なぜ休んでも疲れが抜けないのか?多くの社会人が感じている「疲労感」の正体
朝起きても疲れが抜けない。仕事が終わるころには、体よりも気持ちのほうが重く感じる。そんな感覚を抱えながら毎日を過ごしている人は、決して少なくなさそうです。
キリンホールディングスが行った「現代人の疲労に関する調査」では、働く大人の多くが「体の疲れ」だけでなく、はっきり言葉にしづらい「疲労感」を日常的に感じていることが明らかになりました。原因として浮かび上がってきたのは、忙しさそのものよりも、人間関係や責任、ストレスといった心の負担です。
年齢を重ねるにつれて、その疲労感が強まる傾向も見られ、疲れている状態が「特別なこと」ではなく「当たり前」になっている現実が見えてきます。
では、なぜ現代人はここまで疲れてしまうのでしょうか。
なぜ現代人はここまで疲れてしまうのか。その疲れは本当に休めば解消するものなのか。調査結果をもとに、今の社会人が抱える疲労感の正体をひも解いていきます。
疲れているのは体よりも「気持ち」だった

仕事が終わったあと、特別に体を酷使したわけでもないのに、どっと疲れを感じる。休日にしっかり寝たはずなのに、月曜の朝から気分が重い。
こうした感覚は、単なる体力不足では説明がつきません。
今回明らかになったのは、多くの社会人が「体の疲れ」とは別に、主観的な疲れ、いわゆる疲労感を抱えているという事実です。そしてその疲労感は、ストレスや緊張、心理的な負荷と強く結びついています。
注目したいのは、「疲れている」という感覚が、必ずしも体の消耗量と比例していない点です。仕事量がそれほど多くなくても、気を張り続ける環境にいるだけで疲労感は蓄積します。逆に、忙しくても納得感のある状態では、そこまで強い疲れを感じないケースもあります。
つまり現代人の疲れは、休めば回復する単純なものではなくなっています。体を休めているはずなのに、気持ちが追いつかない。そのズレこそが、今多くの人が抱えている「取れない疲れ」の正体なのかもしれません。
一番の原因は忙しさではなく「人との関係」

疲れの原因と聞くと、多くの人は「仕事が忙しいから」「残業が多いから」といった量の問題を思い浮かべがちです。しかし、実態として浮かび上がってきたのは、それとは少し違うものでした。
心理的な負担の中で、最も多く挙げられていたのは職場の人間関係です。同僚や上司、部下との関係性は、仕事をしていく以上、完全に切り離すことができません。合わない相手がいたとしても、距離を取るのが難しいのが職場という場所です。
また、人間関係の負担は単独で存在するわけではありません。上司との関係に気を遣い、部下への配慮に神経を使い、チーム全体の空気にも目を配る。その積み重ねが、じわじわと疲労感を押し上げていきます。仕事そのものよりも、「どう振る舞うか」を考え続けることにエネルギーを使っている人も少なくなさそうです。
そこに睡眠不足や業務量の多さが重なることで、疲れはさらに抜けにくくなります。忙しさだけではなく、人との関係性が絡むことで、疲労感はより複雑なものへと変わっていく。現代人の疲れが一筋縄ではいかない理由が、ここに見えてきます。
年齢を重ねるほど疲れが抜けにくくなる理由

若いころは、多少無理をしても一晩寝れば何とか持ち直せた。そんな感覚を覚えている人も多いかもしれません。しかし、年齢を重ねるにつれて「疲れ方が変わった」と感じる場面は増えていきます。
実際、多くの社会人が、年齢が上がるにつれて疲労感は強まっていくと感じています。その背景には、体力や回復力の低下だけでなく、仕事や家庭で背負う責任の変化があります。単に忙しくなるというよりも、判断や調整、配慮といった見えにくい負担が増えていくのが特徴です。

特に40代以降になると、自分の作業量以上に、周囲を見ながら動く場面が増えます。部下のフォロー、上司との調整、家庭での役割など、気を抜けない時間が長くなりがちです。その結果、体は休んでいるはずなのに、気持ちがなかなか休まらない状態に陥ります。
疲労感が年齢とともに強くなるのは、個人の問題というよりも、社会の中で求められる役割が変化していく自然な流れとも言えそうです。そう考えると、「最近疲れやすくなった」と感じること自体が、決して特別なことではないと分かってきます。
「疲れているのが普通」になった今、見直したいこと
多くの人が、今年の自分の疲労感を高い点数で評価しています。中には「かなり強い疲れ」を感じている人も少なくありません。それでも日常は変わらず続き、疲れている状態そのものが、いつの間にか当たり前になっています。
今回見えてきたのは、疲労感が個人の気の持ちようや努力不足で生まれているわけではないという事実です。人間関係に気を配り、責任を背負い、将来を考えながら働く。その積み重ねが、体よりも先に気持ちを消耗させている現実があります。
だからこそ、「もっと頑張る」ことだけが解決策ではありません。しっかり休むことに加えて、疲れを感じる背景そのものを見直す視点も必要になってきます。疲れていると感じる自分を責めるのではなく、そう感じてしまう社会の構造を知ること。それだけでも、少し肩の力が抜ける人は多いはずです。
疲労感は、今を生きる多くの社会人が共有している感覚です。その事実を知ることが、無理をしすぎない働き方や暮らし方を考える第一歩になるのかもしれません。
※本文中で紹介している調査データは、キリンホールディングス株式会社が実施した調査結果(キリンホールディングス調べ)をもとに構成しています。