「買えない…」23区のマンション平均価格1.2億円 持ち家vs賃貸どちらがお得か徹底検証【Nスタ解説】
首都圏の新築マンション。11月も平均価格は、9000万円を超えていて、都市部を中心に「夢のマイホーム」が遠のいています。持ち家と賃貸、一体どっちがお得なのでしょうか?
首都圏の新築分譲マンションの平均価格「9181万円」
井上貴博キャスター:
不動産経済研究所の調査によると、首都圏の新築分譲マンションの平均価格が、11月は9181万円となりました。
街の人からは「買えない。将来払いきれるか怖い」「家にそこまで(お金を)かけたくない」などの声が聞かれました。
3LDK“ゆったり空間”でも埼玉県なら…
首都圏ではなく埼玉県で取材してみました。
JR川口駅から徒歩7分の建築中のマンション「ルピアコート川口本町」。3LDKの温かみのある木目調の部屋は、壁の収納が隠し扉になっていて、遊び心も満載です。
物件のお値段は、最安値で7600万円台。埼玉県になるだけで、首都圏の平均価格から1500万円ほど下がりました。それでもまだ手を出しづらい金額なのが現実。
池袋駅から直通電車で31分、東武東上線のみずほ台駅にある築1年の築浅マンション「ルピアグランデみずほ台」。特徴はキッチンを中心に作られた独創的な設計。間取りは3LDKとゆったり空間。
駅から徒歩16分と少し歩きますが、食洗機や生ごみを粉砕できるディスポーザーなどが付いて、お値段は4088万円(4階・3LDK)。東京23区の平均価格(1億2420万円)の約3分の1で買うことができます。
中央住宅 マンションDV 小田夏帆 主任
「都内の物件が予算的に追いつかないという方が、埼玉・千葉の物件にいらっしゃってる傾向はあるかと思います」
首都圏でも価格差 2026年は郊外の販売戸数増加の見込み
井上キャスター:
不動産経済研究所の調査によると、東京23区の11月の新築分譲マンションの平均価格は、1億2420万円だということです。
●東京23区 1億2420万円
●東京都下 6384万円
●神奈川県 6230万円
●埼玉県 6947万円
●千葉県 5727万円
2026年の首都圏の販売マンションの戸数は、2025年よりも増えそうだという見通しが発表されましたが、都心よりも郊外の販売戸数が増える見込みだということです。
賃貸価格も上昇 23区のシングル向け平均賃料「11万9139円」
井上キャスター:
賃貸価格も上がっています。
不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」によると、東京23区のシングル向き賃貸物件の平均賃料は右肩上がりで、2025年11月は11万9139円でした。
LIFULL HOME'S総研・副所長兼チーフアナリストの中山登志朗さんによると、「マンションの共用部分の光熱費や管理会社の人件費など、マンションの維持費が上がっているので、賃料も上げざるを得ない」ということです。
それぞれにメリット「持ち家」vs「賃貸」
井上キャスター:
持ち家と賃貸、どちらがお得なのかを考えてみたいと思います。
横浜市の30歳男性(年収600万円)、30歳の妻、5歳と4歳の子どもの家庭で試算してみると…
【持ち家(新築マンション)】
価格:4970万円
広さ:71㎡・3LDK
頭金:970万円
借入金:4000万円
全期間固定金利型1.9%、35年ローン、元利均等返済
【賃貸】
価格:13万円(共益費8000円含む)
広さ:52㎡・2LDK
家族構成などの変化に合わせて、40歳(13万)、54歳(15万)、65歳(11万)で引っ越しを仮定
それぞれ払い続けると、どうなるのでしょうか。
【持ち家】
毎月返済額(35年で完了):13万461円
管理費修繕設立金:月2万4211円
→50年間総額:約8105万円+固定資産税、都市計画税
【賃貸】
家賃(共益費含む):平均13万円(3回引っ越し)
更新料、敷金、礼金、仲介手数料+引っ越し代
→50年総額 約8199万円
LIFULL HOME'S総研・副所長兼チーフアナリストの中山登志朗さんは、それぞれのメリットとして以下をあげています。
【持ち家】
・自分の資産になる
・住宅ローン減税などが受けられる
・間取り変更や設備交換を自由にできる
【賃貸】
・ライフステージにあわせて住み替えられる
・固定資産税などが不要
・設備の交換や修理費用の負担がない
==========
<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学 准教授 専門は経済思想・社会思想
著書『人新世の「資本論」』50万部突破