日銀「政策金利」1.0%に引き上げ 「物価高抑えたい」でも「景気悪化させたくない」大きなジレンマ「アクセル」と「ブレーキ」“物価の番人”日銀の舵取りは【サンデーモーニング】
今回、日銀は「政策金利」を0.75%から1.0%に引き上げました。
この決定の背景には「物価高を抑えたい」、でも「景気を悪化させたくない」という大きなジレンマがありました。
【写真で見る】金利1.0%へ引き上げ 背景にあるジレンマとは
政策金利1.0%へ引き上げ 経済動かす「アクセル」と「ブレーキ」
そもそも「政策金利」とは「銀行同士がお金を貸し借りするときの金利」のことです。
私たちが銀行から借金するときの利息にも連動し、日本経済を動かす「アクセル(利下げ)」と「ブレーキ(利上げ)」の役割を担っています。
もし金利を上げれば、支払う利息が増えるので、お金を使う人が減って「ブレーキ」になります。
ただしブレーキが強すぎると、借金の利息の支払いが厳しくなって、企業の倒産が増えるなど、景気が悪化してしまいます。
逆に、金利を下げた場合、支払う利息は減るので、多くの人がお金を使って「アクセル」になります。
最後に「アクセル」を踏んだのは、2016年1月の「マイナス金利」を導入した時です。
そして8年後の2024年3月、ようやくブレーキを踏んでマイナス金利を解除します。その後も段階的に利上げを続け、今回は5回目です。
物価高の抑制を期待 日銀の意図とは?
こうした政策金利を上げ下げしているのは「物価の番人」と呼ばれる日銀です。
日銀がブレーキを踏んだ最大の理由は「物価高」にありました。その物価高の主な要因は、2022年から始まった歴史的な「円安」です。1ドル=115円前後だったのが、今は160円台です。
例えば、一房1ドルのバナナを輸入する場合、約4割も値上がりしています。
さらに2026年は、イラン情勢の緊迫化で原油価格も上昇。商品への価格転嫁が加速していることがはっきりしました。
そこで日銀が踏み切った「利上げ」。
金利が上がると、円で預金する利息が多くもらえるようになるため、円を買い求める人が増えて、「円高」が進みます。
より少ない円で輸入品が買えるようになるため、物価高の抑制が期待できるというわけです。
利上げも「円安」止まらず 背景にはアメリカの“利上げ予想”の影響
ところが、「利上げ」でブレーキを掛けたにも関わらず、逆に「円安」が進みました。なぜなのでしょうか。
元日銀理事の早川英男さんによると、「大きな要因はアメリカにある」といいます。
アメリカの政策金利の上限は現在「3.75%」。2年前から「利下げ」傾向にあり、当初はこれが続くとみられていました。
しかし17日、中央銀行に当たるFRBは、年内の「利上げ」の予想を発表しました。
その結果、「円よりドルを持っていたほうが得だ」となり、『円安』が進んだということです。
「もっと金利を上げれば」とも思いますが、急な利上げは景気を悪化させてしまうジレンマもあるのです。
今回到達した「1.0%」は、世界と比べれば、なお「超‧低金利」です。
日銀は、物価高と景気のバランスを見ながら、金利を経済の実態に見合った水準に近づけようとしていますが、その道のりは⻑く続きそうです。