
「その自然には、物語がある」
いまいるここニッポンには、イギリスよりも17年も早く指定された「国立公園」といわれる魅惑のエリアが、各地に点在しているって、知ってた?
日本の国立公園は、1931(昭和6)年、自然公園法の前身である国立公園法の成立により指定された公園で、単に豊かな自然景観のみならず、歴史や文化、その地域の人々の暮らしが織りなす「物語」を体験することで、忘れられない唯一無二の感動があるスポットとして、いま再び注目を集め始めている。
その数、なんと35か所……。
十和田八幡平~富士箱根伊豆~吉野熊野~大山隠岐

そこで環境省国立公園魅力発信Labは、ことし2月に指定90周年をむかえる4つの国立公園(1936年(昭和11年)指定)をピックアップし、その魅力を教えてくれたから、ここからチェックしていこう↓↓↓
今回、注目する指定90周年 国立公園は、十和田八幡平国立公園(青森県・岩手県・秋田県)、富士箱根伊豆国立公園(東京都・神奈川県・山梨県・静岡県)、吉野熊野国立公園(三重県・奈良県・和歌山県)、大山隠岐国立公園(鳥取県・島根県・岡山県)の4か所。
さらに指定から1周年をむかえる日本最大級の国立公園 日高山脈襟裳十勝国立公園(北海道)にもクローズアップ。
十和田八幡平国立公園
青森県・岩手県・秋田県

豊かなブナなどの冷温帯落葉広葉樹林と、八甲田連峰や八幡平のような火山性高原、そして二重カルデラ湖の十和田湖が特色の十和田八幡平国立公園(青森県・岩手県・秋田県)は、季節ごとに様々な表情を見せる。
なかでも冬は、雪に覆われた森や高原の存在感が際立つ時期。
多雪地帯の雪解け水が豊かな伏流水となり、世界有数の美しいブナ林が維持されている。
また豊富な温泉は、古くから「湯治」文化を育んできた。
豊かな森と火山が作った多様な地形、自然と共に生きる人々の暮らしが融合し、四季の景観と「なにもしない贅沢」を提供する物語がこの公園の核心。
火山が生み出した豊かな自然景観を体感
受け継がれてきた温泉地 湯治文化も


奥入瀬渓流(画像)では苔に囲まれたトレッキングが楽しめ、冬季は氷瀑鑑賞ツアーも開催される。
十和田湖(画像)では、林に囲まれた湖水が訪れる人を静かに出むかえる。
八幡平や岩手山周辺には、火山活動と豪雪による高層湿原が広がり、見る者を魅了。
冬季はスノーシューなど、雪の中で自然を体感するアクティビティも展開。
八幡平ビジターセンターでは、閉鎖中の「後生掛自然研究路」へ特別に入り噴気地帯を巡るツアーが開催されることもある。
運動後に待つのが温泉の時間。
国民保養温泉地第一号の酸ヶ湯温泉(画像)や、乳頭温泉郷、後生掛温泉など、火山の恵みと共に受け継がれた温泉地が点在している。
現代では、自然の中で心身をリフレッシュする「新・湯治」も注目されている。
冷えた体を湯でゆっくり温める時間は、至高のリラックスタイムに―――。
富士箱根伊豆国立公園
東京都・神奈川県・山梨県・静岡県

富士箱根伊豆国立公園(東京都・神奈川県・山梨県・静岡県)は、霊峰・富士山や富士五湖から、箱根、伊豆半島、伊豆諸島へと広がる火山地形の国立公園。
火山の営みが生み出した山や湖、海、島の景観が連なり、エリアを移動するごとに異なる自然の表情に出会える。
公園北部にそびえる富士山は日本のシンボルとして、浮世絵等の芸術作品でも親しまれてきた。
「信仰の対象」として古来より崇敬され、「芸術の源泉」として多くの創作モチーフとなったことで、人と自然が共生する文化的価値が認められ、世界文化遺産にも登録されている。
環境省では、富士山の優れた風景とそれに根差した文化を感じられる代表的な展望地を「富士山がある風景100選」として選定↓↓↓
https://www.env.go.jp/park/fujihakone/topics/100.html
富士山から海へ
火山地形が創り出す絶景ルートを体感


伊豆半島は、天城山系の豊かな自然、変化に富んだ海岸線、ジオパークとしての地球のダイナミズム、そして温泉が魅力。
南端の石廊崎(画像)は、海底火山から噴出した溶岩等による荒々しい地形が際立ち、火山が生み出した伊豆半島の特徴を象徴している。
今も活発な火山活動が続く大島や三宅島などの伊豆諸島では、御蔵島や利島周辺の海で、春から秋にかけて野生のイルカと泳ぐ「ドルフィンスイムツアー」(画像)に参加できる。
透明度の高い海でイルカを間近に観察できる体験は、この国立公園ならではの貴重な自然体験のひとつ。
富士箱根伊豆国立公園では、火山が創り出した多様な地形と、人々の暮らしや文化・信仰が重なり合う風景を、旅のなかで連続的に体感できる。
吉野熊野国立公園
三重県・奈良県・和歌山県

吉野熊野国立公園(三重県・奈良県・和歌山県)は、原生林と急峻な連峰、深い渓谷、黒潮の影響を受けた海岸が特徴。
熊野信仰や修験道等の山岳宗教と、それに関わる歴史文化が融合した「文化的景観」をあわせ持つ国立公園。
大峰山脈や大台ヶ原の山岳から、熊野川・北山川の清流、熊野灘の海岸まで、異なる環境が一体となり、地形の違いがそのまま体験の違いとして表れている。
山域では、大台ヶ原の断崖「大蛇嵓(だいじゃぐら)」や、修験道の歴史が息づく風景が広がる。
吉野山では、修験道の開祖・役行者の故事以来、人の手で守られてきた桜が山を覆う(画像)。
現在はわずか3人の「桜守」が管理を担っている。
一度では味わい尽くせない
地形の多様さが生む吉野熊野国立公園の体験幅

また、世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として登録された熊野川では、江戸後期から続く「三反帆(さんだんぼ)」(画像)に乗り、往時の参詣に思いを馳せてみたい。
熊野那智大社や青岸渡寺も世界遺産に登録され、日本を代表する聖地のひとつ。
落差133mの那智の滝との調和は壮観で、『TIME』誌の「The World’s Greatest Places of 2025」に選ばれるなど、その神秘性は国際的にも高く評価されている。
尾鷲湾から千里の浜まで続く約560kmの海岸線では、リアス海岸やすさみ町のフェニックス褶曲(しゅうきょく)など、変化に富んだ景観が楽しめる。
串本は世界最北のサンゴ礁生態系が成立し、日本初の海中公園(現・海域公園)に指定された。
エリアごとに景観が切り替わるため、訪れるたびに異なる風景に出会える。
山・川・海のつながりに育まれた歴史・文化を感じる奥行きのある体験が、この公園の大きな魅力。
大山隠岐国立公園
鳥取県・島根県・岡山県


大山隠岐国立公園(鳥取県・島根県・岡山県)は、日本神話や山岳信仰の舞台となった自然が、今も人々の暮らしと連続して残る国立公園。
中国地方最高峰の大山をはじめ、蒜山(ひるぜん)、三徳山(みとくさん)、三瓶山(さんべさん 画像)、島根半島の海岸、隠岐諸島から成り、変化に富んだ景観が続く。
豊富な水の恵みをもたらす大山(画像)は「大山信仰」として広く崇敬され、三徳山は山岳信仰の聖地として知られている。
また島根半島には「国引き神話」にまつわる名所が点在し、自然と信仰が結びついた風景が今も受け継がれている。
さらに各エリアには、火山活動や地殻変動で形成された個性ある地形が広がっている。
登山やトレッキング、海岸散策、シーカヤックなど、自然と向き合う体験が各地で展開され、とりわけ大山や三徳山では、信仰や修行の対象とされてきた山を自らの足で歩く体験が可能。
また草原が美しい蒜山エリアでは、登山道や草原の維持・管理に自ら携われるような体験アクティビティも行われ、達成感はひとしお。
神話と信仰の舞台を体験
自然 信仰 暮らしが重なり合う大山隠岐国立公園

隠岐諸島では、 「摩天崖(まてんがい)」や「赤壁」など大地の動きや浸食により生み出された独特な断崖や海岸景観が広がり、山岳エリアとはまったく異なる自然の表情に出会える。
エリアを移動することで、風景だけでなく、自然との向き合い方そのものが切り替わる点も、この国立公園の特徴。
自然、信仰、暮らしが重なり合う大山隠岐国立公園では、風景を眺めるにとどまらず、その土地に息づいてきた歴史や物語を体験として感じる時間が広がっている。
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指定から1周年 日本最大級の国立公園
日高山脈襟裳十勝国立公園

日高山脈襟裳十勝国立公園(北海道)は、2024年度に新たに国立公園として指定された、陸域面積では日本最大の国立公園。
日高山脈から襟裳岬、十勝平野、太平洋沿岸へと連なる広大なエリアを有し、険しい山岳地形と海が直結する、日本でも極めて希少な景観が広がっている。
日高山脈は、地殻変動や氷河地形が特徴で、連峰の稜線や深い谷、そして海へと一気に落ち込む地形など、自然の力がつくり出したダイナミックな風景が随所に見られる。
容易には人を寄せ付けない奥深く険しい山岳地帯や、特徴的な地形・地質が影響し、多くの固有種や希少植物を含む豊かな生態系が現在まで保たれてきた。
登山やトレッキング、自然観察を通じて、手つかずに近い自然と向き合える点も、この国立公園の大きな特徴。
加えて、日高山脈や襟裳岬を祈りや崇拝の対象とし、山麓で生活を営んできたアイヌの人々の歴史がこの地の風景と深く結びつき、自然と文化、人の営みの関係性を感じ取ることができる。
2024年度の指定により、その価値があらためて評価された日高山脈襟裳十勝国立公園は、日本の自然の原点ともいえる景観を体感できる場に―――。
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火山や森、水の循環といった自然環境と、地域の歴史や文化、地域の人々のくらしが育んできた「物語」を感じる4つの国立公園へ。
いまこそ、環境省「日本の国立公園」サイトをチェックして、旅に出てみて↓↓↓
https://www.env.go.jp/park/
