戦没者に1分半を超え黙とう 両陛下の思いとは…オランダ公式訪問で向き合い続ける「戦争の歴史」【news23】

オランダを公式訪問されている天皇皇后両陛下が、第二次世界大戦の「戦没者記念碑」に1分半を超える長い時間、黙とうを捧げられました。そこに込められた思いとは。
【写真を見る】両陛下と国王夫妻が一緒にW杯テレビ観戦 オランダ王室提供の写真
即位後初めてのオランダ訪問 歓迎式典に臨まれる
オランダの首都・アムステルダムの中心地にあるダム広場。
記者
「国賓の歓迎行事が始まるということで、広場には両国の国旗が掲げられています。両陛下や国王夫妻を一目見ようと、多くのオランダ国民も集まってきています」
天皇皇后両陛下は、オランダの国王夫妻とともに歓迎式典に臨まれました。広場では日本の国歌が演奏され、その後両陛下は儀仗隊の栄誉礼を受けられました。
また、日本人学校の子供たちと交流される場面も。
日本人学校 児童
「『学校は楽しいですか』って言われて、『はい』って言いました」
――どんな気持ちでしたか?
「嬉しかったし、ちょっとドキドキしました」
その後、両陛下はゆっくりと戦没者記念碑の前へ。先の大戦で亡くなったオランダ国民らを悼む碑です。
忘れてはいけない歴史 上皇ご夫妻から両陛下に受け継がれる祈り
即位後、初めてオランダを訪問されている両陛下。
日本時間の6月15日早朝には、2対2の引き分けで終わったサッカーの日本対オランダ戦がありました。
両陛下と国王夫妻が一緒にテレビ観戦されるなど、皇室とオランダ王室の親密な交流は長年続いています。
しかし、両国には忘れてはいけない歴史があります。
戦時中、日本軍はオランダの植民地だったインドネシアを占領。オランダ兵だけでなく、その家族や一般の住民も含め10万人以上の外国人を強制収容しました。
日本軍に強制収容された トン・ステファンさん(92)
「収容者は棒で殴られました。与えられる食事はごくわずかです」
収容所では日本の天皇を敬うように強制されたといいます。
トン・ステファンさん
「日本兵・日本国旗を見るたびに、お辞儀をしなければなりません。日の丸は“天皇の象徴”だったからです」
こうした歴史は、オランダ国民に強い悲しみと怒りを刻みつけました。
オランダ国民が見守る中、戦没者に“1分半”の黙とう
戦後(1971年)、昭和天皇がオランダを訪問した際には、激しい抗議活動、強い反日感情が渦巻いていました。
当時の記者
「(昭和天皇の)車にビンが投げつけられ、フロントガラスにひびが入るという事態が生じました」
平成の時代に入っても…
群衆
「GO HOME!GO HOME!」
今の上皇ご夫妻が2000年に訪問された際も、激しいデモは避けられませんでした。
そんな中、上皇ご夫妻は約1分間の長い黙とう。身じろぎ一つされず、頭を下げ続けられました。
両国の皇室と王室は互いに訪問を重ね、少しずつ良好な関係を築いていったのです。
そして、日本時間の6月17日午後6時半ごろ、両陛下は戦没者記念碑が建つ広場へと足を運ばれました。2000年に今の上皇ご夫妻が黙とうを捧げられた場所です。
即位後初めて碑の前に立たれた両陛下。花を手向けた後、黙とう。多くのオランダ国民が見守る中、1分30秒を超えて頭を下げられました。
式典を見に来たオランダ国民
「両国はすでに素晴らしい友好関係があると思うが、それがさらに強くなることを願っている」
母が収容所に オランダ国民
「陛下の行動に勇気を感じるが、私たちに何かお言葉が欲しい。そうすれば母に伝えることができる」
「苦難の歴史を忘れない」1分35秒の黙とうに込められた思い
小川彩佳キャスター:
1分半という黙とうが捧げられたということですが、どんな思いが込められていたのでしょうか。現場ではどのように見ていましたか?
宮内庁担当 岩永優樹 記者:
私は驚きをもって見ていました。
まず現場ですが、日本の国賓行事というと皇居の敷地の中で行われることが多いです。一方、こちらはオープンな場所で、大勢のオランダ国民が様子を見守っていました。
歓迎式典がこの広場で行われ、それが終わり、一度流れが切れて、その後行われたのが黙とうでした。
黙とうで広場の雰囲気がガラッと変わったような印象があります。
1分35秒の黙とうは、私たち同行記者にとっても驚きでした。
陛下が出発前に「苦難の歴史を忘れない」と述べられていましたが、平和への祈り、思いをまさに目の前で感じました。公式訪問の印象的な場面だったと思います。
その後、オランダ人遺族の方に話を聞きましたが、「過去は忘れない。そのうえで未来に向かっていくんだという強い決意を感じた」と話していました。
この後は国王夫妻が主催する晩餐会が王宮であり、そこで陛下がスピーチされることも決まっています。
両国のポジティブな面だけではなく、過去についてどのようにスピーチされるのか注目しています。
“戦争の歴史”どう向き合う 皇室外交の重要性
小川キャスター:
国際情勢が非常に不安定で流動的ななかで、心を込めて向き合われ、そして脈々と繋がれる皇室外交の重要性は、かつてないほど増しているように感じます。
トラウデン直美さん:
本当に平和がいかに尊いものなのかということを、毎回改めて感じます。
私のドイツの祖父母が戦後オランダに行ったときに、激しい言葉で罵られたという話を聞いていて、やはり戦争が人々に植え付ける傷は本当に消えないものですし、それが残す禍根は本当に大きいものだと思います。
だからこそ、皇室の方々がこうして地道に信頼を作ってくださって、平和を願う姿が、いかに意義深いものなのかということを改めて感じます。
私たち自身も、どんな歴史があったのか、その上で今こういった友好関係があることに改めて感謝と尊さを感じて、一人ひとりがそれを守っていこうと感じ続けることが大事なのかなと思いました。
小川キャスター:
学ぶ姿勢を持たなければならないですね。
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<プロフィール>
トラウデン直美
SDGsなどの社会課題に関心
特技は乗馬 初級馬術指導者の資格も