言ったら、じゃあ嘘だと思ってただろって話。これはかなり『虚偽性の認識』の証拠になる」

――警察はこの事件に着手して死者の名誉毀損(容疑)も含めて逮捕に至りましたけれども?

郷原信郎 弁護士
「そこがものすごく大きな意味がある。今回のように亡くなった直後、遺族が悲嘆に暮れているときに、遺族が慕う故人の尊厳を害する、こういうことをやったら絶対だめだと、世の中に示すことができるんじゃないか」

立花容疑者に応援され当選した斎藤知事。逮捕については、「捜査中であるためコメントは差し控える」と言及を避け続けている。

村瀬健介キャスター
「知事を中心とする県政の混乱が続いているように見えるが、知事はこの間の自身の行動の中で反省すべき点、改めるべき点はあったと考えるか」

兵庫県 斎藤元彦 知事
「様々なご批判や指摘というものは、真摯に受け止めていく。自分なりの県政を、着実に進めていくことが大事だと思っています」

妻の背中を押した“亡き恩人”への感謝

14日、竹内さんの妻は東京を訪れていた。

竹内英明 元県議の妻
「本当に皆様のおかげで、今日は良い報告が一つできる。石川さんがいなかったら、私も決心がつかなかった」

がんとの闘病の末、2025年9月に亡くなった石川知裕元衆院議員を偲ぶ会に出席した。

竹内さんは石川元議員の大学の後輩で、ともに議員になってからも連絡を取り合う仲だったという。刑事告訴に向けて妻の背中を押したのが、石川元議員だった。

竹内英明 元県議の妻
「主人が亡くなった後に、ご自身も闘病中で大変なときに、心配して励ましに来てくれた。『何とか頑張ってきちんと名誉を回復しよう』と言ってくれた」

竹内英明 元県議の妻
「みなさんに気に留めて頂いたのに、お礼も申し上げられなかった。どうしていいか分からない時に、(大学時代から)30年経ってこうやって変わらずにお話できるのも、ありがたいこと」

竹内元県議の大学の先輩
「ちょっとずつ、ちょっとずつだね」

この日、妻は感謝の言葉を口にし続けていた。夫の死後、初めて前を向くことができた。

竹内英明 元県議の妻
「私も少しずつだけど、前に進んでいけているかなと。本当に感謝します」

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