「食い違う説明」と「責任の所在」…磐越道バス事故 バス会社・学校側の両者の会見からみえること【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-05-11 21:53

福島県の磐越道で、マイクロバスがガードレールに衝突し、高校生ら21人が死傷した事故。バス会社・学校側
それぞれの会見から見えてきた「食い違っている説明」。そして「責任の所在」はどこにあるのでしょうか。

【画像で見る】磐越道事故の5日前にも事故…事故繰り返していたか

食い違う説明… 会見で新たにわかったことも

井上貴博キャスター:
バス会社と学校側で説明の食い違いがいくつかありますが、まずはバスや運転手の手配の経緯について見ていきます。

▼バス
蒲原鉄道:高校側から貸切バスではなくレンタカーを使いたいと依頼された(6日の会見)
北越高校:レンタカーを手配してほしいと依頼した事実はない(7日・10日の会見)

▼運転手
蒲原鉄道:運転手も紹介してほしいと依頼された(6日の会見)
北越高校:運転手の紹介を依頼した事実はない(7日・10日の会見)

10日夜に行われた2回目の高校側の会見で、新たにわかったこともあります。

請求書が「貸し切りバス」と書かれたものと、「レンタカー代」「人件費」と書かれたもの、それぞれ2種類あったということです。

ただ、男子ソフトテニス部の寺尾宏治顧問は「総額を確認するだけで、項目については確認せず支払いの担当者へ渡していた」と説明しています。

「金額から見て“白バス行為”に該当する可能性高い」

井上キャスター:
2025年度は合計12回、同じバス会社に依頼をしていて、今回のようにレンタカーのマイクロバスを利用したこともあったといいます。

【内訳】
▼貸し切りバス:5回
▼レンタカーのマイクロバス:3回(会社側が運転)
▼レンタカーのワゴン:4回(学校側が運転)

また費用・支払いについても、バス会社と高校では説明が食い違っています。

▼費用
蒲原鉄道:「できるだけ安くしてほしい」と依頼された(6日の会見)
北越高校:「安くして」との依頼は事実ではない(7日・10日の会見)

▼支払い
蒲原鉄道:バス手配の手数料はもらっていない。運転手に対する報酬は学校側が支払う(6日の会見)
北越高校:後日「蒲原鉄道」に支払う予定(10日の会見)

10日の学校側の会見では、蒲原鉄道の担当者が運転手に渡したとみられる手当の封筒が見つかったことも明かされました。

表書きには「手当」「高速カードにて」「ガソリン」とあり、宛名が「運転手の名字」様、中には3万3000円が入っていたといいます。

これについて元大阪地検検事の亀井正貴弁護士は、「金額から見て事実上の『報酬』であり、“白バス行為”に該当する可能性が高い」としています。

ウルヴェさんはこの事故の報道に対して、どのようなことを感じていますか?

スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
まず、事故が起きてしまったのは事実なので、そのことに対する原因究明をやっていると思います。

原因究明の理由は「今後そういったことが無いように何が良くなかったのか」ということを検証しているわけです。そのことが分かっても、大事なのは「なぜそうなってしまったのか」「そうならざるを得なかったのか」です。

事故を起こしてしまった運転手本人は、なぜその状態だったのかとか。あるいは、バス会社側・学校側の色々な話を聞いていても、事故としての法的な事だけではなく、その周辺で「なぜそうなってしまったのか」ということは、これからだと思うので、そこはしっかり見ていかなければいけない事だと思います。

出水麻衣キャスター:
主張の食い違いというのが、不思議で憤りを覚えます。

片や、バスに乗っていた生徒や高校に所属している生徒たちは友人が一人亡くなっている。それで大人たちが、ある種、虚偽の発言をしているかもしれないという状況をどのような思いで見てるか。思いをはせると苦しくなります。

井上キャスター:
構造的な問題がきっとあって、「こうならざるを得なかった」というものがあるのだとすると、その部分を直さないと、また他で起きてしまうのではないでしょうか。

法的責任の行方…部活動の送迎ガイドラインは

井上キャスター:
バス会社や学校はどのような法的責任を問われる可能性があるのでしょうか。

亀井弁護士によると、バス会社が運転手に依頼していた場合、バス会社は運転手とともに「道路運送法違反= “白バス”行為」にあたるとみなされる可能性があるといいます。

また会見での説明から可能性としては低いものの、バス会社が運転手を学校に紹介し、学校側が運転手を指名していた場合、バス会社は「“白バス”行為のほう助」を行ったとみなされる可能性があるということです。

一方、学校側の法的責任はというと、学校はバス利用者のため罪に問われる可能性は低いといいます。ただ民事裁判で「安全配慮義務違反」が認められると、損害賠償責任を負う可能性はあります。

では、今後どうすれば良いのでしょうか。

部活動の送迎について、日本部活動学会の神谷拓副会長は「全国共通のガイドラインはない。各自治体のルールに従う必要がある」としています。

新潟県のルールを確認すると…

▼県立高校
原則として公共交通機関・貸し切りバス
やむを得ない場合、学校に届け出をした学校自動車

▼私立高校
県のガイドラインなし、学校に一任

こうなってくると、学校の教員が疲弊している中で、部活動・遠征のあり方をどうしていくか。ここも根本的に考えないといけないのではないでしょうか。

田中ウルヴェ京さん:
人的資源が少なくなってきている中で、どのようなシステムを作っていくか、というときにはリスクが起きてしまった後にどうするかをしっかりと考える。
安全はとても大事です。しかし、「もし万が一、何か起きてしまったらどうするか」という予後の対策もしっかりしているというのが、安全の一つだと思います。

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<プロフィール>
田中ウルヴェ京さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト 心理コンサルティング
こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰

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