【男性の更年期障害のリアル】「怒り」「イライラ」が止まらない 増す責任・下がる評価…“アラフィフ”40~50代男性を襲う“見えない不調”【news23】
最近、「疲れやすい」「イライラする」。その不調、更年期のサインかもしれません。女性の悩みと思われがちですが、その症状に苦しむ男性も少なくありません。「周囲に言いにくい」ともいわれる、“男性の更年期障害”の現実を取材しました。
【あなたは当てはまる?】男性更年期の可能性 10のチェックリスト
悩む「怒り」のコントロール 5~6人に1人ともいわれる男性更年期
都内のIT関連企業に勤める50代の男性。この日訪れたのは、「男性更年期」の専門外来です。
更年期外来に通院する男性(50代)
「部下のミスを指摘するのも、必要以上に追い込むような言動」
特に悩まされたのが「怒り」のコントロールでした。
更年期外来に通院する男性(50代)
「説教を30分、1時間しちゃう。それは仕事だけでなく、店に行って店員さんのちょっとしたミスを必要以上に責める。すごく止まらないというか、切れやすい」
男性ホルモンを補充するなどの治療を受け、現在は症状が改善しているといいます。
国内の潜在的な患者は約600万人。40歳以上では5~6人に1人ともいわれる男性更年期ですが、その認知や理解は、いまだ十分とは言えません。
男性(58歳)
「女性のものというイメージ」
男性(65歳)
「男で更年期障害って聞いたことない気がする」
男性(54歳)
「症状自体を把握していない。どういった症状が更年期障害なのか」
「男性更年期」とは、一体どのような症状が現れるのでしょうか。
増える責任に減っていく評価…環境の変化も一因に
イーヘルスクリニック新宿院 天野方一院長
「身体的な症状は、『疲れやすい』『動悸』『汗が出る』。精神的な症状は、『不安』『気分の落ち込み』『イライラ』といった症状になる。性的な症状は、『性機能の低下』『ED(勃起不全)』ということになります」
症状はさまざまで、その重さも人それぞれです。
47歳の渡辺さんを悩ませていたのは、強い倦怠感。朝、目が覚めた瞬間から、その不調は始まります。
更年期外来に通院する渡辺さん(47)
「家族、友人、同僚にも、顔がすごく疲れていると言われて、自覚がそこまでなかったので、すごくショックだった」
当時は強いだるさから集中力も低下。仕事にも影響が及んでいたといいます。
漢方薬を服用するなど、治療を始めて3か月。その変化は、診察室に入ってくる様子にも現れているといいます。
イーヘルスクリニック新宿院 天野院長
「『〇〇さん入って下さいね』というときに、診察室に入ってくるまでの時間が早い。最初はみんなゆっくり、どろーりと入ってくるが、いまは『あっ、はい』といった感じで入ってくるので、ぱっと見た瞬間で治療がうまくいっているかは判断できる」
そもそも更年期とは、体内のホルモンが減少していく時期のことです。女性は、閉経前後の45歳から55歳ごろ。
一方、男性も40代ごろから男性ホルモンが減少します。背景にあるのは、仕事や環境の変化によるストレス。責任は増える一方で、評価されにくくなる40代以降。こうした環境が、男性更年期の一因になると専門家は指摘します。
更年期健康経営協会 堀江重郎理事長
「日本の社会では、30代ぐらいまでは仕事で褒められることが多い。40歳すぎると怒られることがあっても褒められることは少なくなる」
男性更年期の現実 約6割が「周囲に言いにくい」「症状を認めたくない」
激しい更年期障害に苦しんだ、美容師の阿南真司さん(65)。
阿南真司さん
「更年期はなかった?」
阿南さんのお母さん
「あったよ。(体が)熱かったね」
阿南さんが症状に直面したのは、47歳のとき。独立して店を構え、従業員を雇うなど、事業を広げていた時期でした。その責任やプレッシャーが、大きなストレスになっていたといいます。
阿南さん
「休憩してて、それで(スタッフに)呼ばれて、その時に立ち上がろうと思ったら立ち上がれなくて、このままバタンって倒れた」
救急搬送された阿南さん。病院で告げられたのは、更年期障害の可能性でした。いまは、自身の経験を客にも伝えています。
阿南さん
「『男性更年期』ってどうなの?みたいな話になって、『めまい』『動悸』『だるさ』」
一方、ある調査では症状を自覚する男性の63%が「周囲に言いにくい」、58%が「症状を認めたくない」と回答。
阿南さんは「周囲に伝えることが大切だ」と訴えます。
阿南さん
「周りの理解を得た方が、効率的に仕事なり人間関係がうまくいく。怠けてないのに『怠けてる』って言われるのが一番辛い。一生懸命やってて」
では、更年期の症状を訴える人に私たちはどう向き合えばいいのでしょうか。
「話を聞いて味方でいることが大切」周囲の理解と“見える化”がカギ
更年期の正しい知識の普及に取り組む団体「ちぇぶら」は、演劇を通じて更年期への理解を深めようとしています。
最近増えているのが「夫の更年期」に戸惑う、妻からの相談です。
「ちぇぶら」代表理事 永田京子さん
「夫がすごく性格が変わってしまったようにイライラしているとか、夜ご飯を食べながら、すごくタフな人だと思っていたのに、涙が止まらなくなっているとすごく心配しているという声」
家族や周囲が理解し、寄り添うことが大切だと、永田さんは話します。
「ちぇぶら」代表理事 永田さん
「『そんなこともあるよね』っていうので責めずに、話を聞いて味方でいることが大切」
さらに、更年期を“見える化”しようという研究も進んでいます。
医師
「どうですか着けてみて?」
更年期外来に通院(50代)
「血中酸素とか出てくるので、興味深く見ている」
順天堂大学大学院の研究チームは、スマートウォッチを使って患者の生体情報を収集・分析。
ある男性の1週間の変化を示したグラフでは、数値が高いほど自律神経のバランスが良い状態を示しています。
週末の休息を経て月曜日に最も高くなる一方、週明けの仕事の負荷などの影響で火曜日に最も低くなる傾向がみられました。
順天堂大学大学院 駒澤真人客員准教授
「自分の疲れる曜日を意識しながら、普段過ごしていただくと、更年期への症状の緩和や予防につながる」
このアプリは8月にも一般利用が始まる見通しです。
見過ごされがちな男性更年期とどう向き合うべきでしょうか。
「イライラしている」自分では気づかず、周りに言われて気づくことも
小川彩佳キャスター:
「男性更年期」にどうすれば気づけるのか。
男性更年期障害の質問票をベースとした簡単なチェックリストがあります。
【男性更年期の可能性 チェックリスト】
※日本内分泌学会HPより
(1)性欲の低下
(2)元気がなくなってきた
(3)体力や持続力の低下
(4)身長が低くなってきた
(5)「日々の楽しみ」が少なくなってきたと感じる
(6)もの悲しい、怒りっぽい
(7)勃起力が弱くなった
(8)運動能力の低下
(9)夕食後、うたた寝することがある
(10)作業能力の低下
(1)性欲の低下と(7)勃起力が弱くなったの両方、もしくは3つ以上当てはまる場合は、男性更年期の可能性があるといいます。
40歳以上で症状が出る方が多いそうです。
Podcastプロデューサー 野村高文さん:
仕事仲間の40代後半〜50代の方で「体力がない」「イライラする」「なんとなくずっと疲れている」という話を聞きます。ただ、こういった話は「言いにくい」ということも聞きます。
「お酒をやめている」「筋トレに励んでいる」という会話から、体調の不安があることが会話として出てくることが多いです。
小川キャスター:
「男性更年期」という言葉が出てくることもありますか。
Podcastプロデューサー 野村さん:
出てくることもあります。実際、調子が悪くて病院に行ったら男性更年期だったという知人もいました。
藤森祥平キャスター:
年齢的にも、立場的にも管理や指導する立場に立っている方が多いと思います。
また、ここ10年、20年の社会の変化を考えてみますと、『女性の悩みを聞きましょう』という流れになってきている一方で、男性は自分の悩みを抑えなければならないことが多く、表立って周囲に相談しづらい状況があります。
世代的には「歯は食いしばるもの」と教わってきたので、悩みを話せと言われてもそう簡単にはできません。
小川キャスター:
周りに理解されないのではないか、という気持ちもあると思います。
【「更年期症状」に対し、周りの人に言われて傷ついた言葉】
※ツムラ調べ
▼「イライラしている」と言われた(大阪府41歳)
▼「体調管理ができていない」と指摘(東京都51歳)
▼「注意力散漫」と言われた(北海道52歳)
Podcastプロデューサー 野村さん:
私も妻から「イライラしている」と言われたことがあります。個人的には傷ついたというより、自分自身ではわからなかったので怖いと思いました。客観的に言われて初めて気づくことが多く、周囲の気づきが極めて重要な病気だなと実感しました。
40代前後で体力が落ちてきて、心も落ちていく一方で、心理学の実験では上がる能力もあると言われています。
例えば、経験を積み重ね、蓄積させて、新しい知恵を出していく能力は年を取っても上がっていきます。そういったところに心の支えを求めていくのは1つのポイントかと思います。
藤森キャスター:
お互い、少しずつ理解しあっていくことで変わっていくのではないかと思います。
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<プロフィール>
野村高史
Podcast制作会社の代表 経営者への取材多数
外資系ファームでコンサルタントの経験も