「無料だと思ってた」妊婦健診「標準額」設定へ…全国では負担額に“1万円以上”の差も 妊婦の経済的負担減らすには?【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-01-09 14:08

妊婦と赤ちゃんの健康を守るための「妊婦健診」。しかし、住んでいる地域によってその負担額には大きな差があります。この差を埋めるため、国が動き始めています。「標準額」を示す方針ですが、これまで通りのケアが維持できるのか心配する声もあがっています。

【データを見る】妊婦の負担額に1万円以上の差

妊婦検診「無料だと思ってた」妊婦の経済的負担は?

赤ちゃんたちにとって望ましい結果になるのでしょうか。

妊婦や胎児の状態を調べる“妊婦健診”。国が「望ましい基準」を決めていて、感染症検査や超音波検査などを14回程度に分けて行います。

国はこの基準内ならば妊婦が健診費用を払わなくて済むよう、自治体に公費負担を求めていますが、現実は…

40代女性
「追加の検査があって、それを行うと多い時は1万円を超える。特に大きな検査が無ければ(1回)数千円」

30代女性
「自己負担額はないと思った、無料だと思ったんです。なのに(公費負担の)券を使っても意外と払うんだなと思って」

実際は、自治体によって助成される額に差がある事などから、妊婦側に金銭的負担が生じてしまっています。

問題は、金銭的な負担が増えると、出産のリスクまで増える恐れがあることです。

川崎市の担当者は…

川崎市・母子保健担当 村山智子さん
「経済的な理由で妊婦健診の回数を減らしたり、適切な時期に受診しないというような方もいらっしゃると思います。きちんと(健診を)受けていただくことが、異常・リスクの早期発見につながりますが、それを受けられないということは、安全な出産が難しくなるリスクがあります」

川崎市の助成額は8万9千円でしたが、去年7月から13万5千円に増額。自己負担なしで妊婦健診を受けられる人が増えたとみています。

川崎市・母子保健担当 村山さん
「川崎市は若い世代の方々が活躍している。市の中でも妊娠期の方々の負担を軽減させる方向で一致して動いております」

全国では負担額に“1万円以上”の差も…「20代で産むのは無理」の声

ただ、医療機関が健診の価格を自由に決められることも関係し、妊婦の負担額には地域差が出ています。全国で一番負担が小さいのは中国・四国の7562円。逆に、一番負担が大きいのは関東甲信越の19124円で、1万円以上差があります。

30代女性
「健診自体もほぼ義務みたいなものなので、全額負担か全国平均値に東京が少しでも近づいたら嬉しい」

40代女性
「全額補助してもらえるとありがたい。無駄な検査をしているわけではないので。(金銭的に)若くして20代とかで産むのは、本当に無理かなという気はしますね」

先月、こども家庭庁は妊婦健診の費用の目安となる「標準額」を設定する方針を固めました。

国はこの「標準額」を考慮して料金設定をするよう医療機関に求めることで、妊婦の経済的な負担を減らそうとしています。

しかし、都内のクリニックからは…

丸の内の森レディースクリニック 宋美玄院長
「東京とかは地方と同じ額だとちょっと難しいんじゃないかなと。地域差を無視して、全国の標準額を設定して、もし標準額の中でしないといけないとなった場合、健診自体を簡素なものにしていかないといけなくなる可能性があって、妊婦としてはどちらが良かったのかということになりかねない」
「ただ、もちろんこういったご時世ですし、妊婦さんの負担をどんどん無くしていくという方向の議論は必要だとは思います」

無痛分娩や卵子凍結…妊娠の公費負担、どこまで?

藤森祥平キャスター:
地域や医療機関によって費用の異なる妊婦健診。国は「妊婦健診の望ましい基準」を定めています。これによると、初期から出産までは14回程度で、検診のたびにやってきた記憶がある超音波検査は、国の基準では最低でも4回が望ましいとされています。

小川彩佳キャスター:
我が子の姿を目で見て感じることができる唯一の手段ですから、これを楽しみに検診に通っていた方も多いと思います。

藤森キャスター:
病院によって負担の違いがありますが、超音波検査は1回あたり5000円ほどの自己負担になっています。国は、基準以外の検査を目で見て分かりやすくすることで、妊婦さんが取捨選択をすることができる環境を整える狙いがあるそうですが、なかなか難しい問題ですね。

教育経済学者 中室牧子さん:
どこまでが必要で、どこからオプションなのか分からないまま、妊婦さんの負担が増えることがないように、価格の参照値を作るのが、今回のこども家庭庁の政策の目的です。ただ、事実上“価格規制”ではないかと皆さん懸念されていると思います。

仮に、自治体が標準額をもとに助成の金額を決めるとすると、標準額を上回るところは自己負担となりますから、医療機関は標準額を上回らないように医療の質を下げるのではないか、というのが、先ほど宋美玄先生がご指摘していた内容ではないかと思います。そういったことが起こらない制度設計にすることが大事だと思います。

小川キャスター:
健全な出産にかかる部分が削られることがないかを、見ていかなければならないですね。

教育経済学者 中室さん:
検診だけではなく、いくつかの自治体では「無痛分娩」や「卵子凍結」にも助成金が出ているなど、さまざまなことで地域差があり、この差を埋めなくていいのかという話もあるかもしれません。

出産にかかる経済的負担を減らしたいということは、みんな思っていることだと思います。

ただ、命や安全にかかるリスクを下げる意味で不可欠なことと、無痛分娩や卵子凍結など選択肢を増やす支援があったとして、この両方を公費負担にするのか、いずれかに絞るのかについては、国民的な議論が必要なのだと思います。

藤森キャスター:
医療機関側も人手不足など、運営するのが大変な事情もありますから、質が下がることがないようにしないと、出産自体が立ち行かなくなりますよね。

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<プロフィール>
中室牧子さん
教育経済学者 教育をデータで分析
著書「科学的根拠で子育て」

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