自宅は全壊“4畳半の物置”に夫婦で… なぜ?進まない2次避難、 背景に何が【熊本地震から1か月】
地震から1か月。なぜ2次避難は進まないのでしょうか?
どのような思いで自宅付近にとどまっているのか。被災者の現状を取材しました。
自宅が全壊 4畳半の物置に夫婦で生活
最大震度7を観測した熊本県氷川町。26日、Nスタが訪ねたのは農家の松本信行さん(83)。
震度7の大きな揺れで、自宅は「全壊」の判定。住むことはできません。
松本信行さん
「ただもう、仕方ないです自然災害は」
地震から1か月。今、松本さんの住まいは…
松本信行さん
「ここ自体は物置として前は置いていた。それで地震があってからここを住まいとして、息子とか孫たちが改造した」
約4畳半のスペースで、松本さんは妻の冊子さんと暮らしています。
松本信行さん
「(妻は)体が不自由なので、みんながいる避難所は到底私は無理だと思った」
8年前の交通事故で介護が必要になり、近所のデイサービスを週に3回利用しています。
ーー地震の後、冊子さんは?
松本信行さん
「前と変わらない。スタッフの方がみんないいので、ついて行っている」
これまでに育んだ環境を変えたくないのが、この場所にとどまるひとつの理由。
農家の仕事「避難所から通うのは無理」 2次避難進まない背景
さらに、農家ならではの事情もあります。
自宅の目の前に広がる松本さんの畑。毎朝4時半起きです。
松本信行さん
「朝ちぎって収穫しないといけない。出荷する準備。毎日、避難所からここに来て、作業しながらは無理です。それは体を壊す」
息子の寿雄さんは…
ーー(両親が)倉庫を仮の住まいにしてますが、この先はどう考えている?
息子・寿雄さん(55)
「母屋の方の解体がどんな風になるか。あと住居が今のプレハブだと狭すぎるので、あのテントですね。あっちに移そう、金曜日に移す準備は今している」
松本さんは 地震から1か月について。
ーーこの期間どんなこと不自由に感じている?
松本信行さん
「何もそういったことは考えない。もう毎日が一生懸命です」
熊本県は、宿泊施設などに避難してもらう「2次避難」も提案していますが、思うように進んでいないのが現状です。
「家を見ると涙が…」全壊の自宅を前に被災者の胸の内
そして、自宅に大きな被害があった人たちには、この1か月で“ある変化”も。
氷川町で自宅の敷地内に亀裂が入り「全壊」となった鉄島さん。日中は自宅横の倉庫で片付け作業を行っていますが…
鉄島礼子さん(61)
「家を見ると涙が止まらなくて。まだ夢みたい。こっちを見ると紙は貼ってあるし、ここ見るとそうかっていうのが一日に何回か、そういうことがある」
同じく氷川町で、自宅が「全壊」した男性。
ーーこうなればいいなみたいなものは?
自宅が全壊した男性
「早く家を解体。まず解体したいです。できたらなと思ってます。ずっとこれを見たくない。それよりもこの先のことですね。住むところとか。中にあるのはもう別にいいかなと思って」
「数が足りない」仮設住宅建設も被災者から不安の声
出水麻衣キャスター:
「高齢の家族がいる」「慣れ親しんだデイサービスに通い続けたい」「ペットがいる」など、皆さん様々な事情を抱えていて、なるべく自宅の近くにいながらの生活再建を目指しています。
一つ解消しても複合的な理由があるため、なかなか自宅から離れて避難することは選べないといった心の内がひしひしと伝わってきました。
氷川町では27日から、自宅の敷地内に簡易的な住宅を建てるための相談の受け付けが始まりました。
ただ、簡易的な住宅を建てる広さがあるのか、自宅の解体作業に支障がないかなど、乗り越えるべきハードルがある上、決まっていないことも多く、不安を口にする人も多くみられました。
ーー今回の地震は、暑さも厳しい中での1か月だったと思います。取材を続ける中で感じる変化は何かありますか?
1か月前と比べても、日差しの強さや体感の暑さは全く変わっていないという印象を受けました。
その中で、仮設住宅の建設が始っていて、氷川町の仮設住宅は早ければ9月中旬ごろから入居できるということですが、82戸の建設予定に対して、全壊している家屋は28日現在、500戸以上あります。
熊本県全体でも、建設が決まっている仮設住宅は400戸余りと、地元の人たちからは「数が足りない」「抽選に申し込んだが、どのような条件でどう選ばれるのか、まだまだ先が見えない」という声が聞かれました。
地震から1か月が経ち、行政の支援のあり方も変わってきていますが、まだまだ日常に戻れていない人がたくさんいる実情を感じます。