少子化・AI時代に「町の学習塾」はどう生き残るか 個別指導塾19年の現在地

2026-09-09 18:30

少子化が進む一方、オンライン教材や映像授業、生成AIなど、子どもが学ぶ手段は大きく広がっている。

かつては「学校以外で勉強する場所」という役割が中心だった学習塾も、現在では一人ひとりの学習状況への対応や進路相談、オンラインを含めた学習環境の提供など、求められる役割が多様化している。

こうした変化の中、東京都大田区西馬込で2008年から個別指導塾「ブライトフューチャーアカデミー」を運営する冨沢拓夫氏に、地域の小規模塾を取り巻く環境の変化について聞いた。

少子化の中で「地域の塾」は何を求められるのか

ブライトフューチャーアカデミーは2008年春に開塾し、小学生から高校卒業後の生徒までを対象に指導を続けてきた。冨沢氏によれば、この間に大きく変わったのが、生徒や保護者が塾に求めるものだという。

学校の授業を補うために通う生徒もいれば、受験対策や苦手科目の克服、学習習慣を身につけることを目的にするケースもある。オンライン教材の普及によって、「塾へ行かなければ勉強できない」という環境でもなくなった。

一方、学習目的が多様になるほど、同じ教材やカリキュラムを全員に当てはめることは難しくなる。同塾では個別指導を基本とし、生徒の学力や目的に応じて学習内容を調整しているという。

ただし、個別対応には講師の時間や人員が必要になる。生徒ごとに柔軟な対応を行いながら、運営として採算を確保することは、小規模な学習塾にとって避けて通れない課題でもある。

オンライン授業が広がっても「対面」は必要か

学習塾を取り巻くもう一つの変化が、オンライン教育の普及だ。

ブライトフューチャーアカデミーでも、教室での対面指導に加えてオンライン指導を取り入れている。

冨沢氏は、通塾が難しい場合や時間の制約がある場合には、オンラインが選択肢を広げると話す。

一方で、オンラインと対面では得られる情報が異なる。教室であれば、生徒が問題を解く手が止まっている、集中力が落ちているといった変化をその場で把握しやすい。画面越しでは、こうした細かな様子を捉えにくい場合もある。

そのため、オンラインか対面かの二者択一ではなく、生徒の状況に応じてどう使い分けるかが重要になる。

デジタル化によって学習の利便性は高まったが、それによって人による指導が不要になったわけではない。むしろ、教材や情報へのアクセスが容易になったからこそ、「何を、どの順番で学ぶか」を整理する役割が求められているともいえる。

生成AI時代、塾の価値はどこに残るのか

現在では、生成AIを使えば問題の解説や英文の添削、学習計画の作成などもできるようになっている。

こうした技術がさらに普及すれば、学習塾がこれまで提供してきたサービスの一部は、デジタルツールで代替できる可能性がある。特に、知識を一方的に教えるだけの授業であれば、その価値は相対的に低下していくかもしれない。

一方で、生徒が「分からない」と感じている原因を見つけたり、学習を続けられない理由を一緒に考えたりすることは、単純な情報提供とは性質が異なる。

冨沢氏も、生徒によって学習に対する悩みやつまずき方が違うため、対話をしながら進めることを重視しているという。今後の個別指導塾には、問題の解き方を教えること以上に、学習方法の整理や進捗管理、進路について相談できる場としての役割が求められる可能性がある。

小規模塾は「個別対応」をどこまで続けられるか

地域密着型の塾には、生徒や保護者との距離が近く、状況に応じて柔軟に対応しやすいという特徴がある。

その一方、小規模な組織ほど、代表者や特定の講師の経験に運営が依存しやすい。生徒数が増えたり講師が入れ替わったりしたときにも、指導品質をどのように維持するか。これは個別指導を掲げる塾に共通する課題だ。

また、少子化によって子どもの数そのものが減るなか、オンライン学習サービスや大手学習塾、AI教材などとの競争も続く。

ブライトフューチャーアカデミーが19年にわたって地域で運営を続けてきたことは一つの事例ではあるが、これまでの方法がそのまま今後も通用するとは限らない。学習手段が増えるほど、保護者や生徒は「なぜこの塾に通うのか」を比較するようになる。

教材や授業そのものでは差別化しにくくなる中、個々の生徒をどう理解し、学習を継続するための環境をどうつくるのか。少子化とAIが同時に進む時代には、地域の学習塾そのものの役割が改めて問われている。

【取材協力】
ブライトフューチャーアカデミー
代表 冨沢拓夫
https://b-fa.net/

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