「猫も人も救いたい…」猫の死因トップ “腎臓病"の新たな治療薬 農水省へ承認申請「単に寿命を延ばすのではなく元気で長生きできるように」開発者が“徹夜”で急いだ理由とは

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-04-27 06:05
「猫も人も救いたい…」猫の死因トップ “腎臓病"の新たな治療薬 農水省へ承認申請「単に寿命を延ばすのではなく元気で長生きできるように」開発者が“徹夜”で急いだ理由とは

猫の死因トップ「腎臓病」 新たな治療薬の承認申請

日本で飼われている猫は、およそ885万匹、全世帯の約8.4%で飼育されている計算です(*1)。その猫の平均寿命は16歳、死因で最も多いものは、慢性腎臓病を含む「腎尿路泌尿器系疾患」とされています(*2)。

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今月24日、この猫の慢性腎臓病を対象とした治療薬について、農林水産省へ製造販売の承認申請が行われました。

*1 一般社団法人ペットフード協会調べ(2025年)
*2 一般社団法人TEAM HOPE調べ

「大学入試以来、徹夜で必死に…」 開発者が急いだ理由とは?

薬の開発を手がけたのは、一般社団法人AIM医学研究所の宮﨑徹所長らのグループです。承認申請に向けた臨床試験(治験)は、全国の獣医師や飼い主の協力を得て実施されたといいます。

宮﨑徹 所長
「飼い主さんも獣医の先生も、みな非常に意識が高く、熱意にあふれていて驚きました」

基礎研究や治験にとどまらず、申請書の作成に至るまでグループを率いてきた宮﨑所長。承認申請に向けた作業を「大学入試以来というくらい必死に取り組み、徹夜に近い状況も続いた」といいます。

その背景には、開発者としての強い使命感がありました。

宮﨑徹 所長
「一日も早く承認申請することが最優先でした。仮に私たちの作業で申請が1か月遅れると、その間に何匹もの猫の命が失われてしまう。一日も早く多くの飼い主さんに選んでもらえる状況に近づけるのが至上命題だと思っていました」

単なる延命ではなく「元気で長生きできるように…」

慢性の腎臓病が進行して末期の「尿毒症」に至ると、ヒトであれば透析が行われます。猫の医療でも急性腎不全などで透析は行われますが、慢性腎不全では回復は難しく、半年から1年ほど苦しむ姿を見守るしかないのが実態です。

これは猫にとっても、飼い主にとっても精神的・肉体的に非常に大きな負担となっています。

宮﨑徹 所長
「重要なのは、単に猫の寿命を延ばすのではなく、元気で長生きできるようにすることです。少なくとも、末期腎不全による苦しい状況を避けられれば、猫にとっても飼い主にとっても負担は大きく軽減されます」

ネコの腎臓病 新たな治療薬 今後の審査の行方は?

今回、承認申請が出されたのは、進行した慢性腎臓病のネコの尿毒症発症を抑制し、生存期間を延長させることを目的に開発されたAIM注射薬で、今後、農林水産省によって審査されます。

動物用医薬品としての品質や有効性、著しく有害な副作用がないかなどの安全性が厳格に確認されます。国の定める審査期間は12か月とされていますが、申請者とのやり取り等にかかる時間は含まれないため、実際には承認まで1年以上の期間を要することがあります。

現場の獣医師「新しい治療方法へのアクセスのしやすさがポイントに」

『腎臓病の新しい薬はいつから使えますか?』
都内の動物専門学校で講師を務め、オンラインで全国の飼い主からの健康相談に8年以上取り組んでいる獣医師の中道瑞葉さんは「現場レベルでの期待感は高くなっている」と言います。

ただ、新しい治療が広がるには現実的なハードルがあることも指摘します。飲み薬であれば飼い主が自宅で与えやすいものの、注射(特に静脈注射など)となると飼い主が家で行うのは難しく、また慢性腎不全は経過が長くなりやすいため、かなりの回数の通院が必要になる可能性があります。

中道瑞葉 獣医師
「画期的な薬ができても、通院や費用の壁で治療を受けられない場合、『お金があれば助けられたのに』と、飼い主さんに新たな悲しみを生んでしまう側面も考えられます」

注射薬自体の価格や投与を受ける頻度、通院にかかる負担など、新しい治療方法へのアクセスのしやすさがポイントになると指摘しています。

「すべての猫がアクセスできるように」「そして猫も人も救いたい」

宮﨑所長らのグループは、猫用の治療薬だけでなく、同時に進めていたヒトに対する治療薬の開発も最終段階に入っていて、早期の治験開始を目指しているといいます。

宮﨑徹 所長
「人も猫も救いたい」

猫の死因トップである腎臓・泌尿器疾患に対し、新たな治療の選択肢となるのか。

使うだけで寿命が数倍になる「魔法の薬」と受け止めるのではなく、いまある治療法との組み合わせや日頃からのケアを充実させるなど、冷静な視点を保つことも重要です。今後の国による審査の行方が注目されます。

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