「国民の命を守らない」東京大空襲から81年 避難した防空壕の中で多くの人が亡くなった理由とは…【news23】

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2026-03-14 15:13
「国民の命を守らない」東京大空襲から81年 避難した防空壕の中で多くの人が亡くなった理由とは…【news23】

東京大空襲から81年。避難場所と思われた防空壕の中で多くの人が亡くなりました。空襲を経験した方や専門家の証言、当時の資料などから明らかにしていきます。

【写真を見る】国の命令で作られた“中にいたら死ぬ”家庭用防空壕

「叫ぶ声がだんだん悲鳴に変わる」経験者が語る空襲時の体験

東京・中央区の常盤小学校。廊下にある扉を開けると地下に続く階段があり、鉄製の重い扉を通り過ぎていくと、80畳ほどの空間が広がっていました。

81年前に使われた防空壕です。

中央区立常盤小学校 浮津健史 校長
「疎開できない30人の子供たちが毎日登校していた。東京大空襲の時には30人の子供たちが避難する場所というふうに使われた」

1945年3月10日の東京大空襲。1600トン以上の焼夷弾で街は炎に包まれました。約10万人の命が奪われました。

「学校の防空壕に避難しろ」

6歳だった西尾静子さんは、父親にそう指示されました。

その後、母と一緒に近くの高校の防空壕に避難。扉が閉まった後のことが忘れられません。

東京大空襲を経験 西尾静子さん(87)
「(防空壕の扉を)大勢の人がドンドンドンドン叩く。『ドアを開けてください。中入れてください』叫ぶ声がだんだん悲鳴に変わる」

空襲が収まり外に出ると、黒こげの遺体が積み重なっていました。

国の命令で作られた“中にいたら死ぬ”家庭用防空壕

福岡市に貴重な防空壕が残されています。

1921年創業の立石ガクブチ店。床下に深さ2mほどの穴が掘られています。コンクリートや木で補強された8畳ほどの「家庭用」防空壕です。

戦争末期、防空壕は一般家庭にも盛んに作られました。国が命じていたのです。

立石ガクブチ店3代目 立石武泰さん(74)
「昭和19年に軍の命令で掘り始めた。9か月ぐらいかかったと言ってた。昼間はずっと掘っていた」

創業者の立石安兵衛さんが、妻と長女と一緒に作ったこの防空壕。しかし、使われることはありませんでした。

1945年6月19日の福岡大空襲では、一家は公園に避難しました。

立石ガクブチ店3代目 立石武泰さん(74)
「東京大空襲、大阪大空襲の噂話が6月までに流れてきた。絶対これは危ないよ。(防空壕の)中にいたら死ぬよと」

「中にいたら死ぬ」。そんな防空壕がなぜ作られたのでしょうか。

蒸し焼き、一酸化炭素中毒…防空壕内で犠牲になる人が全国に相次ぐ

1940年に内務省が出した防空壕の作り方が記された文書には、防空壕は「応急的待避施設」だと書かれていました。

東京大空襲・戦災資料センター 小薗崇明さん
「あくまでも当時の防空壕は、一時避難場所に過ぎなかった。命を守るものとしては作られていない。(空襲の際)防空壕から出てきて市民は火を消さなければいけなかった」

国は戦争を続けるため、国民が空襲で戦意を失わないよう“焼夷弾は簡単に消せる”と盛んに伝え、「防空法」という法律で逃げることを禁じて消火を義務付けました。

防空壕は消火活動をはじめるまで一時的に身を隠す場所に過ぎず、簡易的なものでいいなどと指導しました。

その結果…

東京大空襲・戦災資料センター 小薗崇明さん
「(外に出られず)そのまま蒸し焼きになってしまう。一酸化炭素中毒になってしまう。防空壕がつぶれて生き埋めになって死んでしまうことがある」

東京のほか、富山市や愛知県豊川市など、全国で防空壕の中で市民が犠牲になるケースが相次ぎました。

「安全だと思っていた」国へ怒る経験者の実体験

東京大空襲・戦災資料センターに展示されている防空壕の模型。

当時8歳だった二瓶治代さんの記憶を元に再現したもので、周りを土嚢で囲っただけの簡素なものです。

東京大空襲を経験 二瓶治代さん(89)
「空襲の時はとにかく防空壕に逃げる。そのために作ると言うから、安全だとばかり思っていた」

東京大空襲の夜、二瓶さんは隣の家族と一緒に、この防空壕に入りました。ところがそこに父親がやってきて、「蒸し焼きになるから外に出ろ」と言います。

東京大空襲を経験 二瓶治代さん(89)
「先に入ってた隣のおばさんが私の服を引っ張って『外に出たら焼け死んじゃうよ。だからここにいな』と言って」

二瓶さんは、女性の手を振りほどき外へ。走って逃げて振り返ると、自宅も周りの家も全部燃えていました。

東京大空襲を経験 二瓶治代さん(89)
「近所にとても優しい小児科のお医者様とか獣医さんがあった。八百屋さんとか駄菓子屋さんとか。そういう家がみんなゴーゴーゴーゴーものすごい勢いで燃え上がっていた。

消防士たちはホースで水をかけて、火を消しながら自分の体に火がついていた。ホースを持ったまま生きたまま焼かれて、バタバタバタバタと倒れていた」

空襲後に戻ると、防空壕はつぶれ、隣の家族は中で亡くなっていました。

東京大空襲を経験 二瓶治代さん(89)
「危険だとわかりながら簡単なものをつくらせた。本当に国民の命を守ることをしなかった。命をすごく軽んじた時代だったと。今非常に国に対して怒りを感じます」

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