【獣医師執筆】犬の糖尿病について|注意したい症状、検査から治療方法まで解説

2026-06-05 20:09

糖尿病は人間と同じで進行すると死に至る危険性のある怖い病気です。しかし、早期発見をして、治療や生活の見直しを行うことで、愛犬の体への負担を軽減することができます。飼い主さんは日常生活でどのようなことを気にする必要があるのでしょうか。

犬の糖尿病…どんな症状が見られる?

食器から水を飲んでいる犬

犬の糖尿病は膵臓から分泌されるインスリンが関与していて、正常な糖代謝が行われなくなる疾患です。

正常な糖代謝が行われない代わりに、脂質を代謝してエネルギーにしようとしますが、代謝産物であるケトンが血中に過剰に蓄積することにより体に大きく負担をかけます。

具体的に以下のような症状が見られます。

体重の減少

エネルギーがうまく代謝できないことにより、ご飯を充分に食べているのに、体重減少が見られる場合があります。

悪性腫瘍や栄養吸収不良など他にも体重減少が見られる疾患があるため、鑑別が必要です。

犬の場合、インスリンが作られなくなる1型糖尿病と呼ばれる分類の糖尿病になることが多く、肥満などの生活習慣が関係する2型糖尿病は少ないとされています。

そのため、どんな子であっても糖尿病になる可能性は考えられます。

多飲多尿

よく水を飲み、たくさんの尿を排出することを多飲多尿といいます。

糖尿病になると、血液中にたくさんの糖が蓄積し、尿中に排出されます。

腎臓の機能によって、ともにたくさんの水分を排出しようとするため尿量が増え、その分たくさんの水を飲むようになります。

他にも腎臓の問題やクッシング症候群なども同じように多飲多尿が見られるため、鑑別が必要です。

食欲の増加

糖がうまく代謝できないことにより、体は飢餓状態と錯覚します。

また、常に高血糖が維持されるために、満腹中枢などに変化が見られ、食欲の増加へとつながります。

他にもクッシング症候群やステロイド投与時などは食欲の増加が見られる場合があるため、全身状態や投薬状況などと併せて関係性を判断する必要があります。

元気消失

糖尿病により糖で代謝が行えないため、代わりに脂質を代謝してエネルギーにしようとします。

その結果ケトンと呼ばれる代謝の産物が血中に蓄積されることによりケトアシドーシスと呼ばれる血液が酸性に傾く状態に陥ります。

その結果食欲不振や元気消失などの症状が見られ、悪化するとぐったりして致命的な問題につながる可能性が高くなるため注意が必要です。

どんな検査で確定する?

獣医師に体を支えられながら首を傾げる犬

糖尿病である可能性が疑われる場合、検査により糖尿病であることを確定する必要があります。

そのうえで治療に進みます。

では、どんな検査を行うのでしょうか。

血液検査

糖尿病の検査として一般的なものは血液検査です。

血液検査により、血糖値の測定や、数週間程度の長期の血糖値の平均とされるフルクトサミンなどを測定することで高値が見られた場合は糖尿病と判断することが一般的です。

一般的な血糖値の場合、測定時の高血糖であることは判明しますが、ストレスなどの病気ではない要因で高血糖になっている可能性も考えられるため、判別のために長期的な期間の平均値であるフルクトサミンを測定します。

尿検査

糖尿病の場合、尿中にも糖が検出されます。

尿糖と呼ばれ、尿糖の有無を確認するために、血液検査と併せて尿検査を行います。

画像診断

腎臓、肝臓、すい臓など、糖代謝に関連する器官や同じような症状が見られる疾患との判別を行います。

超音波検査や、レントゲン検査を行うことが一般的です。

これらの画像検査は麻酔などの体に負担のかかるような処置は不要のものであるため、体も負担をかけずに行うことが可能です。

必要な治療

インスリン注射を行っている犬のイメージ

糖尿病であることがわかったら、致命的な問題であるケトアシドーシスに陥ることのないよう、治療を行う必要があります。

あくまでも、健康的な糖代謝を行い、血糖値を正常に保つことが治療の目的です。

以下のような治療を行います。

インスリン注射

最も糖代謝に必要なインスリンを注射で投与します。

インスリンの効果が持続する期間によっていくつかのタイプが存在します。

血糖値を定期的に測定して、血糖値の推移をグラフ化したうえで、一定に保つことができるようなインスリン投与量や投与するタイミングを計画します。

血糖値は食後に上昇する傾向があるため、ご飯を与える時間なども注射の時間に合わせて決定します。

獣医師からの指示通りに投与や給餌を行いましょう。

糖尿病用の療法食

摂食することで血糖値は上昇します。

糖尿病になると、血糖値の上昇する程度もコントロールする必要があります。

インスリンの投与と併せて、血糖値の上がりにくい糖尿病用の療法食に切り替えることが一般的です。

肥満になることは糖尿病の悪化につながりやすくなるため、太りにくいようエネルギーがコントロールされていることも特徴的です。

決められたフードを決められた量だけ与えるよう心がけましょう。

まとめ

真剣な表情で正面を見つめる犬

糖尿病は死に至る危険性のある怖い病気です。

愛犬の見せる変化に気づかずにいると、代謝の変化によっておこるケトアシドーシスと呼ばれる状態に陥り、緊急に治療が必要になるような致命的な問題になり得ます。

また、糖尿病であることが発覚して治療をしていても、安定してくると投薬を怠ってしまったり、かかりつけの先生からの指示に反して指定されているごはん以外のものを食べてしまうなどの生活変化があると、糖尿病の再発や悪化をする場合もあるでしょう。

定期的なモニタリングをしながら、治療を継続していくことが大切です。

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