松山英樹「僕が怒られてる」“相棒”早藤キャディーとの馴れ初め明かす、15回目のマスターズへ「勝ったときのようなプレーを」

世界最高の夢舞台、ゴルフの「マスターズ」が4月9日(日本時間)に開幕する。2021年に日本人初優勝を果たし、今年で15回目の出場となる松山英樹(34、レクサス)が開幕を前に、今大会の意気込みを語った。19年から専属キャディを務める早藤将太キャディは優勝後にコースに一礼をしたことで話題に。当時の裏話や、「最近は完璧すぎて僕がプレッシャーかかってます(笑)」という“相棒”との馴れ初めも明かした。(聞き手:小笠原亘TBSアナウンサー)
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「ほんとに辛かったですね(笑)」
Q.2021年のマスターズで、日本人初の制覇。自分の中でだいぶ変わったなというところはありますか?
松山英樹プロ:僕自身ではなくて、周りの方の反応が変わって。アメリカで普通に練習していても紹介のされ方が「マスターズチャンピオンだぞ」みたいな感じだったので、全然違いますよね。
Q.日本でも名だたるプロたちがマスターズに挑戦してきて跳ね返されてという中で、日本人にとっても大きいことでしたよね。そこの反響はどうでした?
松山:マスターズは世界中のゴルファーが出たい大会だと思うので、その中で優勝できるって、僕じゃなかったとしても嬉しかったと思いますし、僕自身が取れたのでもっと嬉しくて。それを後輩たちが見て、さらに目指してくれればいいなと思ってます。
Q.(松山優勝時に解説を務めていた)中嶋(常幸)プロの涙がすべてなんだろうなと思って。レジェンドの皆さんから色んな言葉をいただいたと思うんですけど、どうでした?
松山:表彰式が終わった後の中嶋さんの涙声を聞いてるだけでも伝わってきて、もらい泣きしそうになりながら「やめてくださいよ」という感じでしたけど(笑)
Q.「マスターズに勝ったんだ」という実感はいつくらいに湧いてきましたか?
松山:グリーンを降りてチームのみんなと抱き合った時に凄く感じましたね。
Q.でも松山プロは、熱いものはあったんでしょうけど、結構冷静で・・・
松山:僕自身は4年ぶりに勝ったという安心感というか、ほっとしたっていうのが大きかったんですけど、周りの泣いている人を見るとうるうる来ちゃって。
Q.チャンピオンズディナーとかも何食べさせたらいいかっていうのは本当に大変だったでしょうし、考えましたよね。
松山:何がいいかなって考えた時に日本の寿司とお肉、あと日本酒っていうのは世界に誇れるものなんじゃないかなって思って出しました。
Q.チャンピオンズディナーに毎年出られてるわけですけどどんな時間なんですか?
松山:ちょっと異空間ですよね。
Q.不思議ですよね。実際に見てた人達よりも前の前の世代というか、そういう皆さんが楽しそうにしゃべってて、レジェンド中のレジェンドで、やっぱり足すくみました?実際自分がホストでしたけど。
松山:いや、その時は何をしゃべればいいか、飛ばないことだけを紙に書いて覚えていったんで、それが飛んじゃったらやばいなってことをずっと考えてた。ゴルフよりずっとそのことしか考えてなくて(笑)いつどのタイミングでスピーチがあるのかもわかんなくて、そしたらいきなりシーンって全員がすっと固まった瞬間があって、この雰囲気で喋るんだって、ほんとに辛かったですね(笑)
Q.会の中盤くらい?
松山:食事が終わったあとですね。途中で飛んだら何もしゃべれなくなって泣いちゃうかもしれないなと思いながら(笑)でもやっぱりちゃんとわかってくれてたので、ゆっくり喋ることができたので、喜んでくれてよかったです。
常備のグリーンジャケットを「1回忘れちゃって…」
Q.松山さん自身のマスターズの印象はどういったものですか?
松山:僕が最初に見たのがタイガー・ウッズ(50、アメリカ)が勝った1997年のマスターズだと思うんで、そこから基本見るようにはしていたんですけど。その次のマーク・オメーラ(アメリカ、1998年優勝)であったり、ホセ・マリア・オラサバル(スペイン、1994年と1999年優勝)であったりは全部見てたんで、「すごいな」と思いながら。ああいうところで勝ちたいという思いはありましたけど、現実世界なのかなという思いもありました。
Q.(2010年に)日本で行われたアジアアマチュア選手権で勝って、その翌年マスターズに出て、ローアマチュアを獲った。もう1回戻るんだっていう、自分の中でオーガスタナショナルをホームにしていったというか、そういうのはありましたよね?
松山:最初にアジアアマチュアで勝って初めてマスターズに出るときに震災があって。注目されている中で、ローアマチュアを獲ることができて、マスターズ委員会の人たちが立ち上げたアジアアマチュアにも意味があるものになった。初めて出てから10年後に優勝することができたっていうところで、さらに大会を作ってよかったと思われるような感じになったので、本当に嬉しいなと思います。
Q.やっぱりこの大会があって今があるっていう大会ですか?
松山:そうですね、あのきっかけがないとマスターズも出られてなかったので、今みたいには絶対なってなかったと思うんで。やっぱりきっかけをくれたアジアアマチュアには感謝してますよね。
Q.グリーンジャケットは松山プロにとってどういう意味を持つものですか。
松山:難しいですね。日本で所有しているのは僕だけなので、それは誇りですよね、何回勝っても1枚しかないっていうところにまた価値があると思いますし。
Q.1年間は持ち出し可能だったじゃないですか、あのときってどうなんですか?
松山:ずっと持ち歩いてましたけど、1回忘れちゃって。
Q.ありましたね、空港?
松山:いや、実家に忘れて(笑)実家から東京に戻らなきゃいけないときに車で移動してたんですけど、持ってきてもらいました(笑)大慌てで。
Q.グリーンジャケット以外にマスターズだなって思う伝統ってありますか?
松山:やっぱりコースが、いつ入っても独特の雰囲気というか歴史を感じる。いろいろ改造されてるとはいえ、同じような雰囲気で回らされるところってやっぱないと思いますし。18番を上がっていくときの雰囲気は、練習ラウンドでもすごい雰囲気を感じますし、プラスパトロンの目が、温かいんですけどゴルフには厳しいっていうところがやっぱり伝統なんだろうなみたいな、歴史を感じるなみたいなのはあります。
練習ラウンドですでに感じていた“感覚”「ゴルフ人生でない」
Q.2021年のマスターズの4日間、特に印象に残ってる瞬間っていうのはありますか?
松山:「(4月8日木曜日の本番の)前の日の練習ラウンドをしなくていいや」って火曜日に思えたことが、一番印象に残ってますね。月火と練習ラウンドして「水曜日にラウンドしなくても自分のやるべきことを調整すれば、回らなくてよくない?」って僕も思ってましたし、そんときのチームみんなも思って意見が一致した。結果もずっと出てなかったし、優勝も3年ぐらいしなかったのに、それでも(本番前に)その状態になったっていうのが一番印象的でしたね。
Q.(それまでの練習ラウンドで)思った通り振れるし、ボール飛んでくれるし。
松山:そこまではいかないんですけど、何か感覚的にもうちょっと詰めればいけるんじゃないかなっていうのがあったんで。
Q.これって年に何回かある瞬間なんですか?
松山:ないです。ゴルフ人生でないです。
Q.その1回こっきりですか?
松山:試合の前に4日間これでいけるんじゃないかっていうのは、その1回こっきりですね。
Q.勝って18番を引き上げていくというところでは何を思いました?
松山:絶対に勝ちたいと思ったのは、9番ホールが終わってからなので。それまではド緊張してましたけど、やるべきことをやってという感じで淡々とやってた。9番のセカンドあたりぐらいに、絶対に勝たなきゃいけないっていう思いが強くなったっていうのはあります。その思いがあるからグリーンを降りるときに終わったっていう安心感が凄いありました。
Q.震災から10年っていうタイミングはどうでした?
松山:いや、何かあるんだろうなっていう特別な力が働いてるんじゃないかなってすごく思いましたね。
Q.招待を受けて85年で松山プロが勝ってくれたわけですけれども、日本の先人たちに対して敬意というか、オーガスタに挑戦しては跳ね返されてっていう先輩に何か思ったりもしましたか。
松山:中嶋さん、ジャンボ(尾崎将司)さん、青木(功)さんが実際に勝てなかったっていう試合ですし、何か見えない大きな力があるんだろうなっていう思いがあって。日本人というか世界中のゴルファーの憧れの場所で、プレーしたら本当にテストなんかっていうぐらい振り落とされてる感じがするんで。それに勝ったときだけ、受かったんだなみたいな、合格をいただけたんだなみたいな感じでしたね。
Q.ピンポジションも毎年大体わかっていて、今年はこのショットできなかったなって打ちのめされることもあって、逆に今年はここをクリアできたなっていう。その繰り返しなんですか?
松山:そうですね、同じがゆえに前のホールでこういうショットを打って、次こういう感じになっていくっていうところで、どんどんどんどん自信が削られていくっていうのがあるので、削られていく心を食い止める自信がないといけないと思う。
Q.そういうコースってオーガスタだからですか。
松山:他には僕は経験してないですね。
“相棒”早藤キャディーは「完璧すぎて僕がプレッシャーかかってます(笑)」
Q.とんでもない4日間なんですね。勝ったとき、松山プロはアテストしに行ったんですけど、早藤キャディが一礼をしたっていうのも結構話題になった。あれは後で知りました?
松山:後で知りました。家に帰るまでの車の中で、「え、こんなことしたの?すごいね」って言いました。
Q.明徳義塾の教えなんですって、コースに一礼するって。キャディの早藤さんにとっても初優勝だったんですもんね。
松山:タッグ組んで初優勝だったんで、彼も初優勝の嬉しさと、本当に素直な心でピュアな心で(コースに一礼を)したんだろうなっていうのがあって、それは本当に嬉しかったですね僕自身も。
Q.早藤キャディに「俺のキャディやってくれ」っていうのは、どういうところでだったんですか。
松山:彼が25歳になってそれでも上に行けそうもなかったら「ゴルフやめろよ」と言ってたんで、「そしたらキャディやれ」ともずっと言ってたんで(笑)
Q.相棒としてやってきてどんな相棒ですか。
松山:最初の頃は僕が怒って「あーだこーだ」言ってたんですけど、最近は完璧すぎて僕がプレッシャーかかってます(笑)僕が怒られてるんで。
15回目のマスターズへ「勝ったときのようなプレーを」
Q.マスターズを優勝してから5年が経って、日本の若い選手たちが「松山さんみたいになるんだ」って言ってジュニアたちもプロたちもそうなんですけれども、松山さんみたいになりたいっていうのを直接でもいいですし、人づてに聞いたときはどう思いましたか?
松山:率直に嬉しいのと、まだまだ頑張って追いつかれないとこまで行きたいっていう気持ちは強いんで、そうなるように頑張りたいなと思ってます。
Q.アジアパシフィックアマに出場するゴルファーに向けて2回勝った松山さんだから伝えられることってありますか?
松山:自分の人生を変えるチャンスがあると思ってくださいって思いますね。
Q.今年のマスターズに向けて、松山プロはどういうプレーをしたいっていうのありますか。
松山:勝ったときのようなプレーをしないといけないと思ってるので、そこに照準を合わせて準備したいなと思ってます。
Q.1月からシーズンが始まりますけど、4月の第2週ってプロたちからするとどの辺からどういう感じになって、持っていこうって考えるんですか。
松山:目の前の試合は大事ですけど、その中でマスターズっていうのが片隅にずっとあるんで、マスターズで通用するショット作りであったりとか、ウェッジゲームであったりとか、そこも含めてやっていくので、勝ったときの当時のような自信を持ってオーガスタに入れるように頑張りたいなと思います。