【ニューイヤー駅伝展望】吉田響と太田蒼生 箱根駅伝2、3、4区の歴代日本人1位記録保持者が実業団駅伝に参戦

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2025-12-29 17:00
【ニューイヤー駅伝展望】吉田響と太田蒼生 箱根駅伝2、3、4区の歴代日本人1位記録保持者が実業団駅伝に参戦

2026年最初のスポーツ日本一が決まるニューイヤー駅伝 in ぐんま(第70回全日本実業団対抗駅伝競走大会。群馬県庁発着の7区間100km)。今季は大物新人が数多く走る。中でも吉田響(23、サンベルクス)と太田蒼生(23、GMOインターネットグループ)は箱根駅伝の実績から期待が高い。吉田は1年前の創価大4年時に、数多の名ランナーが走ってきた箱根駅伝2区の日本人最高タイム(歴代2位)を樹立した。太田は2年前の青学大3年時に、箱根駅伝3区の日本人最高タイム(歴代2位)を、4年時には4区の日本人最高タイム(歴代2位)をマークした。ニューイヤー駅伝でもチームの勝敗を左右する走りが期待できる2人は、どんなランナーなのだろうか。

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■ニューイヤー駅伝(1月1日)の区間と距離、中継所
1区 12.3km 群馬県庁~高崎市役所
2区 21.9km 高崎市役所~伊勢崎市役所
3区 15.3km 伊勢崎市役所~三菱電機群馬工場
4区 7.6km 三菱電機群馬工場~太田市役所
5区 15.9km 太田市役所~桐生市役所
6区 11.4km 桐生市役所~伊勢崎市西久保町
7区 15.6km 伊勢崎市西久保町~群馬県庁

上りと下り&平地で筋肉を使い分ける吉田響

吉田は箱根駅伝2区に続き、東日本実業団駅伝でも最長区間の3区(16.4km)で区間2位と好走した。来年2~3月には「初マラソンで日本記録」を目標に掲げることからも、長い距離に適性があるランナーであるのは確かである。「ニューイヤー駅伝も2区の区間賞、区間新を目標に練習してきました」

しかし自身の適性が高いのは、5区の方だという。「向かい風で(アップダウンのある)タフなコース。自分の長所を100%引き出せる区間だと思います」

箱根駅伝も山登り区間の5区と、起伏の多い2区で活躍してきた。それができたのは「細かい筋肉を使い分けられるから」だと自己分析する。「上りは前腿の筋肉を使って走ります。それに対して下りや平地は大腿裏の筋肉を使います。箱根の5区は前腿をすごく使うのでそこが発達していないと走れませんが、腕も使えないといけません。腕振りの推進力を使いながら脚を回していくイメージです。箱根の2区は上りと平地があるので、筋肉を使い分けることができます。それに対してニューイヤー駅伝の2区はほぼ平坦なので、同じ筋肉を使い続けないといけません。どこまで押し切れるか不安もありつつ、わくわく感もあります」

サンベルクスはマラソンで2時間06分00秒を持つ市山翼(29)も、2区と5区候補に名前が挙がっている。吉田は出雲全日本大学選抜駅伝2区(5.8km)など、短い距離の区間でも区間賞を取っていることから、1区や3区出場の可能性もある。どの区間になっても、同学年選手とのルーキー対決が実現するだろう。区間賞を目指すなら同学年だろうが、年上の選手であろうが関係ないが、吉田は同学年選手たちとの対決に勝つことも、自身を成長させていくことにつながると言う。「箱根で同じ2区を走った篠原(倖太朗・23、富士通)選手と、平林(清澄・23、ロジスティード)選手には負けたくありません。太田選手もハマったらどんな走りをするかわからない。この世代は強い選手が揃っているので、その中で1番を取り続けていきたいです」

吉田を軸にルーキー対決に注目すると、テレビ観戦がより面白くなる。

太田の駅伝の強さは「楽しむこと」から

吉田と太田は箱根駅伝の戦績だけでなく、卒業後にプロランナーの道を選んだことも共通している。2人とも基本的には1人で練習するが、吉田は夏以降はサンベルクスチームの練習に参加することが多くなり、太田も10月以降はGMOインターネットグループの選手たちと一緒に練習している。9月のベルリン・マラソンで、2時間14分02秒の18位と結果が出なかったことが理由だった。

「1人でやることで自分の考えを100%練習に反映させられます。目標から逆算して何をどうすべきかを自分で決めて、自分で責任を持ってやる。そこは1人でやるメリットですが、スピード系の(週に2~3回行う負荷の高い)ポイント練習は、100%消化することが難しかったんです。他の選手と一緒にやることも必要だとすごく感じました」

東日本実業団駅伝以降はスピード練習も学生時代と同じか、それ以上のレベルでできている。「今はまだ7割くらいですが、毎年箱根駅伝1週間前は7~8割でした。残り1週間でイメージを鮮明にして(10割まで)調整しています」

太田の箱根駅伝に合わせる能力は、学生トップランナーの中でもずば抜けていた。箱根駅伝では10km通過を、10000mの自己記録より1分近く速いタイムで通過した。オーバーペースで後半失速するケースだが、太田は絶対に失速しない。どうしてそんな走りができたのか?「駅伝が楽しいからです。大学駅伝は僕が大学に行った意味でもありますし、年間で一番、そこに向けてピーキングをしています。そして大きな大会ほど気持ちがすごく高ぶります」

駅伝へのスタンスは学生駅伝も実業団駅伝も「変わらない」という。「僕の人生の信念で、常に全力で楽しむ、という考えがあります。楽しめなければやっている意味はない。楽しもうと思って1年間頑張っていれば、自然とワクワクしてきます。その大会が今はニューイヤー駅伝と、来年のマラソンです」

箱根駅伝がそうだったように、太田が世間をあっと言わせる走りをするときが迫っている。

同じ大学出身の平林と山本、同じ千葉県出身の吉田礼と篠原

2人以外にも大物ルーキーが多数登場する。平林は國學院大3年時にマラソンで学生記録(当時)を出したランナー。篠原は駒大4年時にハーフマラソンの学生記録と、屋外5000mの日本人学生最高記録をマークした。山本歩夢(23、旭化成)と鶴川正也(23、GMOインターネットグループ)、吉田礼志(23、Honda)も学生駅伝で区間賞を取ったり、10000mで27分台を出すなど活躍した。

平林は東日本実業団駅伝アンカーで、ロジスティード初優勝のフィニッシュテープを切った。その時は区間4位だったが、11月22日の八王子ロングディスタンス10000mでは27分37秒13と自己記録を大きく更新。「上半期は上手く行きませんでしたが、八王子から動きも良くなってきました」と、手応えを感じている。

旭化成の山本は國學院大で平林と同級生だった。平林が國學院大を拠点に、大学時代の監督から指導を受けているのに対し、山本は前年の実業団日本一の旭化成の練習環境に飛び込んだ。「最初は練習パターンが違ったので合わせるのが難しかったのですが、今では慣れてきてジョグもプラスアルファができています。平林とは一度も戦ったことがありません。同じ区間になったら絶対に勝ちたい」と、大学時代のエースとの勝負に意欲を見せている。

篠原と鶴川も、母校を拠点に大学時代の指導者の下でトレーニングを行っている。鶴川は4月に5000mで13分17秒64の自己新をマーク。5月に肉離れをして約4カ月走る練習ができなかったが、11月の八王子ロングディスタンス10000mは28分10秒34まで復調した。

吉田礼は山本と同様、実業団チーム(22&23年ニューイヤー駅伝優勝のHonda)の練習環境でトレーニングを積んでいる。11月3日の東日本実業団駅伝は最長区間の3区を任されたが、区間12位と期待に応えられなかった。しかし「腰が引けて、乗らない走り」になっていたことに気づき、「ジョグの質、補強の頻度」を見直すことで走りを修正。12月7日の甲佐10マイル(約16km)では46分12秒で6位と好走した。「1年目の選手だけでなく、実業団に入った以上実業団選手全員に負けたくありません。同期では篠原が同じ千葉県で高校からずっとライバルで仲も良い。篠原が結果を出すと刺激をもらっています」

ルーキー同士の戦いも興味深いが、強力ルーキーたちが先輩選手へどんな戦いを挑むかにも注目したい。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)

*トップ写真は左から吉田響選手、太田選手

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