イラン攻撃この後どうなる?最高指導者ハメネイ師を殺害…アメリカとイスラエルの思惑と今後のポイントを元中東支局長とワシントンDC支局長が解説

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2026-03-02 22:31
イラン攻撃この後どうなる?最高指導者ハメネイ師を殺害…アメリカとイスラエルの思惑と今後のポイントを元中東支局長とワシントンDC支局長が解説

アメリカとイスラエルによる軍事攻撃で、イランの最高指導者ハメネイ師が死亡しました。
イラン攻撃の背景と今後の見通しをJNNの元中東支局長とワシントンDC支局長が解説します。

イランへの攻撃はなぜこのタイミング?

◇元中東支局長 秌場聖治 記者
なぜ攻撃が2月28日になったのか。
これは標的としていたハメネイ師の居場所について確度の高い情報が入ったのがこのタイミングだったからです。
イスラエルやアメリカのインテリジェンスの精度の高さに恐ろしさすら感じます。

イランに対する攻撃としては、2025年6月に、核施設をメインに狙った攻撃がありました。
ただこの攻撃だけではイランの核計画を完全に排除できなかったため、特にイスラエルは、イランに対して改めて攻撃する必要があると考えていました。
またイスラエルにとっては、イランが持つミサイルに対する脅威も排除したい思惑がありました。
というのも、仮にイランから一度に大量の弾道ミサイルを撃ち込まれると、高度な迎撃システムを持つイスラエルであったとしてもミサイルを迎撃しきれないということが6月の攻撃で明らかになりました。そのため、核開発の施設だけでなく、イランの弾道ミサイルの能力を削いでいくことが重要だと考えていました。
イスラエルとしては、イランが防空態勢を立て直す前に早く攻撃したかったということでしょう。

またこれまでイスラエルの周辺には、イランを攻撃すると反撃をするであろう反イスラエルの勢力、例えば、レバノンのヒズボラやガザのハマス、シリアのアサド政権などがありましたが、いまはこれらイランの代理勢力が弱体化、あるいは崩壊しているため、イスラエルにとっては攻撃しやすい状況だったと考えられます。

ハメネイ師を殺害しアメリカとイスラエルの狙いは達成された?

◇元中東支局長 秌場聖治 記者:
イスラエルにとっての狙いは極めて明白で、それはイラン指導部の排除です。
問答無用でハメネイ師を狙いにいっていることからもわかります。
またイランの弾道ミサイル能力を破壊することも重要な目的でした。
これも今回の攻撃の対象を見れば明らかです。

ただ、アメリカについては、その狙いがイスラエルほどクリアカットでない印象があります。

トランプ大統領は攻撃後のビデオ演説で「政権転覆」を示唆していました。しかし、それをなぜ今やるのかということに関してはあまり言及されず、これまでのアメリカとイランの対立の歴史を長々と話すだけでした。これまでのトランプ大統領の発言を見てみても、一方で核の話をしてみたり、イランの反政府デモに参加した人たちに「立ち上がれ」と呼びかけたりするなど、今ひとつ狙いがはっきりとしません。
しかも「体制転換」と言っているのに、「新しい指導部とは話ができる」というように、一見、矛盾するような発言もあります。今はまだトランプ大統領の狙いが見えてきていませんが、今後、数日のうちにはっきりしてくるかもしれません。

トランプ大統領はいまどうしている?

◇ワシントンDC支局長 涌井文晶 記者:
トランプ大統領は1日にはフロリダ州の私邸で日中を過ごし、夜になってホワイトハウスに戻りました。

2日は、動画を公開し、イラン攻撃について声明を出していますが、これ以外にイランに関しての公式な発表は行っていません。ただ幹部との会議などは重ねているものとみられます。

アメリカではイラン攻撃のニュースがずっと伝えられていますが、イランへの攻撃開始後、早くも世論調査が出てきました。
ロイター通信が行ったアメリカ国民に対する世論調査では、イラン攻撃に反対と答えた人が43%で、賛成の27%を大きく上回りました。

また、この調査はアメリカ軍に死者3人が出たと発表される前に行われたもので、この結果を受け、さらにイラン攻撃への反対論が強まることも予想されています。

新しい動きとして、アメリカ時間の2日の朝(日本時間では2日の夜10時頃)から、国防総省でヘグセス国防長官と制服組トップのケイン統合参謀本部議長が記者会見を行うと発表されました。今回の軍事作戦に関する政府の正式な記者会見はこれが初めてになります。

これまで、トランプ大統領は動画の投稿はしていますが、記者会見は行っていません。

この会見を通して、アメリカ側が現時点でイラン側の打撃をどの程度のものと評価しているのか、そしてこの先の出口をどう描いているのか。さらに今後、どの程度の戦力を投入する準備があるのかなどの質問が集まると予想されます。

原油の値上がりなど日本経済への懸念も多くある。今後の注目点は?

◇元中東支局長 秌場聖治 記者:
現時点で、今後どうなるかは分かりません。
ただ、いくつかヒントになることはあります。

一つは、イランの反撃能力がどの程度、残っているのかです。

イスラエルを現地で取材している記者の報告によると、イランの反撃が去年6月と比べて弱く感じたということです。本当にイランの戦闘能力自体が落ちているということであれば、戦争の長さに関係してくる可能性があります。

もう一つは、トランプ大統領は「新しい指導部」とか「3人のいい選択肢がある」などと言っていますが、これはいったい誰を指すのか。

そもそも、新たな最高指導者はまだ選ばれていません。ここ1日~2日で選ばれるというような話もありますが、まだ選出されていないんです。
また、殺害されたハメネイ師の職務を3人で代行することになっていますが、この3人のうちの誰かが、トランプ氏の言う交渉相手、というのも少し考えにくいです。

今後、トランプ大統領が言っている「3人のとても良い選択肢」の顔ぶれがもし分かってくれば、その人たちのキャラクターやこれまでの志向などから、この先の組み立てが、ある程度は見えてくるかもしれません。

イラン国内で今回の攻撃を前向きに捉えている人は?

◇元中東支局長 秌場聖治 記者:
イランは日本のように普通の世論調査ができる国でもないので、データもなく判断はなかなか難しいです。
ただ、これまでの抑圧でハメネイ師、あるいはハメネイ師が代表する現体制に強い反感や恨みを抱えた人がいるのも確かです。

一方、その体制と上手くやって生き延びてきた人たちもいますし、現体制は嫌いだけどアメリカも嫌い、という人たちもいて、さまざまなレイヤーがあります。

ただ一つ忘れたくないのは、この大国間の戦争の中で、小学校に爆弾が落ちて150人が死亡、その多くが児童だと見られることです。民間人は常に犠牲になるのだと、改めて思わされます。

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