猫の『重症筋無力症』ってどんな病気?発症する原因や表れる症状、治療法まで解説
全身の筋肉の動きを阻害する恐ろしい病、重症筋無力症。一体何が?防ぐ手立てはある?概要から治療法まで詳しく紹介いたします。
猫の『重症筋無力症』とは?

人間を含む動物の体は『体を動かせ』という脳からの司令の元、神経を経由して筋肉へと指示伝達が正常に行われてはじめて動かすことが可能になります。
この一連の流れにおいて活躍しているのがアセチルコリンという物質です。アセチルコリンは脳から受け取った指示を神経から筋肉へと伝える役割を担っています。
『重症筋無力症』は、この物質(アセチルコリン)にトラブルが発生する病気です。本来ならば正常に伝わるはずの指示が阻害され、思うように体が動かせなくなってしまいます。
これを踏まえ、次の項目では具体的な症状について解説いたします。
『重症筋無力症』の原因や症状

ここからは、発症すると起こり得る症状や要因について紹介いたします。
筋肉の収縮が阻害される
まずアセチルコリンが正常に機能するためには、アセチルコリン受容体と結合する必要があります。重症筋無力症ではこの結合に乱れが生じ、筋肉の収縮を阻害します。
先天性は『受容体』の欠損
重症筋無力症には『先天性(生まれつき)』と『後天性』があります。
先天性の場合はアセチルコリン受容体の欠損が見られるケースが多く、重要な指示をそもそも受け取ることができません。よって体の動きに支障が出てしまいます。
後天性は『免疫異常』
後天性の場合はアセチルコリン受容体は正常ですが、なんらかの免疫異常によって、受容体を攻撃して破壊してしまいます。
この免疫異常は原因がはっきりしないケースと、特定できるケースに分かれます。特定できる場合、その背景に潜むのは腫瘍です。
重症筋無力症の場合は胸腺腫や骨肉腫が関与していることがよくあります。この腫瘍が『腫瘍随伴症候群』という症状を引き起こすことで免疫異常が発生し、後天的にアセチルコリン受容体が攻撃され、うまく機能しなくなると考えられています。
猫が先天性の重症筋無力症を患った場合、最初に症状が発現するのは1歳未満で、月齢は3~8週齢の子猫が多いとされています。
力が入らなくなる
筋肉は体を動かすだけではなく、正しく体を支える役割を持っています。それが阻害されると歩行の安定性を失い、ふらつきます。
また疲れやすくなるため、すぐに横たわるようになります。軽度の場合は少し休めば再び動けるようになりますが、重症の場合は顔を上げることすら困難になります。
眠たそうな印象を受ける
その影響は表情筋にも及びます。顔面を動かす筋肉が動きにくくなることで表情は乏しく、まぶたが下がりがちになります。
これを眼瞼下垂というのですが、慢性化すると常に眠たそうな顔に見えることもあります。
飲み込めない・食べられない
普段はあまり意識することがありませんが、食道など臓器の一部も筋肉でできています。そこが侵されることにより、飲み込めない・食べられないといった現象が起きてきます。
呼吸困難になる
更に影響が呼吸器に及ぶ場合は、呼吸困難になる恐れがあります。
重症筋無力症の治療法

残念ながら重症筋無力症は未然に防ぐ手立てがありません。その代わり、ある程度の効果が期待できる治療法は存在します。
免疫抑制
発生源が免疫異常にある場合は、免疫抑制剤によって免疫系統の暴走を鎮めます。
アセチルコリンの働きをサポートする
重症筋無力症の治療には『抗コリンエステラーゼ薬』という薬剤もよく用いられます。これはアセチルコリンの働きをサポートする薬です。
尚、抗コリンエステラーゼ薬による治療では併せて免疫抑制剤やステロイドなどを用いることも多くあります。
腫瘍の切除
腫瘍が関与している場合は、切除可能であれば外科手術によって取り除く作業が行われます。
その他
重症筋無力症はいわば全身疾患です。各々の症状に合わせた対処療法も行われます。
例えば食べ物を飲み込む力が出ない場合はチューブ栄養を用いる、飲み込みができる場合は食器の角度を調整して食べやすくするなどです。
薬剤の反応は良い方
猫の場合は一連の薬物療法による反応が良いとされています。
どこが侵されているかにもよりますが、薬物療法をメインとし、必要に応じて手術を受けたりします。
まとめ

重症筋無力症は猫には稀な病気です。ただし、アビシニアン・ソマリ・シャム猫・スフィンクスは好発品種とされています。
この病気は予防することが困難な反面、ある程度治療法は確立されています。ここで重要なのが早期発見です。
愛猫の歩き方はいつも通りですか?疲れてすぐに横たわる仕草はありませんか?食べ物は正常に飲み込めていますか?よく観察してみてください。
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