過去最悪…SNS投資詐欺「1274億円」の被害額 減らない「なりすまし広告」 制度・企業の課題は?【Nスタ解説】
2年ほど前から社会問題となった著名人をかたった「なりすまし広告」。実はその後も被害は減っていません。
【画像を見る】偽のYahoo!も…見分けが困難「なりすまし広告」
事業者や政府の対応が追い付かない中、詐欺広告を「見える化」する新たな取り組みが民間で始まりました。
1か月の被害額200億超 増加する「なりすまし広告」
高柳光希キャスター:
スマートフォンやパソコンに表示される広告の中には、著名人を騙って投資の勧誘などを行う「なりすまし広告」も含まれているということです。実際に「Nスタ」の「なりすまし広告」も確認されています。
警察庁が把握している被害状況では、SNSのDM(ダイレクト・メッセージ)に直接送られてきたり、ウェブサイトやSNSの広告などを経由した被害が確認されているということです。
2024年に「なりすまし広告」が社会問題となった後も続いていて、2025年12月には、被害額が203.6億円(被害件数1321件)に上っています。
TBS報道局 社会部 竹本真菜 記者:
2025年の年間被害額は約1274億円と過去最悪で、対応が急務となっています。
一目で判断が難しい「なりすまし広告」見分け方は?
TBS報道局 社会部 竹本真菜 記者:
実際のなりすまし広告には、普段よく見るニュースサイトに酷似しているなりすまし広告も出てきています。
高柳キャスター:
一見、ニュースサイトと変わらないように見えるものもありますが、どのような部分で見分ければいいのでしょうか。
TBS報道局 社会部 竹本真菜 記者:
なかなか気づくのは難しいと思います。
例えば、画面上部にあるニュースサイトのロゴをクリックすると、本来はニュースサイトのトップページに移動しますが、なりすまし広告の場合は移動しないといった点があげられます。
そうした少しの違和感で見分けることが必要になってきます。
高柳キャスター:
ただ、なりすまし広告であれば、クリックするのもはばかられます。
「URL」も注意して見ると良いかもしれません。Yahoo!のサイトなのにドメインに「yahoo」と入っていないなど、そうした違和感も大事です。
「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
「そんなに美味しい話が転がっているわけはない」という認識、いわば基本的なネットリテラシーを持つことが大事だと思います。
(広告で)美味しい話を持ちかけられたり、推奨されたりすることは“あり得ない”という前提を持って、見ていく必要があるでしょう。
世の中、“絶対に儲かる”はあり得ないと、すべての人が認識しているはずなのですが、こうした広告はその心情をくすぐってくるものですね。
不正広告の取り締まり「利益損なう」との指摘も 制度や企業側の課題
高柳キャスター:
なぜ「なりすまし広告」は、後を絶たないのでしょうか。
「国の制度」として、▼2024年に社会問題となった際には、総務省の検討会が行われましたが、「自主規制」にとどまりました。
また、▼警察庁、総務省、消費者庁、金融庁など、担当省庁が複数に分かれているため、主導権をもつ機関がないということも課題となっています。
一方で、プラットフォーム側の事情はどうなのでしょうか。
TBS報道局 社会部 竹本真菜 記者:
報道機関「ロイター社」は2025年、メタ社(インスタグラムなど運営)の2024年売上の約10%(約2兆5000億円)は、詐欺・禁止商品の広告料なのではないかと報じました。
不正広告を取り締まると、「利益を損なう可能性」があり、対応にためらいがみられるのではないかと指摘しています。
メタ社に取材をすると、詐欺広告への対応を重要課題の一つとしているとして、「去年国内の100万件以上を削除。そのうち92%以上は利用者の報告前に対処した」と明らかにしました。
そして、ロイターの報道は「誤解を招くものであり、事実とは異なる」としています。
高柳キャスター:
ユーザーとしてできることにも限界があるので、プラットフォーム側にも対応が求められますね。
TBS報道局 社会部 竹本真菜 記者:
総務省の検討会にも参加したことがある英知法律事務所・森亮二弁護士は、法規制が必要だと訴えています。
「厳格な本人確認など、対策にはコストがかかる」とした上で、海外の事業者にとって日本はあくまで一つの市場に過ぎないため、『お願いベース』では海外にある本社は動かないのではないかとも指摘します。
台湾は法律制定で“9割減”
高柳キャスター:
台湾では「なりすまし広告」が9割減少した対策がとられたということですね。
TBS報道局 社会部 竹本真菜 記者:
台湾では、2024年に詐欺広告に対する法律を制定しました。
▼広告主の「本人確認」義務
▼“なりすまし”把握から「24時間以内に削除」義務
→違反して被害者が出た場合、賠償責任を負う など
詐欺広告が9割減少するという効果があったそうです。
「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
社会の中には、こうしたことを理解しにくい人もいるため、啓蒙をしたとしても被害は出てしまうと思います。
プラットフォーム側は、「なりすまし広告」からも広告掲載の利益を得ているわけですから、プラットフォーム側に対する責任の要求は強めて欲しいです。
また、行政が「所管がない」と責任を回避することで、社会問題が拡大しているようにも思います。「主導権をとります」と、名乗りを上げるくらいの姿勢がほしいですね。
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<プロフィール>
竹本真菜
TBS報道局社会部 消費者庁担当
複数の投資詐欺を取材
堤伸輔さん
国際情報誌「フォーサイト」元編集長
BS-TBS「報道1930」ニュース解説