牛・豚に続き“家計の味方”鶏肉まで…あらゆる肉が高騰 背景の一つに「節約行動」で需要増?【Nスタ解説】
食卓に欠かせないお肉。牛肉や『家計の頼みの綱』として人気の鶏肉も過去最高値となっています。
値段が上がる背景の一つには、私たちの節約行動もありました。
一番安いはずの鶏肉までなぜ値上がり?背景にある「代替需要」とは
南波雅俊キャスター:
精肉売場を訪れ、以前より高くなったと感じる方もいるのではないでしょうか。農水省の調査によると牛肉・豚肉・鶏肉の価格が上がっています。
▼牛肉(輸入)100gあたり
2022年6月:327円
2026年6月:435円(108円UP 最高値)
アメリカで数年前に干ばつがあり、エサとなる牧草の取れる量が減り、飼育頭数も減少したという背景があります。
▼豚肉(国産)100gあたり
2022年6月:260円
2026年6月:283円(23円UP あと3円で最高値)
豚肉に関しては、猛暑が続いていることで国内の生産が下がっています。海外では、アフリカ豚熱が流行していることで輸入量の減少や輸入停止が相次いでいるという背景があります。
▼鶏肉(国産)100gあたり
2022年6月:127円
2026年6月:155円(28円UP 最高値)
鶏肉の値上がりに関しては、どのような理由が考えられるのでしょうか?
TBS報道局 経済部 和泉砂絵 記者:
鶏肉は、私たちの行動が影響しています。
例えば、スーパーで「牛肉は高いから豚肉にしよう」と思っても、その豚肉すら高く感じ、結局一番安い鶏肉を選ぶ。このような消費の動きを「代替需要」と呼びます。
要するに、現在の円安や物価高が進むなかで、できるだけ安いものへと需要が集まった結果、鶏肉の人気が高くなっていく。それによって、鶏肉の需要が高くなり、鶏肉の価格が上がるという構造になりつつあります。
ウクライナ情勢も影響?世界中で起きている“鶏肉の取り合い”
南波キャスター:
鶏肉人気の高まりや、代替需要の高まりだけが値上がりの原因なんでしょうか?
和泉記者:
鶏肉の価格高騰の原因は、鶏肉需要の増加だけではなく、「消費者側」と「販売・生産側」の2つの要因があります。
消費者側は、「代替消費」により牛よりできるだけ安い鶏を選び、需要が高まっています。
一方で販売・生産側は、円安で輸入価格が上昇し、海外産の鶏肉が高くなっています。さらに、世界中で鶏肉の需要が高まっているので、“取り合い”状態になっています。
世界中で鶏肉の需要が高まっている理由について、専門家によると、ウクライナ情勢の悪化で穀物の価格が上昇し、牛や豚の飼料の価格が上がりました。
それにより、「できるだけ安い鶏肉を買おう」という動きが世界中で高まり、今も需要が高い状況が続いていることから、価格が高くなっているということなんです。
中東情勢で家計負担が年間「2万~3万円」増か
南波キャスター:
中東情勢に関しても、私たちの家計に影響を及ぼすのではないかという試算が出ています。
みずほ総合研究所(みずほ銀行内の組織)の酒井才介主席エコノミストの試算によると、食料品だけで、2025年と同じように生活した場合でも、年間で約2万円~3万円程度の負担が増えてしまうといいます。
その中で、肉類だけでも年間2500円~3500円の負担が増えてしまうということです。
和泉記者:
実際に影響が出始めるのが夏~秋ごろで、飼料や電力が値上がりしていきます。飼料については、7月~9月期は1トンあたり約3700円値上がりすることが決まりました。こういったところから肉類などが値上がりしていきます。
さらに、秋ごろ~2027年にかけては、作物を作るための肥料が高くなる見通しです。肥料は中東などで作られる天然ガスが由来なので、それが高くなることで、エサ用の作物も高騰していく可能性があるということです。
国際情報誌「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
いま、世界中で「肉の価格が高くなる要素」しかないんですよね。肥料や飼料の価格が高騰しているうえに、各国で奪い合いが起きている。さらに、日本に輸入されるものに関しては、最終的に円安の影響でもっと高くなる可能性があります。どこを見ても安くなる要素がありません。
仮に、中東での合意が本当に成立したとしても、(流通の)目詰まりや価格の高騰が収まるまでにはまだ時間がかかるので、しばらくはこの状況を我慢しなければいけないんだろうなと思います。
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<プロフィール>
和泉砂絵
TBS報道局経済部 農水省担当
大切な日はステーキより焼き鳥
堤伸輔さん
国際情報誌「フォーサイト」元編集長
BSーTBS「報道1930」ニュース解説