「復興ではなく復活」熊本地震と去年の大雨被害から再起へ 危機に直面する国内9割のイ草産地 熊本地震まもなく1か月【 現場から、】
熊本地震の発生からまもなく1か月です。地震は畳表の原料となるイ草の一大産地にも大きな影を落としています。
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熊本県八代市でイ草を生産する溝口善大さん(25)です。
イ草農家 溝口善大さん
「外から見たら分かるんですけど、ガッツリ斜めになっている状態」
イ草を原料に作られる「畳表」。その畳表を織る機械がある小屋は、いつ崩れてもおかしくない状態です。今回の地震が起きたのは、今年出荷する畳表を作り始めたまさに、その日でした。
イ草農家 溝口善大さん
「収穫の時期も収入はないですし、ちょっと前から収穫の準備をしないといけない、畳表を織る作業はストップしている。6月上旬からずっと作業をしていなかったので、そこから収入はゼロ」
先月の地震を引き起こした断層帯に沿うように広がる八代平野では、国内のイ草の9割が生産されています。ただ、近年は畳需要の低迷とともにイ草農家の数もピーク時の40分の1以下まで激減しています。
イ草農家 溝口善大さん
「イ草農家辞めるという人も多いので」
こう話すのは地震だけが理由ではありません。今回の地震で自宅が被災したイ草農家の田淵稔さん。
イ草農家 田淵稔さん
「コンクリートの土間が割れて、せり上がって」
去年8月、熊本県を襲った記録的な大雨で、田淵さんのイ草や機械が水没し、およそ900万円の被害が出ました。田淵さん含め、去年の大雨でイ草農家およそ220戸のうち3割以上が被災し地震の前から業界として苦しい状況になっていたのです。
一度は辞めることも考えた田淵さんですが、行政の支援もあり今年もイ草の生産を決意。先月下旬、刈り取りを終えたばかりでした。
イ草農家 田淵稔さん
「去年の負債も返済しなければいけない。ダブルでは返済することはできないので。返済が終わった後に、家は考えなければいけなくなる」
『先のことはまだ考えられない』。それでも、希望の芽はあります。この日、田淵さんは地震後初めて畳表を織りました。
イ草農家 田淵稔さん
「復活の記念日ですよね。復興ではなくて、復活です。去年の水害、今年の地震でもうダメだろうと思ったんで、モーターにスイッチが入った時点で、復活する兆し。復活しなければいけないなと一番に感じました」
『国産のイ草を絶やすわけにはいかない』。田淵さんの信念です。
イ草農家 田淵稔さん
「諦めると次の世代につながっていかないので、諦めずに始める。前を向くというのが一番大事」