米中首脳会談「親密」アピール 焦点はイラン情勢・台湾問題、経済・貿易 双方の狙いは?【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-05-14 22:33

アメリカのトランプ大統領と中国の習近平国家主席が、北京で首脳会談を行いました。世界が注目した首脳会談で両首脳は、互いに「親密さ」をアピールしました。

【写真を見る】子どもたちに歓迎されるトランプ大統領 満面の笑みで手を叩く姿も…

予定よりも45分オーバーの「米中首脳会談」

井上貴博キャスター:
トランプ大統領が中国を訪問するのは9年ぶりで、習近平国家主席との会談は7回目になります。

今回の米中首脳会談は、予定より45分オーバーの2時間15分にわたって行われました。

その後は、友好関係を世界にアピールする天壇公園視察、晩さん会などの予定が組まれています。

【トランプ大統領の訪中日程】
▼14日午前11時すぎ:歓迎式典 
▼14日午前11時半頃:米中首脳会談(2時間15分 予定を45分オーバー) 
▼14日午後2時すぎ:天壇公園視察 
▼14日夜:晩さん会 
▼15日:ワーキングランチ・帰国へ

首脳会談が予定よりも45分オーバーすることはよくあることなのか。また、今回の会談を中国側がどのように受け止めているのでしょうか?

JNN北京支局 立山芽以子 支局長:
「45分オーバー」というのはよくあることで驚くことではないです。アメリカと中国は話すことがたくさんあるのだと思います。

詳細は明らかになっていませんが、テーマも多岐に渡りますし、相当深い議論が行われたのではないでしょうか。

井上キャスター:
深い議論というのは、どこまでを想像しますか。

上智大学 前嶋和弘 教授:
どこまで最初からケンカ腰で出ているのかだと思います。訪中は2日間あるので、まずは大きなテーマを上げて、日程中に首脳2人で話して少しずつまとめながらですね。文書がいつ出るのか、今の状況がどうなっているのか、そろそろわかるかもしれないです。

井上キャスター:
文書が出てくるか出てこないかは、現状わかっていないのでしょうか?

上智大学 前嶋和弘 教授:
今回もそうなるかは分からないのですが、(過去には)とりあえずの文書を出すも両国で内容が異なっていることもあります。特に米中の場合には思惑があるので、文書は出ない可能性もありますね。

焦点はイラン情勢・台湾問題 日本の懸念は…

井上キャスター:
米中の思惑は、主に3つあると言われています。

▼イラン情勢
▼台湾めぐる問題
▼貿易・経済

「イラン情勢」について、トランプ大統領は中国側の協力は「必要ない」と話す一方で、ルビオ国務長官はホルムズ海峡の安定化は「中国にとって利益になる」と話しており、中国のイランへの働きかけに期待する発言をしていました。

一方、中国側としては、イランへの働きかけによって、台湾問題における対米交渉の切り札に利用するのではないかといわれています。

「台湾をめぐる問題」については、2025年12月、アメリカとしては台湾に総額111億ドル規模の武器の売却を承認しています。中国としては面白くありません。

習近平国家主席は「台湾問題は中米関係における最も重要な問題であり、これが適切に処理されれば、両国関係は全体的な安定を維持できる」としています(14日・人民日報)。

2027年には5年に一度の党大会を迎えます。権力維持の面でも、習近平国家主席にとって「台湾問題」は非常に重要かと思います。

北京支局 立山芽以子 支局長:
今回の中国側の立場を一言で言えば「台湾、そして安定」です。台湾問題は国内向けのアピールという面が大きいと思います。先ほど首脳会談が始まってから、最初に中国外務省が発表したのは台湾の部分でした。それだけ「きちんとアメリカに対して言った」ということを強調したかったのだと思います。

そして、2027年は中国共産党にとって大切な党大会があります。習近平国家主席の続投がほぼ決まっていますが、安定的にこの体制を継続するために、自分はアメリカとはうまくやっており、自分だからこそアメリカとは対等な関係なんだということを国内に向けてアピールしたいのです。

そのためにも今回の会談は非常に重要なのではないかと思います。

井上キャスター:
中国としては、イラン情勢について話したいのか否かはどう考えますか?

北京支局 立山芽以子 支局長:
イランに対する攻撃が始まって以来、中国は少し引いた立場です。一般論として「戦争は良くない」「イランの主権、ホルムズ海峡の安定的な航行は大事」としていますが、具体的に何かイランに圧力をかけているわけではなく、一方で、トランプ大統領の行動を激しく批判するわけでもない。

つまり、どっちつかずで中立的な立場を貫いています。したがって、イラン情勢にはあまり関わりたくなく、いまは高みの見物といった立場がちょうどいいのではないかと考えていると思います。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
台湾問題は各国の対立がクリアに出ます。日本としては、イラン情勢や、アメリカの大豆を中国が購入するなど、(中国が)アメリカに恩を売ることで、アメリカが台湾問題で譲歩することにならないかを懸念しています。

現状、トランプ大統領からアメリカが譲歩したという発言はなさそうなので、とりあえずは安堵しています。しかし、2026年11月に習近平氏が訪米するので、なかなか安心できません。

高市総理としては、台湾有事発言から半年が経ち、日中関係が非常に悪いので、自分から状況の打開に動けないのが非常に苦しいところです。

井上キャスター:
日中関係がうまくいかない中で、アメリカと中国が親密になってしまうと、日本としては置いてきぼりを食らうと。

星浩さん:
“頭越し外交”を日本は一番警戒しているところだと思います。

経済面でもアピールか アメリカから企業のトップたちが同行

井上キャスター:
アメリカ企業のトップ十数人が同行したという動きも注目されています。経済面での成果を国内にアピールしたいのだと思います。

テック系
・テスラなど イーロンマスクCEO
・アップル クックCEO 
・メタ マコーミック社長兼副会長 
・エヌビディア フアンCEO 
金融
ゴールドマン・サックスなど
航空

トランプ大統領は「中国を『開放』するよう要請するつもりだ」と、SNSに投稿しています。

トランプ大統領としては、11月に中間選挙を控えているため、国内向けのアピールも躍起になっているのでしょうか。

上智大学 前嶋和弘 教授:
経済的なところが一番わかりやすいです。アメリカはさまざまなものを中国に売り込むことで、中国側を揺さぶりながら、米中関係が深くなって、「こんなに両国がビジネスで儲かっているんだ」「俺(トランプ)がこれだけ勝ち取ったんだ」と支持者に言えるわけで、そこがポイントだと思います。

井上キャスター:
中国側も少し開放したということであれば、習近平国家主席の国内向けのアピールにもなると取れるのでしょうか?

北京支局 立山芽以子 支局長:
今回アメリカから大規模な経済団が同行していますが、中国も決して景気が良いわけではありません。そのため、アメリカからの投資は歓迎したいわけです。

今回、首脳会談の際に、アメリカからの経済代表団と習近平国家主席が会談しました。このことからも非常に大切にしていることがわかると思います。

==========
<プロフィール>
立山芽以子
JNN北京支局長
ポッドキャスト「北京発!中国取材の現場から」配信中 中国・北京

前嶋和弘さん
上智大学教授 専門は現代アメリカ政治
中でも「メディア」「選挙」「連邦議会」の関係を研究

星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年

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