猫を『かわいそう』だと思うことで起こるトラブル5つ かえって不幸にさせてしまう危険性も
猫を大事にしている飼い主さんほど、猫の気持ちに反することには「かわいそう」と感じてしまうかもしれません。しかし、ときにその優しさは、かえって不幸な結果を招いてしまうことがあります。善意から生まれる「かわいそう」と思うことが、どのようなトラブルにつながるのか具体的なケースを見ていきましょう。
1.過保護による運動不足

「交通事故や感染症で猫が苦しむのはかわいそう」というのが、猫の完全室内飼いの基本にあります。しかし、家の中に適切な運動環境を整えないと、猫は肥満やストレスのリスクが高まります。
肥満は糖尿病や関節疾患のリスクを高め、猫の寿命を縮める原因となりますし、ストレスは何より万病の原因です。誤飲を防ぐため、留守中も夜間もずっとケージに入れっぱなしにするような過保護が行き過ぎると筋力の低下も招きます。
猫は長時間の運動は必要ありませんが、飼い主が在宅しているときは部屋を自由に動き回れる環境を整えましょう。一日10〜15分でもいいので、定期的に遊びの時間を設けるようにしましょう。おもちゃを使って遊んであげることで運動不足とストレスの解消が期待できます。
2.過度な餌やりと健康被害

「お腹が空いたらかわいそう」だと思い、猫が鳴くと食べ物を与えていませんか?猫が欲しがるままに食べ物を与えてしまう飼い主は少なくありません。「お腹いっぱいになったら、猫は自分で食べるのをやめるだろう」と思われていますが、猫は満腹中枢の働きが弱く、与えられればどんどん食べ続けてしまう傾向があります。
これは、野生で食べ物が手に入りにくかった環境で身についた習性で、栄養豊富なキャットフードを与えられている現代の猫には必要のない習慣です。
コロコロとふくよかな猫はかわいいものですが、適正量を大幅に超えたカロリー摂取は、肥満だけでなく糖尿病や腎臓病、心臓病などの深刻な疾患につながります。適切な給餌量を守り、健康的な体重を維持してあげましょう。
3.不適切な多頭飼育への発展

最初は「お留守番が長いから1匹ではかわいそう」、あるいは「野良猫が外で暮らすのはかわいそう」という思いから、2匹目、3匹目と次々に猫をお迎えする人がいます。健全に飼育できる余裕があれば問題ありませんが、限度を超えた多頭飼育は猫を不幸にする結果を招きます。
猫の相性を考慮した十分な生活スペースがなく、1匹ずつに目が届きにくい場合、猫同士のストレスが増え、病気の発見も遅れます。
もちろん猫が増えれば、世話をする人手と猫の生活費や医療費が必要です。子猫には去勢・避妊手術も必要です。それらが間に合っていないと最悪の場合、多頭飼育崩壊を招くこともあります。
「かわいそう」という感情だけで保護するのではなく、自分が責任を持って適切に飼育できる頭数を冷静に判断することが大切です。
4.必要な医療の先延ばし

動物病院については、そもそも病院を好む猫のほうが少ないのではないでしょうか。病院嫌いな猫でも、健康管理のためには獣医師の診察が必要です。しかしその一方で、「怖がっていてかわいそう」という思いから、必要なワクチン接種や去勢・避妊手術、病気の治療を後回しにしてしまうこともあります。
繁殖用の飼育でない限り、一般家庭で飼育するのに去勢・避妊手術は欠かせませんし、予防接種は命に関わる感染症から猫を守るために重要です。また、愛猫に異変を感じているのに様子を見るということは、病気の早期発見・早期治療の機会を逃すことに繋がります。
もちろん通院時に猫のストレスを避けることは求められますが、医療にかかる機会を避けてしまうのは、さらに大きなトラブルになる危険があると知っておきましょう。
5.しつけの放棄による問題行動

猫をどの程度自由に生きさせるかは、飼い主によって考え方が異なります。しかし、適切なしつけで必要な境界線を教えないことは、一緒に生活する上で、人間以上に猫自身にとってデメリットがあるのです。
子猫の頃の噛み癖や引っかき癖は、飼い主が教えることで、してはいけないことと次第に覚えていきます。子猫に適切な教育をせず、避けて放置すれば、成猫になっても何をしたら飼い主が嫌なのかを理解できない猫になるでしょう。
また、キッチンやベランダ、お湯を張った浴槽など、危険な場所への立ち入りを止めないことは、猫の命を危険にさらすことになります。
適切なしつけは猫が安全に暮らすためのルールを教える愛情のひとつです。家族が一貫したルールを教えることで、猫はそれに従い安全な生活を送れるのです。
まとめ

猫を「かわいそう」と思う優しい気持ちは、飼い主として大切な感情です。しかし、その感情に流されて客観的な判断を失ってしまうと、かえって猫を不幸にしてしまう危険性があります。
猫の気持ちはとても大切ですが、猫の飼育には必ず優先順位をつける必要があります。特に動物病院の受診控えは「かわいそう」と思う、飼い主さん自身に行きたくない気持ちがあることも。実際に猫にストレスがあっても一時的なもので、長期にわたり病気になるよりは、はるかにマシなことがほとんどです。
長期的な健康と幸せを守るためには、科学的根拠に基づいた適切な飼育を心がけることが、愛猫のためになります。
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