議論進まぬ消費税減税…総理「8月頭でも間に合う」 17日に会期末 積み残した重要法案どうなる?【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-07-15 22:15

国会の会期末が2日後に迫るなか、「副首都法案」などの会期内成立が危ぶまれる事態になっています。会期の小幅な延長も取りざたされていて、与野党の調整がヤマ場を迎えています。

【写真で見る】会期末まであと2日「成立していない法案」(7月15日時点)

2029年度からの導入を目標「給付付き税額控除」

高柳光希キャスター:
今の国会、会期末まで残り2日となりましたが重要なテーマが残っています。「消費税減税」「積み残した法案」の2つは今後どうなるのでしょうか。

衆院選でも争点になっていました食料品にかかる消費税の減税について、与党は「給付付き税額控除」の導入を目指していますが、制度設計などに時間がかかるということで2029年度からの導入を目標としています。

そのつなぎとして議論されているのが、2027年4月からの2年間限定で食料品の消費税を1%に引き下げることです。また、その消費税1%分を中低所得者へ給付し、「実質ゼロ」にすることを提案しています。

元々は6月末までに中間取りまとめを目指していましたが、各党の隔たりがあり、議論が進んでいない状況です。

消費減税について議論は進むのでしょうか。

議論進まぬ「消費税減税」実現は?

TBS政治部 川瀬善路 与党キャップ:
きょう(15日)の党首討論で「消費税減税」の話題が取り上げられ、その中で、高市総理は与野党の間で合意形成が図られるよう議論を進めてほしいということで、現在議論が進められている国民会議について「当初のスケジュールよりも議論の期限を延長し、8月頭まで見守る考え」との意向を示しました。

チームみらいの安野党首は質問内で、「君子豹変するという言葉がある。高市総理も豹変できる人なのだから豹変してほしい」と述べ、消費税の減税方針を見直す考えはないのか問いただしました。

これに対し、高市総理は「ギリギリまで最善の方策を考える」と述べ、現時点では明言を避けました。その一方、「断言はできない」としながらも、減税は2年間の時限装置として実施する見通しに変わりはないとの考えを示しました。

「The HEAD LINE」編集長 石田健さん:
消費税減税の0%か1%かという話もシステム上の理由となっていますが、こうした論点は本来、選挙前の段階で把握できていたはずです。しかし、チームみらいを除く多くの政党が消費税率0%を公約に掲げていました。

では、それらの政党がこうした懸念点を知らなかったのかといえば、決してそうではなく、事前に認識しえた論点だったと言えます。

例えば、給付付き税額控除は、アメリカやヨーロッパで従来導入されている制度であり、その効果や課題については実証的な研究が数多く蓄積されています。どのようなメリットやデメリットがあるのかについても、経済学の研究によって一定の知見が示されています。

消費税率の引き下げについても同様で、これまでの研究の蓄積が存在します。そうした知見を踏まえた上で政策として実施すると判断したのであれば、その方針に沿って進めるべきです。

一方で、「後になって問題が見つかった」という説明をするのであれば、政策として掲げる前に、そうした論点を十分に検討しておくべきだったという、ごく当然の結論に帰着するのではないでしょうか。

井上貴博キャスター:
公約はとても重要だと思います。また、消費税率を機動的に変えるシステムを構築することは個人的にもすごくやっていただきたい。

しかし、そもそも何のための公約で消費税減税かというと、目的達成のため。目的は何かというと物価高対策。

では今、目的達成のために何かしていますか?と問うと、そのための議論をずっと聞かされている状況です。我々が感じているスピード感と永田町のスピード感が嚙み合っていないなと感じます。

「The HEAD LINE」編集長 石田健さん:
例えば、物価高対策や低所得者への生活支援が目的ならば、これについても研究の蓄積があります。現金給付をはじめ、対象や金額を柔軟に設定できる給付の手法についても、様々な制度設計や実証実験が積み重ねられてきました。

そうした中で、なぜ政策手段として消費税の引き下げを選択したのかという点は、改めて問われるべきでしょう。この点については、与党だけでなく、消費税減税を掲げた野党を含め、与野党双方に大きな責任があると言えるのではないでしょうか。

「8月まで見守る」議論は前進するのか

出水麻衣キャスター:
8月まで見守るとありましたが、見守って何かが前進するものなのでしょうか。

TBS政治部 川瀬善路 与党キャップ:
現時点では、各党の意見の隔たりは非常に大きく、その溝が埋まる兆しは見えていません。そのため、合意点を見いだせるかどうかについては、厳しい状況だと考えられます。

中でも国民民主党は、現行の協議ではこれ以上意見の隔たりを埋めることは難しいとして、「与党で法案を取りまとめた上で国会に提出し、その後は国会の中で議論すればよい」との考えを示しています。

こうした状況を踏まえると、協議期間を8月上旬まで延長したとしても、与野党が完全な合意に至ることは、現時点では容易ではないとみられます。

政府提出法案10本中8本が未成立 重要法案の現状は…

高柳キャスター:
停滞している消費税減税の議論に加えてもう1つポイントとなっているのが「積み残されている重要法案」についてです。15日時点で政府提出法案が10本ある中で8本が成立していません。

中でも、政府が絶対に通したいとしているのが、▼皇族数の確保に関する「皇室典範改正案」、▼「副首都法案」の2つです。

【成立していない法案】※7月15日時点
▼皇室典範改正案
▼”副首都”法案

▼国旗損壊罪法案
▼予防接種法改正案
▼建築物省エネ法改正案
▼ヒトゲノム編集胚規制法案
▼刑事訴訟法改正案
▼電気事業法改正案
▼種苗法改正案(2案)など

7月17日の会期末までに成立は見通せますか。

TBS政治部 川瀬善路 与党キャップ:
一言で言うと、かなり厳しくなっているのが現状です。

法案が成立するまでの流れを見ますと、一部参議院で先に審議するというものもありますが、基本的には衆議院の委員会で審議をして可決されたら本会議、そして衆議院のところで可決されたら、参議院で審議していくという流れになっています。

【法案成立までの流れ】
衆議院・委員会

衆議院・本会議

参議院・委員会

参議院・本会議

現在、成立していない法案は、「参議院の委員会」で▼再審制度の見直しの刑事訴訟法改正案、▼国旗損壊罪を創設する法案、予防接種法改正などが審議されているという状況です。

▼皇室典範改正案は、7月15日に「参議院の委員会」に審議入りしました。

与党側は7月15日中に採決をしたいとしていましたが、野党側が折り合わず、7月16日に採決が行われることになりました。

もう1つ与党が重要視している▼副首都法案は「衆議院の委員会」で審議されています。

7月15日に委員会の中で審議をし、採決をして可決されたら、すぐに本会議に上げて、参議院に送りたいところですが、非常にタイトなスケジュールになっています。

そもそも与党側としては、副首都法案は7月14日のうちに参議院に送りたかった。それが難しくなっているため、いま与党内からは「1週間程度会期を延長しなければならないのではないか」という話が上がってきています。

高柳キャスター:
会期延長になりそうということを受けて、野党からはこういった声が聞かれています。

▼中道改革連合 階 幹事長
「高市政権の国会軽視の責任は重い」

▼国民民主党 玉木代表
「(集中審議を)最初からやればよかった。結局無駄に時間を過ごした」

なぜ少ない?歴代総理と比較し少ない高市総理の出席時間 

高柳キャスター:
衆議院の予算委員会の集中審議における「歴代の総理の出席時間」を見ますと、菅、岸田、石破前総理が平均30時間ほど出席している中で、高市総理の出席時間は14時間とかなり少ない数字となっています。

【衆院予算委・集中審議の総理出席】
菅義偉:27時間(5回)
岸田文雄:32時間(6回)2022年
     29時間(5回)2023年
     33時間40分(7回)2024年
石破茂:41時間(8回)
高市早苗:14時間(3回)
※2021年~25年は通常国会、2026年は特別国会(きょう時点)で集計

必ずしも出席しなければいけないものではありませんが、他の総理と比べてここまで少なくなっているのはなぜでしょうか。

TBS政治部 川瀬善路 与党キャップ:
集中審議とは、与野党の国会で法案を進めていく上で、ある種カードとして使われることが多いです。そして、停滞打開をするために、野党としては総理に出てきてもらい、直接正す場を作るというようなことがあります。

現時点で衆議院では、自民党、日本維新の会などの与党で議席数の3分の2を占めているため、政権与党としては強気な政権運営ができるということ。

それから、今の政権に限らずですが、集中審議で追及されている場面が繰り返し出ると、政権の支持率に影響を与える可能性があるため、積極的に出たがる政権というのはあまりないという現状があります

井上貴博キャスター:
日本の国会は海外と比べると総理が国会に縛られる時間が多いと言われています。予算委員会が多くなり、党首討論が少なくなって形骸化していくという現状です。

委員会出席をもう少し整理してでも、党首討論など議論を戦わせる機会をふやし、我々が見ることができる場を制度として増やしてもいいのかなと思います。

「The HEAD LINE」編集長 石田健さん:
例えばチームみらいは声を上げていますが、国会の効率化ということで「タブレットを持ち込みましょう」といった話はずっと出ています。

そして、我々自身も当たり前のものとして受け取っている、ある種予定調和の決まった議論。この非効率な運営などに問題があると感じます。

国旗の話、皇室の話、副首都の話などが出ていますが、果たしていま我々が本当に問いたい議論はそこなのかも含めて、もう少し芯を食った話をしてほしいというのが率直なところですね。

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<プロフィール>
川瀬善路
TBS政治部与党キャップ
高市総理の元番記者
2度の政権交代や令和への改元などを取材

石田健さん
ニュース解説メディア「The HEAD LINE」編集長
鋭い視点で政治・経済・社会問題などを解説

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