【獣医師コラム】『ネコは液体』と言われる理由2選|イグノーベル賞で話題になった研究結果を獣医師目線で解説

2024-11-06 17:20

『ネコは液体である』という研究結果が話題となったイグ・ノーベル賞。ユーモア溢れる研究結果から読み取る猫の不思議や、人との暮らしにおいて猫が与えてくれる影響についてご紹介。

なぜネコは液体といわれたのか?

箱の中で寝る猫

ネコが液体であると発表したのは、パリ・ディドロ大学のマーク・アントワン・ファルダン氏。あくまでも流動学研究をジョークにしたイグ・ノーベル賞での話題です。

「人々を笑わせ、考えさせる」ために、ファルダン氏は、ネコを液体の定義に当てはめました。するとネコは液体の定義にピッタリはまり、そこからの研究が始まりです。

ネコが液体と言われた理由2選

箱に入る柔軟な猫

ネコはなぜ液体と言われたのでしょうか。

それは、どうやら柔軟な骨格構造と、しなやかに動く身体能力によるもののようです。

その理由をご紹介していきます。

1.関節の可動域が広いため

関節の可動域が広いため、骨格の可動範囲が大きい。そのために自身の身体を舐められるほどの柔軟性が特徴である。ネコの猫背も自身に有利に働いているのです。

ジャンプやダッシュなどの瞬発力。高いところから負担なく着地するのもネコがもつ身体能力となっています。

2.皮膚がとても柔らかいため

皮膚がとても柔らかい。お腹がタプタプしているのは、腸が短く脊柱で内臓を支える必要が無いためです。ですからお腹の皮が伸びても平気な体質をしているのです。

最近は完全室内飼いが多いため、お腹タプタプネコが台頭をあらわしています。

ネコは液体かもしれないというユーモアセンスは、ネコ好きにとって、決して悪い気にはしません。むしろ愛おしく感じさせてくれます。

やっぱりネコは液体ではない

床に寝そべる猫

ネコは液体ではないし、流体でもない。感情をもった動物です。

ネコが容器に入ると、隙間が無くなるほどの密着性をおびます。毎日ネコと接していると、その柔軟性が当たり前になりますが、ネコが狭いところが好きなことからもうなずけます。

ネコが透明なガラスボウルに入ると、それがよくわかります。底に肉球だけがはっきり見えているのに、肢が身体と一体化していることに気づきます。

しかも隙間なく壁にぴったり収まってしまうのです。でもするりと抜け出すこともしっています。自在に体形を変えられる、それが液体の定義に当てはまるというのも頷けます。

ネコにはヒゲがあって、頭から尾まで体毛がある。ときには舐めたりひっかいたり、登ったり、隠れたり、狩りをしたり、発情があったり、縄張りまで持っています。

それに視力・聴力・臭覚・味覚・触覚、感情もあって、飼い主にはとても甘えてきます。

ネコはゲージに収まれば、容易に持ち運びができ、緊急時には同行避難など、協力的になってくれます。

まとめ

座ってどこかを見つめる猫

ネコがイグ・ノーベル賞にかかわったことは、ネコ好きにとってはとても誇らしいことです。それほどネコが人の暮らしに密着しているという証でもあるからです。

ですからネコがジョークのネタになっても、好感をもって受け入れられるのです。

ネコは長い年月、人と暮らすことで、人を魅了する能力を身につけました。こうした絆が、お互いの暮らしに役立ったのです。

ネコはそばにいるだけで幸せにしてくれます。しかもストレスを軽減させて癒してくれます。

こちらから無理やりに構っても、ネコは嫌な顔もせずに、つきあってくれたりもします。それでいてイヤなときはイヤとはっきり意思表示をする、それはそれでまた愛おしいのです。

でもネコが液体だったらと想像すると、ちょっとおもしろいですね。どこへでも流れて行ったり、乾燥地帯では大地が潤ったり、そして何より、液体特有の表面張力があったり。

もしかすると、最近のお腹タプタプネコが器からあふれるのは、すでにネコの表面張力の表れなのかもしれません。

そう考えていると、また新たなネコ伝説生まれてきても不思議ではありませんね。やっぱりネコは、そばにいるだけで愛おしいです。

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