「弱い円」購買力は3分の1に... “失われた30年”円安加速に物価高 一方、高市総理"憧れ"サッチャー元首相は緊縮財政で「ポンド安」立て直し【サンデーモーニング】
物価高の要因の一つとなっている「円安」ですが、今の円の価値は、他の通貨と比べるとどの程度のものなのでしょうか。
【画像を見る】「ビッグマック指数」で見る“円の価値” 日本は何位
ビッグマック値上げで「500円」も世界と比べれば安い?
止まらない物価高に値上げラッシュ。
25日にはマクドナルドも値上げを実施し、看板商品「ビッグマック」は480円から500円になりました。ただ、日本のビッグマックは世界では安い方なのです。
世界各国で販売されるビッグマック。作り方や材料、サイズがほぼ同じ商品なので、世界中どこでも同じ価格になるはずですが、実際は各国の通貨の価値にばらつきがあるため、そうはなりません。
それを比較するのが「ビッグマック指数」です。
アメリカでの販売価格を基準に、イギリスの経済誌「エコノミスト」が1986年から毎年発表しています。日本はどうでしょうか。
値上げ前の日本ではビッグマック1つを480円で買えるのに対し、アメリカでは6.12ドル=日本円で約970円もします。(※1ドル=158.54円で算出 2026年1月)
つまり円は、ドルの半分程度の価値しかないということです。
これを最新のビッグマック指数(※2026年1月)で見ると、54か国中48位。値上げした500円でも順位は変わらず、それだけ円は弱いということなのです。
「円の強さ」は30年で3分の1に...
別のデータでも円の弱さは際立っています。
国際決済銀行が発表する「実質実効為替レート」、こちらも日本円でモノを買う購買力、つまり「円の強さ」を示します。こちらのレートでも2026年1月、1973年の変動相場制度になってから最も安い水準になったことがわかりました。
このデータでは円が最も強かった1995年と比べ、なんと3分の1の水準まで下がったことになります。
先ほどのビッグマック指数でも同じ時期(1995年)だと現在とは真逆で、日本のビッグマックはアメリカの2倍の価格、つまり円はドルの2倍の価値がありました。
資源を輸入に頼る日本では物価高に繋がる通貨安
「安いニッポン」となった背景は何なのでしょうか。
1986年ごろから始まった「バブル景気」は91年に崩壊します。その後の日本経済の低成長とデフレ、いわゆる「失われた30年」です。
こうした状況を打破しようとしたのが2013年の「アベノミクス」。
「異次元の緩和」やマイナス金利政策などの導入で、当時問題だった円高が是正されるという成果が出ましたが、その後円安が進むことになります。
さらに「アベノミクス」をモデルに「責任ある積極財政」を掲げる高市総理が誕生すると、円安はさらに加速することになりました。
その高市氏が“憧れ”とする政治家が、イギリスのサッチャー元首相です。
しかし、サッチャー氏が掲げた政策は「積極財政」の逆の「緊縮財政」。
1970年代のイギリスは「英国病」と呼ばれる長い経済停滞に陥っていて、金融引き締めを行い、通貨・ポンド安を立て直す必要があったのです。
サッチャー氏は“鉄の女”と呼ばれ、長期政権を築くことになりました。
通貨安は輸出産業にとってメリットがある一方で、多くの資源を輸入に頼っている日本では、物価高に繋がります。
「エコノミスト」の元編集長、ビル・エモット氏は論説で「高市政権の最優先課題はインフレを抑制し、円高を促すことだ」と指摘しました。
そのうえで「1、2年後も円が今と変わらず過小評価されたままであれば、それは日本の“鉄の女”(=高市総理)がひどくさびついていることを示すことになるだろう」と論評しています。