【 あだち充×日髙のり子 】画業55周年に「こんな大ごとになるなんて…」タッチ・南ちゃんを演じた日髙さんが苦言「眉間のシワは先生のせい(笑)」

『タッチ』や『H2』など数多くの名作を生みだしてきた漫画家・あだち充さんの画業55周年を記念した展示会『ー画業55周年記念ー あだち充展』の開催を記念し、あだち充さん本人とアニメ版『タッチ』で浅倉南を演じた、声優で歌手の日髙のり子さんが登壇。スペシャル対談が実現しました。
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展示会は今月19日~2026年1月14日に池袋・サンシャインシティの展示ホールCにて開催。本邦初公開も含む貴重な生原画や作品のラフスケッチなど300点以上を公開。あだち充さんの55年にわたる創作のあゆみをこの目で確認できます。
あだちさんは“(漫画家を)55年やってるんですけど、『みゆき』の連載を始めたころから5~6年の間はほとんど仕事やってる記憶しかありません。本当に真面目に働いていた期間だと思います。本当です。その期間の、人気だったテレビドラマとか全く見てないです。”と当時の多忙ぶりを振り返りました。
すると日髙さんが、“『みゆき』の連載スタートが1980年。私が歌手デビューした年だなって思いました。声優になる前の話ですけど。っていうことは、私がデビューしたときのことは気付いてませんよね?”と問いかけ。あだちさんが“あなたのことはどこかで見てます(笑)…鶴光さんの何かで…(ラジオに出演していた)”と答えると日髙さんは大喜びして、冒頭から会場は和やかな雰囲気に包まれました。
登場人物の心情を、セリフではなく視線や風景など、独特の「間」で繊細に表現することが多いあだち充作品。あだちさんは、“結構意識してやってたと思います。言葉(セリフ)にしちゃうとそれだけで意味を持っちゃうので。伝わりにくいニュアンスとか、そういうことをなんとか言葉にしないで伝える方法を考えるのが好きだったんです。” “でも、それが成立するためには、相手に気持ちを察する力がないと進んでいかないので。だから、僕の漫画の主人公の周りにはとても高校生とは思えないような大人っぽいキャラクター、物分かりが良いというか…ちゃんと裏を汲んでくれるそういう脇役を配置して。なんとか続けてまいりました”と制作の裏話を明かしました。
その独特の「間」をアニメ版で声だけで演じるのはとても難しかったと振り返る日髙さん。『タッチ』の「浅倉南」役を演じたときのことを、“言葉に出しては面白くないというか、裏にあるその感情とかそういう思い、言葉にしない本当の思いは別のところにあるのにこのセリフを言う…っていうところを声だけで表現するということで。本当に何度もダメをくらって撮り直しがいっぱいあって。「もっとこの行間の感情を込めなさい!」っていうことをずーっとやって。(漫画を)読むときは最高なんだけど、演じるのは大変だなって思った記憶があります”と振り返りました。
“(収録時は)ずっとその感情を考えているわけですよ。ずーっと私の眉間はシワが寄りっぱなし。今も眉間のシワが残っているのは先生のせいですよ?(笑)”と可愛らしく恨み節。あだちさんが“いやいやいや…”とたじろぐ姿に会場は笑いに包まれました。
公の場に登場することが少ないあだちさん。冒頭の登場から時折うつむき加減で緊張している様子を見せ、“こんな大ごとになってるなんて思わなかったので、ノコノコ出かけてきたことを後悔しているところです(笑)”とぼやいていましたが、最後のフォトセッションでは対談が終わったことに安心したのか満面の笑み。カメラマンのポーズのリクエストに次々と答える大サービス。終了後、記者が「緊張しましたか?」と問うと、“もう、うんざりですよ!(笑)”と答えながらもスッキリとした表情。大きな笑顔を浮かべ、去っていきました。
【担当:芸能情報ステーション】