【鈴木エイトさん解説】旧統一教会に解散命令…教団の今後は? 清算手続きで“被害者救済”は進むか【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-03-05 13:51

旧統一教会をめぐる問題で大きな動きです。教団に「解散」を命じる決定が出され、財産の「清算」の手続きが始まりました。被害者への返金は進むのでしょうか。

【図を見る】鈴木エイト氏が入手した教団の収支

東京高裁 旧統一教会に「解散命令」

物々しい雰囲気に包まれた、東京高裁。

記者
「判断が下されるまであと1時間ほどありますが、すでにこれだけの報道陣が集まっています」

カメラが一斉に向けられる中、裁判所へと入っていく旧統一教会の関係者たち。

そして、4日午前11時すぎ。東京高裁が出した結論は...

旧統一教会の弁護士 福本修也氏
「結論は『抗告棄却』です」

教団の解散を命じる決定でした。

旧統一教会の弁護士 福本修也氏
「信じられない、こんなことがあっていいのかなと。法治国家じゃないなという感想に尽きる」

――被害者救済に関しては今後どうする?
「被害者補償の手続きはやっているが、清算手続きの方に移行するのでは」

“きっかけ”から4年 教団「歴史に残る汚点」

2022年、安倍晋三元総理が銃撃され、亡くなった事件。これをきっかけに、旧統一教会による高額献金や霊感商法、そして宗教2世などの問題への批判が強まりました。さらには、政治家との“接点”も明らかになりました。

文科省は2023年、教団への解散命令を東京地裁に請求。これに対し地裁は2025年3月、解散を命じる決定を出していました。

旧統一教会 田中富広 会長(当時)
「国家による明らかな、信教の自由への侵害」

教団側はこれを不服として、即時抗告。その後、東京高裁で非公開の審理が行われていました。

地裁の決定後、教団側は返金の要求に対応するための「補償委員会」を設置。元信者らとの間で、約35億円の集団調停が成立していることなどを踏まえ、「被害回復を進めており、解散の必要はない」と主張してきました。

4日、東京高裁は…

東京高裁
「信者らによる不法行為を防止するための実効性のある手段は、解散命令以外に見当たらない」

この決定に、教団側は…

旧統一教会
「今回の司法判断は、新たな政治テロを誘発すると同時に、国際社会における日本の信用を失墜させ、わが国の歴史に残る汚点となるでしょう」

教団の現役2世信者らが集まった会見場でも、解散決定の一報が伝えられると...

現役2世信者
「負けました。不当裁判です」
「私たちは何について、解散だと言われているのか。過去のことを今に引きずられて、決定が出てしまったのか。すごく戸惑っている」

「憤りが多い」被害者への賠償はどうなる

喜びの表情を浮かべたのは、元妻による多額の献金で、長男が自殺に追い込まれたと訴える橋田達夫さん。

教団に被害訴える 橋田達夫さん
「本当に苦しい人々、ひとりひとりの家を回って(お金を)返してほしい。返金、返金、お金を返す以外になにも今は望んでおりません」

両親が信者で、自身も過去に信仰していた元2世信者の男性は「安堵した」と話す一方で…

元2世信者
「果たしてどれだけ救済に使われるお金が(旧)統一教会の中に残されているのか、わからないですよね」

現在、教団側の資産は1100億円を超えるとされていて、その資産が被害者への賠償などにあてられる「清算手続き」が始まりました。

男性は、多くの被害者が救済されるためには、今以上の法整備が必要だと訴えます。

元2世信者
「国に対しては、憤りが多いですね。被害者が救われるような法整備をほとんど協力してくれないというのが、事件以降、今までの印象なので。とにかく(旧)統一教会の資産のほとんどは、違法な勧誘行為による献金なんですよ。そこをしっかりと被害者に返していく法律が必要だと思います」

「地道に救っていく」 求められる政治の「支援」と接点の断絶

政治に求められるのは、被害者救済の支援とともに、今後も教団側との接点を断つことです。

4日、自民党の鈴木幹事長はコメントを発表。

自民党 鈴木俊一 幹事長
「当該団体からの不当な政治的な影響力を受けうる行為等を厳に慎むよう、徹底を図っていく」

そして4日、清算手続きをおこなう「清算人」に選任された伊藤尚弁護士が会見を行いました。

旧統一教会の清算人 伊藤尚 弁護士
「利害関係を持っていた方のどなたの代理人でもないという立場で、中立公正な立場で進めなければいけない」

一方、清算が終了しても、信者やその子どもたちの人生は続いていきます。

元2世信者
「世間の人たちが『統一教会問題は終わったんだ』と言って忘れ去られてしまうと、またこれから社会的に孤立した、誰からも支援を受けることのできない子どもたちがどれだけ苦しんで生きていくか」
「宗教2世問題というものをしっかりと地道に救っていく。サポートする体制、行政というものが出来上がっていく必要があると思う」

旧統一教会の「清算手続き」 全貌と課題

藤森祥平キャスター:
実際に東京高裁に出向かれて、旧統一教会の解散命令の判断をどのように受け止めていますか。

ジャーナリスト 鈴木エイト氏:
旧統一教会への取材を続けて24年、なぜこんな団体が規制を受けないのか、ずっと疑問を抱いていました。

そういった意味で今回、司法が適切な判断を下したことはとても良かったと思います。一方で、もっと早く解決していれば、被害をここまで拡大せず、政治家との関係も是正され、安倍元総理の銃撃事件も起こらなかったと感じています。

上村彩子キャスター:
高裁の判断を受けて、旧統一教会の「清算手続き」が始まります。「清算手続き」とは一体どのようなものなのか。

まず、裁判所が選んだ「清算人」となる弁護士が
▼教団の財産の管理・処分
▼高額献金者への弁済
などを行っていきます。

文部科学省によりますと、被害の全体像は少なくとも▼被害者「約1550人」、▼被害額「約204億円」に上るとされています。

藤森キャスター:
あくまで「少なくとも」とされる全体像です。取材で見えている被害総額はどれほどですか。

ジャーナリスト 鈴木エイト氏:
これより2桁の差があると思います。被害者の数もこれに留まらないと思いますし、これまで教団が韓国に送金していた金額を鑑みると、とてもこの金額に収まらないと考えられます。

藤森キャスター:
被害者を救済するためのお金が、どれだけ教団には残っているのか。

鈴木さんが入手した資料によると、問題が発覚する以前の2021年と比較して、2025年の収入は激減している一方で、支出がほぼ同額の現状です。

ジャーナリスト 鈴木エイト氏:
教団の現状の資産をみると、現預金が非常に減っており、おそらく半分ほどになっています。

一方で不動産は増えています。どういうことかというと、教会の不動産というと「礼拝施設」などがあり、清算手続きの中で「宗教の自由」の観点から処分は最後になります。

今後「清算人」が、この不動産をどのように売却していくか。清算人の膨大な業務かつかなり時間がかかるなかで、注目したいポイントです。

社会全体で注目すべき 旧統一教会の今後

藤森キャスター:
元2世信者は国に対して、被害救済のための法整備がさらに必要であると求めています。

ジャーナリスト 鈴木エイト氏:
約3年3か月前に被害者救済法は成立していますが、なかなか実行力は薄いです。当事者にとって本当に必要な法整備が求められます。

上村キャスター:
解散命令によって、旧統一教会は「宗教法人」ではなくなります。一方で、憲法によって信仰の自由は保障されているので、宗教活動は継続することができます。

ただ、
▼宗教活動の非課税(信者の寄付など)
▼固定資産の非課税(礼拝施設など)
の優遇措置が受けられなくなります。

トラウデン直美さん:
過去にはオウム真理教が解散命令を受けましたが、その後、後継団体が生まれました。

もちろん組織の性質は異なりますが、今後の旧統一教会の動き、さらに社会全体が被害者を生まない構造に変化していくのかが気になります。

また、接点のあった政界との関係が今後どうなるのかも気になります。

ジャーナリスト 鈴木エイト氏:
直近の教団の資料をみると、解散後は各自で任意団体を作って、独自に宗教活動を続けていくとされています。

そのなかで、新たな信者の獲得や献金活動は行っていくとされているので、被害が継続する可能性はあります。

今回の「清算手続き」で、果たして政界との関係まで「清算」されるのか。そこには疑問が生まれる部分です。

教団と関連のあった政治団体は残りますし、そもそも政治家自身はなんら責任が問われていないので、課題は山積されたままだと思います。国政選挙でも未だに個別支援を受けている政治家もいるという情報もあるので、どこまで清算されているのか、まだまだ不透明ですよね。

藤森キャスター:
今後、仮に清算手続きが進んでも、被害者が受けた傷、失ったもの、心理的なダメージが消えることはありません。

あくまで「清算手続き」が始まった、新しいスタートということになりそうです。

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<プロフィール>

鈴木エイト
ジャーナリスト
旧統一教会問題を20年以上追及

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