【睡眠の新常識】“休日寝だめ”は逆効果…社会的時差ボケ=酒に酔った状態 あなたに最適な睡眠時間は?【Nスタ解説】
睡眠は謎だらけで、分からないことが多いのですが、その“分からない部分”を研究者が解明し、一部の謎が解けてきたといいます。
これまでの常識も変化しているということで、「睡眠の新常識」を睡眠学者である筑波大学・柳沢正史教授とともにお伝えします。
「5分刻みのアラームは無駄」「朝練よりも長く寝る」睡眠の新常識
井上貴博キャスター:
アップデートしないと間違った快眠法になっているかもしれません。
【睡眠の新常識】
▼5分刻みのアラームは「無駄」
▼睡眠は90分サイクルではない
▼悪い夢を見るのは悪い事ではない
▼朝練より長く寝る方が上達?
また、寝る前に「朝5時に起きなきゃいけない」と思っていると、案外起きられたという経験ありませんか?“意識して寝ると起きやすい”という論文が発表されているそうです。
筑波大学教授 柳沢正史さん:
寝る前に「何時に起きる!」と念じて寝ると、その時間に近づくと起きやすくなるという論文が発表されています。
井上キャスター:
「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の睡眠のサイクルは「90分ではない」ということですね。
筑波大学教授 柳沢正史さん:
平均すると90分ではありますが、一晩の中でも1回目は1時間、2回目は2時間などすごく揺らぎがあります。なので、90分の倍数で起きるということはあてになりません。
人によっても異なりますし、同じ人でも一晩の中ですごく揺らぎがあります。
「悪夢」はストレス耐性の“予行演習”
井上キャスター:
「悪夢は悪いことではない」という新常識。これは、ストレス耐性を高める予行演習ではないかという研究が出ているそうです。
また、「朝練より長く寝る方が上達する」ということですが、どうみていますか。
筑波大学教授 柳沢正史さん:
特にアスリートは若者が多いですが、若者は夜型の人が多く、早起きをしても午前中はいわゆるエンジンがかかりません。無理して朝に練習するよりも、夕方に練習して朝は長く眠った方がいいという話もあります。
井上キャスター:
勉学や記憶力は睡眠で定着するといわれていますが、体力的・肉体的にもあてはまるということでしょうか。
筑波大学教授 柳沢正史さん:
スポーツの技能やパフォーマンスは脳の訓練でもあります。
フィジカルの筋肉だけではなく、いかに正確に動かすかは脳の一種の記憶です。身体で覚える記憶、これは睡眠を必要としているということです。
休日の“寝だめ”は逆効果「毎日少しでも睡眠時間を延ばすことが大事」
井上キャスター:
睡眠ゲームアプリ 「ポケモンスリープ」の大量のデータから、分かってきたことがあります。
【睡眠別タイプ】
▼健康的な睡眠
▼長時間睡眠
▼断片的な睡眠
▼不眠傾向
▼社会的時差ボケ
上記のように分けられる「睡眠タイプ」の中で、仕事の効率が最も悪いのは休日に“寝だめ”をする「社会的時差ボケ」タイプでした。
平日と土日の睡眠時間が大きく変わってしまう人も多いと思いますが、この差はどう考えればよいのでしょうか。
筑波大学教授 柳沢正史さん:
これは睡眠時間の差だけではなく、遅寝・遅起きと早寝・早起きの差も関係しています。
例えば、月曜から金曜までの睡眠時間が午前0時~午前6時だとすれば、中央時刻は午前3時です。一方で、休みの日に夜更かしをして、睡眠時間が午前2時~午後12時だとすると、中央時刻は午前7時となり、平日と休日で4時間の差が出てしまいます。
自ら時差を作り出してしまうことから「社会的時差ボケ」と名前をつけられています。
筑波大学教授 柳沢正史さん:
(社会的時差ボケにならないためには)中央時刻の差をプラスマイナス1時間以内くらいに抑えたいところです。
週末に長く眠らないと追いつかないという場合は、早寝・遅起きをすることだと思います。
とはいえ、30分でもいいから早めに寝て、少しでも毎日の睡眠時間を延ばすことが一番大事です。それによって週末に“寝だめ”をしなくて済むようになることが理想的です。
井上キャスター:
労働生産性を経済損失額に換算すると、「健康的な睡眠」グループと比較して、「社会的時差ボケ」グループでは、1人当たり年間13万6000円分の損失になるということです。さらに、日本社会全体に当てはまると仮定すると、年間約1兆円の損失だといいます。
柳沢教授によると、社会的時差ボケは「酒に酔っぱらったような状態」に例えられるといい、ですから、日々の睡眠時間を少しでも伸ばした方が良いということです。
「長時間睡眠」は不調のサイン?
井上キャスター:
睡眠時間が長ければ良いのかというと、そういうわけではありません。「長時間睡眠」タイプは労働生産性が高くないといいますが、なぜなのでしょうか。
筑波大学教授 柳沢正史さん:
「長時間睡眠」は、毎晩9~10時間眠っている人なのですが、これは「寝すぎ」という訳ではありません。人間は“寝すぎる”ことはできず、毎晩9時間程度寝ないとダメな人は、どこか体が悪いのです。
例えば、睡眠時無呼吸で睡眠の質がすごく悪くなっていたり、うつなどのメンタルの問題があって過眠状態になっていたりすることで、体の調子が悪い状態です。そのため、いわゆる回復力のある睡眠ができてないと考えるべきです。
寝すぎが悪いのではなく、睡眠は結果です。どこか体が悪いせいで、長く眠らざるを得なくなっていて、そのため当然、生産性も落ちてしまうということです。
プロが教える「最適な睡眠時間」を知る方法
井上キャスター:
最適な睡眠時間は、どう測れば良いでしょうか?
柳沢教授によると、睡眠時間は「遺伝子で決まっている。最適な睡眠時間は実験的に決めるしかない」ということです。
【最適な睡眠時間の調べ方】※目覚ましをかけない
▼1日目
快適な環境で寝られるだけ寝る
就寝:午前0時
起床:午前10時
▼2日目
快適な環境で寝られるだけ寝る
就寝:午前0時
起床:午前9時
→1日目より睡眠時間が短くなる
▼3日目
快適な環境で寝られるだけ寝る
就寝:午前0時
起床:午前8時
→2日目より睡眠時間が短くなる
3日目の睡眠時間(=8時間)が、自分の適正睡眠時間だということです。
筑波大学教授 柳沢正史さん:
ほとんどの人が、多かれ少なかれ慢性的な寝不足を抱えているので、1日目は長くなります。2日目は、少し解消されてより短くなります。
3日目、4日目で落ち着いてくるのですが、その落ち着き先がその人にとっての十分な睡眠時間ということです。
多くの人が自分が思っているより長いはずです。実は、無自覚で(睡眠時間が)足りていない人が日本人は多いということです。
実験の際、二度寝になった場合は合算で計算してください。3~4日間、連続しないとダメなので、連休の時などに試してみてください。
寝る前はリビングも暗く…睡眠の権威はどう寝る?
井上キャスター:
睡眠学者である柳沢先生は、どのような状況で寝ているのでしょうか。
▼就寝は午前0時、起床は午前7時
▼静かで暗くて朝まで適温
▼リビングの明るさ 寝る前には暗くして過ごす
筑波大学教授 柳沢正史さん:
日暮れ以降、晩の時間帯は、食事の時なども家全体を暗くしています。
人間は少し薄暗いとこにいるだけでリラックスできます。リラックスさせることが良い睡眠への第一歩ですから、すごく大事です。
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<プロフィール>
柳沢正史さん
筑波大学教授
睡眠研究の世界的権威
ノーベル賞も期待される