文教大学の学生とDeaflympics Team東ティモール選手がつないだ時間 デフリンピックが生んだ温かな交流会

2025-12-09 08:00

国や文化、言葉が違っていても、人と人が向き合う時間には確かなぬくもりが宿るものだと感じさせる出来事がありました。文教大学の学生たちが、デフリンピックに「Deaflympics Team」のメンバーとして出場した東ティモールの選手たちと交流する機会が生まれたのです。耳が聞こえない、あるいは聞こえにくい選手たちと、日本の大学生。置かれている環境は大きく異なりますが、同じ空間で過ごし、笑い合い、互いの活動について語り合う時間には、言語を超えたつながりがありました。

今回の交流には、単なる「国際交流」という言葉では片づけられない背景があります。小さな国の選手がデフリンピックに出場するまでの道のりや、その挑戦を支える人々の存在。そして、その機会を生かして学ぼうとする学生たちの姿勢がありました。スポーツと社会課題の関係を学ぶゼミの活動と重なる部分も多く、学生たちにとっては特別な学びの場になったように感じます。

異なる世界で生きる人どうしが、お互いの思いを知り、理解を深める。この交流が生み出した時間の価値は、きっと参加者の心に長く残るのではないでしょうか。

小さな国の挑戦を支えたデフリンピック参加の背景

デフリンピックは、耳が聞こえない、あるいは聞こえにくい選手たちが参加する国際的なスポーツ大会です。世界中から多くの選手が参加しますが、出場するためには、それぞれの国が大会を運営する組織に加盟している必要があります。

東ティモールは2002年に独立した若い国で、国内にろう者スポーツをまとめる団体が整っていません。そのため、本来であればデフリンピックに出場することは難しい状況にありました。しかし、小規模な国の選手でも挑戦の機会を得られるように設けられた特別な規定により、今回3名の選手が「Deaflympics Team」の一員として参加できることになりました。

今回の東京大会には、世界70〜80の国と地域から約6,000名の選手や関係者が集まりました。東ティモールの選手にとっては、国内ではまだ支援体制が十分に整っていない状況の中でも国際舞台に立てる貴重な機会であり、スポーツを通じて世界とつながる大きな一歩だったといえます。彼らの挑戦を支えた日本財団ボランティアセンターの存在も、安心して競技に向き合える環境づくりに欠かせない役割を果たしました。こうした背景を知ると、今回の交流会が単なる国際交流ではなく、多くの思いと努力が積み重なった “特別な出会い” であったことが、より伝わってきます。

二宮雅也ゼミがこの交流を迎えた理由と、学生たちの学び

文教大学人間科学部の二宮雅也ゼミでは、スポーツを通じて社会課題に向き合う取り組みを続けています。競技大会の運営補助や地域イベントでのボランティアなど、学生が実際の現場に関わる機会も多く、学びを社会に開く姿勢を大切にしてきました。こうした実践の積み重ねは、教室で得た知識を現実の社会に結びつけて考える力にもつながっています。

今回の交流が実現した背景には、二宮教授が日本財団ボランティアセンターの参与を務めていることがあります。さまざまな人をつなぐ役割を担う中で選手との接点が生まれ、学生たちにとっても国際的な視野に触れる貴重な機会となりました。スポーツの場では、競技だけでなく、そこに関わる人や地域、文化など、さまざまな要素が重なり合っています。その広がりを実際に感じられることは、ゼミのテーマとも強く関わる部分です。

学生たちは、競技者として努力を続ける選手の姿勢や、耳が聞こえない環境で挑戦を続ける重みを知ることで、スポーツが持つ社会的な力を改めて考えるきっかけを得たのではないでしょうか。自分たちが学んでいるテーマが、国境を越えた場でも生きていることを感じ取ることができる時間になったように思います。

互いの歩みを知り合う時間となった交流会

交流会の最初には、文教大学の学生たちから日頃のゼミ活動が紹介されました。スポーツを通じた社会参加やボランティアへの取り組みは、東ティモールの選手たちにとって新鮮だったようで、活動内容について次々と質問が寄せられました。学生たちもまた、海外の大学生がどのような形で地域や社会に関わっているのか興味を持ち、意見交換の場が自然と広がっていきました。

さらに、耳が聞こえない選手がどのように競技に向き合っているのか、海外で活動する際にどのようなサポートが存在するのか、といった話題にも触れられ、互いの経験を知る貴重な機会になった様子が伝わってきます。言葉だけでは分かり合えない背景があるからこそ、丁寧に説明し合おうとする姿勢が印象的です。

後半にはトランプゲームの「ババ抜き」が行われ、緊張がほどけた柔らかい空気が流れました。ゲームを通じて自然に笑顔が生まれ、距離が縮まっていく様子が想像できます。交流の締めくくりとして、学生たちから選手へ、東ティモールの国旗と同じ赤色のタオルと手ぬぐいが記念品として贈られました。小さな贈り物の中にも、敬意と応援の気持ちが込められているように感じられます。

異なる環境で育った者どうしが交わることで生まれる学び

東ティモールの選手と文教大学の学生は、日常生活の環境も、これまで歩んできた道も大きく異なります。それでも、同じ時間を過ごす中で互いに多くの気づきがあったことがうかがえます。競技に向き合う姿勢や、地域との関わり方、海外での活動に対する考え方など、話題は幅広く、学生にとっては新しい視点を得る貴重な機会になりました。

言葉や文化の違いは、ときに大きな壁のように感じられます。しかし、相手を理解しようとする気持ちがあれば、その壁は少しずつ薄れていきます。今回の交流では、お互いが丁寧に言葉や思いを重ねながら話す姿勢が印象的で、異なる背景を持つ者どうしが出会うからこそ生まれる温かい空気がありました。表情やしぐさなど、言語以外のコミュニケーションが自然と働くのも、対面の交流ならではの良さだと感じます。

また、耳が聞こえない、あるいは聞こえにくい環境で競技に取り組む選手からは、社会の中でサポートがどのように機能しているのかを知るきっかけにもなりました。学生たちにとっては、自分とは異なる条件のもとで努力を続ける人の姿に触れることで、多様性を尊重する姿勢がより深まったのではないでしょうか。こうした経験は、国際理解が求められる現代において、将来どのような道に進んだときにも大切な視点として生きていくはずです。

交流がもたらした価値とこれから

今回の交流会は、スポーツを通じて人と人がつながる力を改めて感じさせるものでした。異なる背景や文化をもつ相手と向き合い、互いの経験に耳を傾ける時間は、学生にとって大きな学びの糧になります。出会いのきっかけになったデフリンピックの特別な事情や、選手たちの挑戦を支える体制を知ることで、社会に存在するさまざまな仕組みへの理解も深まりました。

人とのつながりが生まれる瞬間は、いつも想像以上に豊かなものです。交流の中で交わされた言葉や笑顔は、国や言語の違いを超えて、互いの心を近づける大切なきっかけになります。学生たちにとっては、自分の世界を広げる実感を得られる時間になり、選手たちにとっても日本の大学生との関わりが新しい刺激になったのではないでしょうか。

こうした経験は、今後の学びや人生の選択にも穏やかな影響を与えていくように思います。スポーツや国際交流が持つ可能性はまだまだ広がっていくはずですし、今回の出会いが次の学びや新しい挑戦につながっていくことを期待したいです。学生たちが感じ取った一つひとつの気づきが、これからも誰かとのつながりを大切にする姿勢へと結びついていくことを願っています。


文教大学 概要

文教大学は、「人間愛」を建学の精神とし、人を多面的に理解し支える力を育むことを大切にしている総合大学です。学長を務める宮武利江氏のもと、2025年5月1日時点で8,821名の学生が在籍しています。

キャンパスは、教育学部・人間科学部・文学部が学ぶ越谷キャンパス、情報学部と健康栄養学部の湘南キャンパス、国際学部と経営学部が置かれた東京あだちキャンパスの3つで構成されています。多様な学びの環境を通じて、人間生活の向上に寄与するための専門的な知識と技術を身につけることを目指しています。

URL:https://www.bunkyo.ac.jp/about/

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