“大晦日の風物詩”格闘技イベント「RIZIN」舞台裏に密着!命がけの闘い支えるRIZIN『リングドクター』たち【ニュースキャスター】

2025年12月31日―4万5000人もの観客を熱狂させたのは、日本最大級の格闘技イベント『RIZIN』。激しい攻撃が特徴で、けがが多いラグビーと比べても発生率は30倍とも言われるが…大会設立から10年経つ今も命に関わるけがはゼロ!その背景にはリングドクターたちの存在があった。『RIZIN医療部』を率いるのは、脳神経外科医の諫山和男医師。各病院から集まった格闘技好きの一流医師たちが試合に目を光らせる。その“裏側”に密着取材、ドクターたちの迅速な処置や、『ドクターストップ』の葛藤に迫った。
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2025年12月31日―大会当日、午前9時半。普段別々の病院に勤務する医師が集結。実は皆、ある共通点が。
RIZIN医療部 金成道医師(整形外科)
「プロレスとか格闘技見るのが大好きで」
RIZIN医療部 川口慶医師(整形外科)
「小学校の時、タイガーマスクが倒れているのをリングドクターが助けているのを見て『やりたい職業はこれだ』と」
RIZIN医療部 羽田晋之介医師(整形外科)
「高校生の時から総合格闘技を私自身がやっていて、高校2年の段階でもうリングドクターになる事が夢だった」
諌山医師曰く、総合病院を作れるほどの、各科の部長クラスの医師が集結したチームだそう。
入念なメディカルチェックに担架搬送の事前訓練も!
まずは選手の健康状態を入念にチェック。特に、頭部MRIや血液検査の情報は重要だ。
RIZIN医療部 部長 諌山和男医師(脳神経外科)
「ベテラン選手になると衝撃を受け続けていて脳の変化が起きている事がある。それが損傷、出血等につながりかねない。流血が伴うためB型・C型肝炎や、HIVに感染していないかもチェックしている」
続いてリングサイドへ行くと、格闘技では珍しいという担架搬送の事前訓練も。導線や役割を確認していく。
金医師
「オリンピックとか大きい大会では事前訓練は標準。選手の搬送路を安全に確保して、迅速に運んで診断してすぐ救急搬送する」
羽田医師
「『止血剤』を綿棒につけて止血ができたら『ワセリン』を塗って完了する。ワセリンで最後、糊というかコーティングするような形」
諌山医師
「これから長時間になるが、気を引き締めてがんばりたいと思います。よろしくお願いします」
試合開始!医師たちが見守る中 流血…ドクターストップも
午後1時、ゴングと同時に医師たちの闘いがスタート!
リングのすぐ側で 試合に目を光らせるが…選手はみるみる流血し、各試合はどんどん激しさを増していく。
金医師
「入れ!入れ!入れ!」
レフリーが試合を止めると、すぐさまリング上へ!プロ選手の打撃は、6キロのハンマーが時速約32キロで飛んでくるのと同じ衝撃とも言われ、ダウンは脳へのダメージが懸念される。
羽田医師「ゆっくり ゆっくり」
ベイノア選手「まだできるって… まだできるよ!」
「まだ闘える」という選手の意思は尊重するが、時には『ドクターストップ』の判断を迫られる事がある。
実況「ドクターが入ってきて いまチェックをします」
川口医師「目を開けようとしてみて」
実況「開かないですね…」
アナウンス「ドクターの診断の結果、試合続行は不可能と判断されました」
川口医師
「判断は非常に重たいものではあるが、止めてあげた方がかえって選手生命が長い事もある」
金医師
「(批判など)ネットとかでいろいろ書かれるが、一切見ていないので気にしていない。そんな事を気にしていたらやってられないので」
羽田医師「止血しますよ」
元谷友貴選手「これ(出血)止まります?」
羽田医師「止まります 止まります しっかり止めますから」
「選手本人が『これ(出血)止まりますか』と気にしていたので『大丈夫だよ 止まるよ』と声掛けをした。それでも、試合をストップせざるを得ない事もあるので、そういう場合は『心苦しいな』と思いながらやっている」
ドクター達の冷静な判断あってこそ、格闘技はエンタメになるのだ。
「急げる?もっと急いで!」人気選手・朝倉未来が緊急担架搬送
そして、この日最も注目の試合が、『フェザー級タイトルマッチ』!登場したのは YouTubeやテレビなどマルチな活躍でも人気を誇る朝倉未来選手。
会場のボルテージも最高潮だったが…
実況「ヒザだー!飛んできた 正面から来た!右フックだ!連打だ!連打だ!」
医師たちが見守る中、頭部への激しい打撃が続き…レフリーストップ。
川口医師「大丈夫?分かる?」
羽田医師「行きますよ1・2・3!(担架を)ずらすよ!ロープを上げて!頭側を持って!」
川口医師「急げる?急げる?もっと急いで!」
朦朧とする朝倉選手をドクター総動員で担架搬送!医務室へ…
諌山医師「足曲げてくれる?…OK」
朝倉選手「普通に気持ち悪い」
諌山医師「気持ち悪い?」
朝倉選手「眠い」
諌山医師「眠いね、ちょっと血圧とか測らせてね」
そしてドクターたちは大事をとり、病院への緊急搬送という判断を下した。
その後、目のくぼみの骨折・眼窩底骨折と判明するも、大事には至らなかったそうだ。
8時間の奮闘…「この人たちがいるから『全力で闘える』」
こうしたメディカルチェックは試合後すぐ、勝敗・けがの有無を問わず全選手に行い、僅かな異変も見逃さない。
RIZIN医療部 尾原裕康医師(脳神経外科)
「頭部外傷とか眼球の損傷があった時に(ライトを当てると)目の反応が遅れる事があるので、そういうのを確認している」
拳の痛みを気にする選手がいれば、その場でエコー検査を行う。
扇久保博正選手
「もう、その場で診てもらえるので。けがしてもこの人たちがいるから『全力で闘えるな!』みたいな」
篠塚辰樹選手
「ドクターたちは格闘技に詳しいので、パンチの打ち方とか『こういう動きはよくない』と教えてくれる」
秋元強真選手
「僕たちファイターは『死んでもいい』という気持ちでいるが(ドクターたちのおかげで)死ぬ確率の方が低いし、守ってもらっているなという感じ」
選手の怪我や処置したデータは10年分を詳細に記録。羽田医師らはこれを論文発表し、迅速な治療の知見を一般医療にも活かそうとしている。
こうしてドクター達の8時間に及ぶ奮闘は終了。
諌山医師
「非常に厳しい試合もあった。ただ対応としては今後の選手の健康に関してサポートできたかなと。まずは“選手人生”ありきで、その助けをできるのが我々のひとつの意義がある所かなと思う」